すいません、ちょっとしょうもない話をさせてください。
しんざき家には子どもが3人いまして、うち長女と次女は小1の双子です。
控えめに申しまして「あれ?こんなところに天使が降臨したのかな?」という程度には可愛いです。
双子とは言っても、長女次女は容姿も性格も趣味嗜好も違いまして、例えば次女は几帳面で社交的、長女はマイペースで人見知りといった風に、行動の傾向も相当異なります。
次女の方が長女よりも小柄であるということもあり、知らない人が見るとほぼ百発百中、一歳違いの姉妹と勘違いされます。
で、長女も次女も、小さい頃はパパやママにべったりだったところ、幼稚園くらいからお互いを遊び相手として認識するようになり、二人だけでも結構な長時間遊べるようになりました。
まあ、「あそんでー!」と襲来する頻度も相変わらず高いんですが。
おもちゃの取り合いで喧嘩をすることもあれば、二人仲良くキャッキャしていることもあり、見ていてなかなか面白いので、育児がてらちょくちょく観察しています。
子どもには子どもなりの人間関係というものがありまして、長男も含め、しんざき家こども人間関係模様はなかなか多彩、かつ波乱万丈です。
大筋、いたずら好きの長女が次女にちょっかいをかけて次女を泣かす、というケースが多いのですが、時には逆の立場になったり、時には子どもリーダーである長男が巧妙に介入して喧嘩を収めたりということもありまして、見ていて飽きません。
というか、長男の「長女次女を掌の上で転がすスキル」が高すぎる。彼将来的に女の子の扱いがやたら上手くなるんじゃないだろうか。
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今回気付いたのは、長女次女の「おままごと」が、実はすげえ高度なことをしているのではないだろうか?という話です。
長女次女はおままごとのことを「おうちごっこ」と呼ぶのですが、女の子の常なのか、二人とも昔から「おうちごっこ」が大好きでして、ちょっと時間が空くと人形やらぬいぐるみやらを持ってきておうちごっこを始めます。
レゴや座布団で家を作ったり、折り紙で服を作ったり、なかなか工夫も多彩です。
長年観測していて幾つか「これよく考えるとすげーな」と思っていることがありまして、
・「じゃあ〇〇ちゃんが△△ってことね!」の一言でロールの設定が完了する
・ロールの設定が完了した直後からちゃんとその役柄に則った立ち位置でロールプレイが始まる
・しかもそのロールがしょっちゅう変更される
・変更されても殆どタイムラグなく役柄変更に対応している
・役柄変更に際して交渉・調整が頻発する
・普段は全然歩み寄りを見せないのに、この役柄変更ではさくさくと調整が進む
・役柄に大抵ヒエラルキーがあり、ちゃんとヒエラルキーに則った行動・言動になる
・なんかやたら褒め合う
といったような要素で表現出来ます。
いや、なんか横で聞いてるとホント凄いと思うんですけど、あれ女の子的には普通なんですかね?
正直、40年弱男児をやっている身としては、高度過ぎて理解不能な域なんですが。
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まず第一に、
「ロール設定と、それに伴う役柄のスイッチが驚く程スムーズ」
という点があります。
おうちごっこは要はロールプレイですので、当然配役が最初に決定されるのですが、まずはこの配役決定が非常に迅速、しかもコロコロ変わるのです。
「(次女の名前)ちゃんが△△(役柄の名前)ね!」「じゃあ長女ちゃんは◇◇やるね!」
といった感じで、例えばお母さんと娘、姉と妹、例えば王女様と大臣、ディズニーキャラクターといった配役があっという間に決定していきます。
かつ、これ、遊んでいる間に物凄い速さで設定変更されていくんです。
「やっぱラプンツェルじゃなくてアリエルってこと(にしよう)ね」
「じゃあアリエルに足があるってことね」
「お母さんはアイドルだったってことね」
「ここがコンサートの会場だったってことね」等等、エトセトラエトセトラ。
配役も変われば場面も変わります。ハリウッドかよってくらいのスピード感です。
で、この設定変更、別にどっちかのひとりよがりってことでもなく、お互いに結構ちゃんとそれに対応するんですよ。
母から娘に設定変更されたらちゃんと二人称が「ママ」になりますし、なんなら口調まで「〇〇ですよ!」といったお母さん口調から「〇〇だよー」といった子どもっぽい口調に変わります。
アイドルになったら二人でコンサートを始めますし、ディズニープリンセスになったらどっかから人形を持ってきてそれを王子様ということにします。
とにかく、「ロールの変更と、それに伴う適応」というのがやたら早いんです。
ロールプレイって例えば会社の研修なんかでもやったりしますが、結構難しいんですよアレ。
きちんと「役柄に則った行動や言動」というものを自分で考えないと意味がありませんし、それをなぞるのも一苦労です。ロールがころころ変わるなんて想像しただけで勘弁して欲しい。
それを、まあ勿論遊びの一貫ですし、そこまで精密なものではないにせよ、「瞬間的なロール設定、ころころと変わるロール変更に、殆ど考えることなくついていける」って、冷静に考えると凄いことだと思うんですよ。
正直私には無理です。頭切り替わりません。女の子って皆子どもの頃こんな高度な遊びやってるんですかね?
