成果をあげるための、最も重要な技術の一つは、「時間の使い方」だ。

時間はあらゆることに必要となる。時間こそ真に普遍的な制約条件である。あらゆる仕事が時間の中で行われ、時間を費やす。(中略)

時間に対する愛情ある配慮ほど、成果をあげている人を際立たせているものはない。

 

ところが、これは極めて「当たり前」のことなので、これを人に伝えても

「まあ、そうだよね締切あるし。」

「私もそう思います。スピード大事。」

と、聞き流されてしまう。

 

刺さってないな、とそのたびに感じる。

「時間は大事だよね」と言われても、多くの人はその時間の使い方を変えない。

 

例えば、過去に私が在籍していたコンサルティング会社でも、時間を大事にしない人」は多かった。

上司から「なぜ期限を守れなかったのか」と聞かれると、彼らは「見込みが甘かったです」という。

 

上司は呆れて「時間の使い方を見直せ」という。

だが、残念ながらなかなか改善しない。

彼らはどんな状況でもタスクを遅延させてしまい、周りを困らせ、周囲を悩ませていた。

 

「好きなこと」ではなく「大事な事」を先にやる

一体なぜ、彼らは「時間の使い方を見直せ」と言われながらもタスクを遅延させ、多大な時間を浪費するのだろう。

 

私はさんざん迷った末、一人の有名投資家の文中に、それを見つけた。

それは、ビジネスではなく、私生活の描写だった。

父は私のほうに向いてこう言った。「お前、何が安い買い物か知ってるか?」父が何を言おうとしているのか見当がつかず、私は「わからないよ。何だい?」と答えた。

「花さ。花はまったくお買い得だ。それに引き換え、おそろしく高くつくものは何だと思う?」。

私はこれにもわからないと答えた。「離婚だ」と父は言った。

 

このジョークは実際のところ、ジョークではなかった。

私はこのままでは時間切れになってしまうのを思い知らされた。そのときまで、私は本当に真剣な選択をしたことがなかった。(中略)

 

自分がしたいことではなく、何が大切なのかという優先順位で、世界を見ることをこのときに初めて学んだ。

「自分がしたいことではなく、何が大切なのかという優先順位で、世界を見る」こそ、金言だ。

生産性向上の要は、すべてに「優先度」をつけて、大事な事を先にやることにある。

 

上の投資家は目先の仕事に目を奪われ、「大事」な家族に時間を使っていなかった。

当然「生産性」は低迷する。

だから、父親は指摘した。

「少しでいいから、大事な事を優先しろ」と。

 

仕事も全く同じだ。

「目先のやりたいこと」ばかりに時間を使い、「大事な仕事」を後回しにすれば、ひたすらまじめに働いても、大したことはできない。

 

卓越した人々は「大事な事だけ」をやっていた

数年前、私はあるサービスのPR記事を書いた。

「オンラインアシスタントを雇って、時間を作りましょう」という趣旨の記事だ。

スタートアップの創業者や個人事業主が「時間の使い方」を極めるために利用するサービスとは。

キャスタービズは、スタートアップの創業者や個人事業主に、最も貴重な資源である「時間」を確保してもらうことに貢献するサービスを行っており、大きな成果をあげている。

ただ、今読み返すと、もっと踏み込む必要がある。

「時間を作る」よりもさらに「大事な事だけやる」の方が本質だからだ。

 

実際、スタートアップの経営者や、インフルエンサーなどの卓越した人々はごく当たり前に「大事な事だけやる」を実践している。

 

「本当に大事なこと」に時間を使ったほうがいい

例えば、澤円さん。

澤円(さわ・まどか)

外資系大手IT企業業務執行役員。株式会社圓窓 代表取締役。プレゼンテーション講習やピープルマネジメント手法の講演、メンタリング、オンラインサロンの運営など様々な活動を行う傍ら、テレビやラジオにも多数出演。複数のWeb媒体で連載を持つ。インフルエンサー。Voicy「澤円の深夜の福音ラジオ」は上位ランキングの常連。

