非常に面白い本を読んだ。ファーウェイと米中5G戦争 (講談社+α新書) である。

 

この本を読むまで、僕はファーウェイというと中国共産党が作ったスパイ企業みたいなイメージが強かったのだけど、読後はガラッとその印象は一転した。

 

月並みな言い方で恐縮なのだけど、ファーウェイに対してよくわからないけど悪い印象を持っている人は、ぜひ読むべきだと思う。以下、簡単な内容紹介と雑感を進めていこう。

 

深センには「ファーウェイ城下町」がある

ファーウェイの本社は中国のハイテク都市である深センにあるそうなのだが、筆者がそこを訪れるシーンは圧巻である。

 

筆者が香港からタクシーを使い深センのファーウェイ本社へと向かったところ、30棟もの高層マンションが建ち並ぶ郊外の住宅街にたどり着いたのだという。

 

それをみた著者は「はてな?この住所はファーウェイ本社のはずだが、なぜ住宅街が?」と最初は訝しんだそうだが、徐々に「ここは、5万人の社員とその家族が住むファーウェイ社員の住宅街なのか!」と衝撃をうけたそうだ。

 

この衝撃は文章だけでは伝わりにくいだろうから、比較の為に具体例を出すと、東京都の千代田区民がだいたい6万人ぐらいである。

引用:http://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/sekatsu/jore/bika/ 

こうやって、土地と人工規模をセットで出されるとその異常な光景がよくわかるだろう。

 

ファーウェイ本社はまさに、現代の「城下町」なのだ。

 

自由資本主義VS計画資本主義

今世紀の覇権国家がアメリカである事を疑う人はいないだろう。

 

市場原理を徹底し、全世界から優秀な頭脳を吸い上げ、シリコンバレーというグローバル社会の北極のような場所で生み出される数々のテクノロジーの凄さについては、今更いうまでもない。

 

アメリカの強みは、とにかく全世界から最も優秀な頭脳を抽出できる点にあった。

特に、第二次世界大戦の頃、欧州でユダヤ人が迫害されていた頃にアメリカへと渡り、頭脳を提供した天才は数多い。

フォン・ノイマンやアインシュタインのような国宝級の頭脳が集結するだなんて、まるで天才のオールスターゲームみたいである。

 

一方で中国はというと、少なくとも2000年前後の頃までは本当にパッとしたイメージが少なくとも僕には感じられなかった。

当時中学生だった僕は、グレート・ファイアウォールという言葉で揶揄されるほどに隔離された中国のインターネット社会をみて

 

「IT化が叫ばれる世の中に置いて、こんな鎖国のような囲い込みをしてグローバル社会から逸脱するような国が、経済発展するはずがないじゃないか」

 

としか思えなかったのである。

 

囲い込みだけじゃなく、サービスも本当に丸パクリみたいなものばかりしかみられなかった。

まるでシリコンバレーのパクリとしかいいようがない中国のネット企業の数々をみるにつけ「ガチンコでバトったら中華製品なんてパチモンだから、使い物になるまい」と思っていたのは僕だけではないはずだ。

 

が、ここ数年の中国製品は本当に圧倒的である。

スマホでいえば、ちょっと前までポツポツみられていたAcerやらの台湾系企業はほぼ消滅しているような有様で、「ぶっちゃけiPhone余裕で超えてるんじゃ・・・」と思わされるレベルでファーウェイのスマホは使用感がいい。

 

それまでAndroidスマホというと、iPhoneよりちょっと安い代わりにカクカクするような二級品だった事を考えると、恐ろしい発展速度である。

 

「いままでは自由資本主義が最高のシステムだと思ってたけど、計画資本主義がまさかそれに追いつけるとは・・・」

 

これが最近の自分の実感である。たぶん、同じような事を思っている人も多いだろう。

 

実は人種でIQはかなり偏りがある

この本ではファーウェイの創業者である任正非CEOの生い立ちから現在に至るまでの簡単な歴史の流れも書いてあり、それも非常に面白い。

 

1968年に人民解放軍に入り、1982年に大規模なリストラの断行によりお役御免となった任正非CEOが、1987年に43歳で5人の仲間と立ち上げた小さな会社が、まさか世界を揺るがす巨大企業となるのだから、世の中というのは本当によくわからない。

 

しかしである。世界中から優秀な人材を集めているアメリカが、なんで中国にここまで科学技術で追い上げられてしまったのだろうか?