おおげさに言えば、これは「色んな人間関係を想像し、その人間関係を自分の中でシミュレート出来ている」ということであって、これを繰り返してれば実際の対人関係構築スキルにもかなりの影響を及ぼすんじゃないかなあと思ったりするわけです。
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もう一つ凄いところが、この「ロール変更」には当然相手との交渉・調整がつきものなところ、この交渉が普段に比べて大抵凄いスムーズなんですね。
長女次女はまだ女児なので、おもちゃの取り合いやら、着たい服の取り合いやらでしょっちゅう喧嘩になりますし、喧嘩になればわんわん泣きます。
自分が遊びたいもの、自分が着たい服というのは、子どもにとってとても重要なものであって、そうそう簡単に譲れるものではないのです。
子どもは時に、大人には理解出来ないこだわりを持っていますし、そのこだわりは大人には理解出来ないくらいプライオリティが高いものなのです。
なのに、おうちごっこの時には、この調整速度にブーストがかかって、普段からは考えられないくらいサクサクと交渉が進むんですよ。
「長女ちゃんに△△やらせて!」
「うん、じゃあ次は次女ちゃんに◇◇やらせてね」という具合に、なんかここだけ人が変わったかってくらい歩み寄りが上手なんです。
どうも、おそらく「おうちごっこ」という枠内でのルール、暗黙裡のお約束みたいなものが二人の間にはあって、そのルールの範囲内での交渉はだいぶ柔軟にやっているような印象があるんですね。
「普段の関係はさることながら、このルールの枠内では柔軟に調整する」というのは、大人にとっても重要な力加減です。
社会人でもそういう調整が苦手な人はたくさんいます。
そんな高度なことを幼児の頃からやっちゃうっていうのも、女の子ってのは大したもんだなあと感心する次第なんです。
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もう二点気づいたこととして、
・役柄に大抵ヒエラルキーがあり、ちゃんとヒエラルキーに則った行動・言動になる
・なんかやたら褒め合う
というものがあります。
まず第一に、これはおままごと一般がそうなのか、それともうちの長女次女の嗜好なのかちょっと分からないんですが、「役柄に大体なにかしらのヒエラルキーの傾斜がある」んです。
つまり、例えば「王女様と大臣」とか。「お母さんと娘」とか。「店長さんとアルバイト」だとか。
同格っていう訳じゃなく、ちょっと力関係の傾斜がある役柄設定が殆ど。
勿論それもコロコロと入れ替わりながらなんですが、ロールプレイはその力関係も意識しながらのことになるので、これもだいぶ人間関係に関するセンスに影響してきそうだなあ、というのがまず一つ。
それと、これは単に「頻発する遊び方」ということなんですが、彼女ら、なんかしばしば「やたら相手を褒め合う」という遊びを始めるんです。
「あらーこのドレスの〇〇かわいいですわねー」とか、「そのペンダントも素敵ですわねー」とか。
なんでしょうアレ、遊びの元ネタはなんかのアニメとかテレビなのかも知れないですが、「褒め言葉を投げかける練習」「褒め言葉を受け入れる練習」というのも、遊びとはいえバカにならない話だと思うんですよ。
以前も書きましたが、褒め言葉を受け入れるって、結構慣れと度量がいることです。
褒め言葉を投げかけるのが苦手という人も、自分に投げかけられた褒め言葉を受け入れられないという人も、世の中全然珍しくありません。たくさんいます。
以前書いた記事はこちらです。
おままごとの遊びが即大人になっても使えるなどというつもりは当然ありませんが、単に「褒め言葉をもらい慣れる」というだけでも、これは案外バカにならない経験値になるんじゃないかと。
それに加えて、勿論親としても目いっぱい褒めて育ててはいるつもりですが、遊びとはいえ同格の相手からの褒め言葉を受け取るのも、自己肯定感の形成にはプラスに働くんじゃないかと思ったりするわけなんです。
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ということで、長々と書いて参りました。
結局のところ、
「おままごとって遊び、なんか凄い」
「一般的なのかどうかは知らないけどうちの子どもたちこんなことやってる」
「もしかするとこれ凄い対人スキルの強化ツールになるんじゃ」
という三点が今回書きたかったことですので、他は補足と考えて頂けると幸いです。
何はともあれ、双子女児を見てるのって滅茶苦茶面白いし可愛いし、勿論色々大変なところもあるんですが、全体的に見ればつくづく幸せな体験をさせてもらっているなあ、と考える次第なんです。
引き続き、長男長女次女、当然奥様も含め、家族そろって幸せになれることに全力を尽くしていきたいと考えるばかりです。
今日書きたいことはそれくらいです。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:Angelapia Massaro)