つい先日、こちらの記事を読んで「意識たけぇ」と思わず吹き出してしまった。

読書が苦手な人のための、実用的な本の読み方について。 | Books&Apps

 

ショウペンハウエル、古典を読め等々……

ぶっちゃけ、これは相当に頭のいい人向けの読書術だと僕は思う。これが実践できるのは、非常に熟達した読書家だけであろう。

 

実はもともと僕は本が全然読めなかった。ひと月に一冊読めれば御の字で、その後は疲れてしまい数ヶ月間全く本を読まないなんて事も普通だった。

ってかこれを読んでる多くの人も、そんな感じではないだろうか?

 

読書というのは不慣れなうちは本当に脳のエネルギーを消費する。新井紀子さんの「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本に日本人の3人に1人が簡単な文章を読めないという驚異的な事実が書かれていたけど、日本人の30%しか文章がキチンと読めていないのなら、本を読める日本人なんて下手したら全体の数%とかだろう。

つまり、読書は実のところ物凄くムズカシイ技術なのである。

 

だが逆も真なりで逆説的ではあるが、本が読めるようになれたら日本人の中でも上位数%の知識階級に入れるという事にもなる。

95%の人間ができない事をやれるのだから、その差は圧倒的だろう。

 

というわけで、今回はそんな文字を見るだけで頭が痛くなっていたレベルの僕が、週に平均して4~5冊の本を読めるようになるに至るまでの経緯を書いていこうかと思う。

 

薄い自己啓発書は意外と読書入門には悪くない

かつて受験生時代、英語の長文問題を読んでいて、読み終わったら全ての内容を忘れていた事があった。

この現象にぶち当たった時、僕は自分のあまりの頭の悪さに衝撃をうけたのだが、周りの人に聞いてみると、別にこれは割と普通の現象であった。

そんな程度の人間でも、めげずに毎日英語を読み続けさえすれば、不思議とそのうち中身がキチンと頭に残せるようになる。

 

つまるところ、読書に限らず文章を頭に焼き付けるのは慣れの問題なのだ。筋トレとちょっと似てるかもしれない。

筋トレもそうなのだが、最初からヘビーなものを手にとったところで初心者には全く役に立たない。ここは一度、自分の頭が低レベルなことを認めて、薄っすいペラペラの内容しか書いてない自己啓発書あたりから始めよう。ブックオフの棚に100円で投げ売りされているやつが最適だ。

 

あの手の本のいいところは、本当に1つの事しか言ってない事だ。せいぜい使われているテクは表題と同じ事を具体例を用いて説明するぐらいのもので、論旨展開が非常にシンプルな事からハッキリ言って誤解しようがない。

 

いわゆる読書家の人達の勧めるような本が最後まで読むのがシンドイのは、読むのに多くの背景知識がある事を前提としているのに加え、論理展開もかなり複雑で、結論に至るまでの寄り道も凄く多岐にわたっており、論旨を抑える事が非常にムズカシイという点に集約される。

 

初心者があんな読むのに脳マッスルが必要なものに手を出そうだなんて十年早い。

まずはとりあえず、100冊ぐらいペラペラの自己啓発書を読み漁ってみよう。

これで読書偏差値が35から45ぐらいにはなるはずだし、一冊の本を読み終える事の快感を何度も味わえる過程で、次第に読書の面白みがわかってくるだろう。

 

恥ずかしがらずに漫画やラノベも多読しよう

これに並行して、漫画やライトノベルといったものも多読していこう。

初段階の読書が辛いのは、想像力が欠如した初学者の段階では、頭に何の映像も流れない点に集約される。

背景知識がないから当然といえば当然なのだけど。

 

そこそこハイレベルな読み手ともなれば、本を読んでいると映像のようなものが頭に浮かぶようになってくる。

おまけに、結構知ってることとか今まで経験した事などの背景知識もリーディング中にソコソコ使っており、まあつまるところ本と格闘している時に使ってる武器のレベルが全然違うのだ。

初心者がヒノキの棒なら、中級者はブロードソードぐらいだろうか。

 

そういう武器を手軽に身につけるのに、漫画やライトノベルは最適だ。

漫画を通じて画像を大量に脳にインストールしつつ、ちょっとづつ色々な知識を身につけていく過程で、読書偏差値が5ポイントぐらいはアップする。

 

慣れてきたら漫画も全く頭を使わないで読めるものだけではなく、例えば手塚治虫の火の鳥やブッダなど、かなりキチンと読むのが難しいものまで手を出していけば、どんどん良き読書家としての素養が深まる。

あれらの本は下手に難しい本よりも、ダイレクトにモノの本質を私達に与えてくれる。

 