その問いにすっぱり答えるのは簡単なことではないが、1つにはそこで働く中華系民族のポテンシャルの高さがあるだろう。

 

現代社会は高度に知的になったがゆえに、ハイスペは骨肉の様相で奪い合いとなっている。

 

実はハイスペを分析していくと、物凄く人種に偏りがでてくるのだという。

 

作家の橘玲さんはその著書・もっと言ってはいけないで人種別のIQについて言及している。

それによるとアシュケナージ系のユダヤ人、中華・韓国・日本近辺に住むアジア人、バラモン系のインド人など、一部の大陸系人種は他と比較して如実にIQが高い人が多いのだそうだ。

 

実はシリコンバレーで働く人種を細かく見ていくと、ほとんどこれら高知能系の人種に偏ってしまうようで、頭のよさは物凄く民族規定因子が強いというのである。

 

ファーウェイがここまで急速な成長を遂げられたのも、そこで働く人のポテンシャルが非常に高いという事と無関係ではなかろう。

 

様々な要因が作用し、最もポテンシャルが高い中華民族が結託できた事で、ついにグローバル社会の覇王となる資格が中国にも回ってきたというわけだ。

 

天子は一人のみである

ファーウェイがなぜここまで叩かれるかというと、今後世界の覇権を取るであろう国の一大因子として、5G通信網をどこの誰が整備するかが大きいのだという。

 

詳しいことは本書を読んで欲しいのだが、既にファーウェイは5G技術に関していは他を圧倒して突き放しており、なおかつ既に6G通信網すら開発しているのだそうだ。

 

これに対し、なんとか色々な方法で圧力をかけてストップをかけたいというのが、アメリカのファーウェイに対する様々な措置の理由だという。

 

僕はこの話を読んだ時、自然と中国の古典に出てくる劉備と曹操、項羽と劉邦のエピソードを思い出した。

いつの世も、覇王となるのは一人のみである。二人の王が共存するという事はない。

 

実際、専門家によると新興国の国力が覇権国を追い抜いた場合、両者が戦争に至る確率は70%以上にも及ぶという。

<参考 米中もし戦わば 戦争の地政学 (文春文庫)>

 

古来より、覇権を握るのは天から運を授けられた人と、優れたシステムを持つものだった。

王は基本的には共存しない。天命を授けられたどちらかが、どちらかを飲み込み、旧システムは最終的には駆逐されてしまう。

 

前世紀はまさに資本主義VS共産システムの争いだった。

 

フランシス・フクヤマは1992年に「歴史の終わり」を書き、国際社会において民主主義と自由経済が最終的に勝利し、それからは社会制度の発展が終結し、社会の平和と自由と安定を無期限に維持するという仮説を唱えた。

 

それほどまでに、民主主義と自由経済は良くできたシステムだった。

少なくとも「歴史の終わり」が出た当初は、あれを超えるシステムがあることなど誰も想像ができなかっただろう。

 

しかし世の流れは早い。「歴史の終わり」が執筆されてから、たったの30年で計画資本主義という自由資本主義を超える可能性があるシステムが出てくるのだから、まったく歴史は私達を飽きさせてくれない。

 

自由資本主義か計画資本主義か。天はどちらに天命を与えるのか。その答えを知ることは容易ではないが、僕が生きている間には回答がみれそうである。僕はそれをとても楽しみにしている。

 

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高須賀

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(Photo:Timothy Kolczak