澤さんは「会社はもう誰の人生も看ません。そんな時代だからこそ、自分の人生を生きる人を応援したい」と、様々なテーマで啓蒙活動を行っている。

 

その澤さんは、約2年前からキャスタービズのオンラインアシスタントを利用している。

現在アシスタントに外注している業務は、「スケジューリング」「タスク設定」「問い合わせの一次対応」「条件の提示」「過去の実績調査」などの管理業務の一切合切だ。

 

澤さんがアシスタントに外注を依頼するきっかけは、飛行機のチケット手配を3回連続で間違えたことだった。

それまでは「個人の業務にアシスタントなんて、コスパが合わないし、大げさだ」と思っていたそうだ。

 

しかし手配ミスを期に、澤さんは「時間の使い方」を改めた。

「自分でも意識していませんでしたが、管理業務には、相当な精神的負荷がかかっていまました。特に、講演の「条件面」でのやりとりは負荷が高く、それをアシスタントにやってもらえるのは、精神的に相当楽になり、もっと成果も上がりました。」

 

実際、管理業務が手を離れたことで、余裕が生まれ、本業での成果も上がり、売上は2年前に比べて7倍にもなった。

 

更に、澤さんは

「お金を稼ぐだけだったら、会社で出世したほうが早い。でも「本当に大事なこと」があるなら、そっちに時間を使ったほうがいい。だから、時間への投資は惜しまないこと。」

と述べる。

 

メンバーは「付加価値の高い業務」しかやらない

また、成長著しい「栄養のインフラ」を目指すスタートアップ「BASE FOOD」社も、「大事な事を優先する」について、非常に敏感だ。

「BASE FOOD」社は国内の累計販売食数において、2019年の11月に100万食、2020年4月には200万食を突破し、アメリカのフードテックイベントでも注目を浴びるなど、破竹の勢いで成長している。

 

その「BASE FOOD」COOである小林紘子さんは、外資系投資銀行、国内大手アパレルメーカー、Amazonを経たのち、約2年前に「BASE FOOD」に参画、近年の急成長の立役者だ。

 

小林さんから話を聞いてまず驚くのは、彼らの生産性の高さだ。

入社以来、「BASE FOOD」の単月での出荷食数は、10倍近くに成長した。

ところが社員数はほとんど変えず、驚異的な業務量をたったの19人で 、しかも「健全に」こなしているという。

 

なぜそんな事が可能なのか。

小林さんは「メンバーは付加価値の高い業務しかやらない」という。

社内では「生産性」を突き詰めるカルチャーが醸成されており、小林さんは勤怠管理、タスク管理、プロジェクト管理などはもちろん、販売管理、在庫管理など、ありとあらゆる業務の自動化に、「既成の」外部クラウドサービスを活用している。

 

だがもちろん、既存のクラウドサービスには自社の要求するカスタマイズができないこともある。

例えば、一部のレポーティングや取引先の発注入力、あるいはアウトソース先の調べ物、簡単な調査業務などだ。

その「カスタマイズができない部分」についても、彼らは「社員」を雇うようなことはせず、キャスタービズのオンラインアシスタントを最大限に活用している。

 

だが、一体なぜ彼らはそこまでして、「付加価値の高い仕事」にこだわるのだろうか。

 

小林さんに話を聞くと、「それは、少数精鋭で行きたい」「性善説に基づく、自由な働き方をしたい」というトップと社員の意向があるからだという。

それらは入社1年目の人物にも適用される、鉄の掟だ。

 

つまり彼らにとって、それが「大事なこと」であり、「優先されるべきこと」なのだ。

 

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スタートアップの経営者、個人事業主はもちろん、成果を追求するビジネスパーソンはすべて、「大事な事」を最優先にしなければならない。

時間を有効に活用するためにも、一度「大事な事を本当にやれているか」を、見直してみてはいかがだろうか。

 

大事な事を後回しにしているならば、優先度の低いことは「誰かに任せる」という選択肢を検討しても良いだろう。

>>キャスタービズサービスサイトで話を聴いてみる。

 

 

 

【著者プロフィール】

◯Twitterアカウント▶安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者(tinect.jp)/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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