好みはあるが、僕はこれに加えてかなり大量のライトノベルも消費した。

あれは本当に優れたコンテンツで、オアシスのように美しい一枚絵がそこかしこに仕込んである事から、シンドイ読書ランニングの最中にもめげずに、その扉絵に行きつける事を目標に結構読書が頑張れるような作りとなっている。

オススメは色々あるのだけど、賀東招二のフルメタル・パニックや西尾維新の戯言シリーズあたりが個人的には結構好きだった。

田中ロミオの人類は衰退しましたなんかも凄く凄くいい。

小説で登場人物を抑えつつ、ストーリを追える位にまでなったら、読書偏差値は58ぐらいにはなっているだろう。

ここまでくれば、随分と遠くに来た事を実感できるはずだ。賢い読み手になるまで、あともうちょっとである。

 

好みのジャンルを読み漁る

これまでの読書経験で、既に最低限の基礎体力は身についたはずだ。

あとは、読めそうなものを選んで、ゆっくりじっくり読書を初めていこう。

 

読む場所は喫茶店がオススメだ。家だとつい気が散ってしまったり、眠くなったりしてしまうが、喫茶店で読書をすると意外とそういう風にならない。

高々コーヒー1杯300円程度の出費で、集中力を買えるのなら安いものだろう。

 

ここまで来たら、読むものは本当に何でもいい。それこそ、古典にチャレンジしてみるのも手だろう。

ただ個人的には忙しい現代社会において、古典は読み終えるまでのコスパが著しく悪いので嫌いだ。

忙しい現代人にとっては、読みやすそうなビジネス書や科学・人文系のものあたりを選ぶのが無難だと思う。具体的にいえば、小説なら村上春樹、ビジネス書なら橘玲あたりを選んでおけば無難だと思う。藤沢数希なんかも読みやすくてとてもよい。

 

ビジネス書は、できれば巻末に参考文献が載ってるのがいい。初学段階での読書の難しさは、何を読めば選ぶのが難しいという点がある。

その点、例えば橘玲さんの「読まなくていい本の読書案内」あたりは、現代の知のエッセンスが豊富な参考文献と共に紹介されており、とても良い。読んでて興味が惹かれる本があれば、それを買って読めばいいのだ。同じ理由で、村上春樹の「若い読者のための短編小説案内」なんかも凄くいい。

こういう風に読んでいくうちに、次第に自分の好きな作家ができてくるはずである。僕の場合は、村上春樹と西尾維新、橘玲、佐藤優の新刊が出たら、ほぼ全部買って読んでいる。他にも数学なら小島寛之。海外ならダニエル・ピンクやマルコム・グラッドウェル、アトゥール・ガワンデの本なんかも、ほぼ全部買って読んでいる。

 

古典は確かに時の洗練を耐え抜いているという点において非常に優れているのだけど、せっかく現代に生まれてきたのだから、好きな作家を見つけ、新刊がいつでるかワクワクしながら追っかける楽しみというのを捨て去るのも勿体無い。

新刊だって、意外と捨てたもんじゃない。好きな作者の新刊を追っかけるのは、とてもとても心躍るものである。

 

この段階までくれば、ほとんどの本は読めるようになっているはずである。

例外は大学で学ぶような専門的な知識を必要とするタイプの本ぐらいだろう。あの手の本を読めるようになる為には専門的なトレーニングや職業訓練が必要であり、正直そのレベルに個人で達するのは難しい。

少なくとも僕は、シロウトが独学で医学書を読めるようになるとはとても思えない。

 

とまあ、僕がそこそこの読書家になるまでの経緯はこんな感じだ。一応、最後の最後にデメリットを1つ言っておくと、この意識が低い人向けの読書を趣味にするためのメソッドですら、習得には結構時間がかかる。

 

僕がこれを初めたのは高校2年生ぐらいからで、そこから休みをはさみつつ、空気を吸うように本が読めるようになったのは大学5年生ぐらいの頃だ。

つまり、ゆっくりではあるものの、都合で5~6年ぐらいは時間を使ってる事になる。集中してやれば2~3年でやれなくはないとも思うけど、まあそれなりに大変なのはしょうがないけど事実だろう。

 

果たして、そこまでやって読書を趣味に組み込みたいか。結局のところ、このメソッドをやるか否かは、ここに集約されるだろう。

個人的には、読書は随分と為になったと思うし、今でも記事の執筆ネタに使えたりと、得られた恩恵はすざまじいなとは思うけど、とはいえ人生他にも楽しいことなんていくらでもあるよと言われれば、それもそうだな、とも思う。

 

とまあ、こんな感じでしょうか。

それではみなさん。良い読書ライフを。

 

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【プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

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