最近、任天堂のリングフィットアドベンチャーという筋トレゲームを始めたのだが、これがまあエラいよく出来ていて驚いてしまった。
最初は
「筋トレのゲーム?そんなん面白いはずないやろ」
と思いスルーしていたのだが、あまりにもバカ売れしてるので興味を持ち、実際にプレイしてみて想定外の面白さに本当に驚いている。
購入後一ヶ月程度たったのだが、ほぼ毎日ワクワクしながらやってたりするので、これは驚異的である。
(ある日の僕の筋トレ内容)
あまりにも自分が楽しそうにやってる姿をみて妻も興味を持って始めたのだが、普段ゲームをやらない妻ですら楽しく毎日プレイしている有様である。
これは奇跡のような超絶楽しい筋トレゲームだといっても過言ではない。
筋トレをエンタメにできてるのは本当に凄い
そもそもの大前提として、筋トレはあまり面白いものではない。
実は僕も学生時代に毎日腕立て伏せ100回、腹筋50回をこなしていた時期があった。
やっていた身でこういう事をいうのもなんだが、正直言ってそれらを楽しくやれた記憶は全く無い。
なんらかの下心や義務感を支えにしばらくはやれても、残念ながらつまらない事は継続できない。
毎日やってたのが次第に2日に1回、1週間に1回となり、自然とフェードアウトするのが関の山である。
それがリングフィットアドベンチャーでの筋トレは恐ろしい事に楽しいのである。
そのキーは敵を筋トレで攻撃しているという錯覚と作中の登場人物であるリングにある。
攻撃は楽しく、防御はつまらない
どんなゲームでもそうなのだが、攻撃は楽しく防御はツマラナイ。
例えば将棋なら、飛車や角を用いて敵陣を撹乱するのは大変気持ちがいい。
その逆、責められてる最中の受けの立ち振る舞いのつまらなさといったら…
筋トレがつまらない最大の理由として、この攻撃・防御問題は大きいように思う。
腕立て伏せやら腹筋は苦難を耐える防御的な感覚に近く、普通の人間はこの防御行為に面白みを見出せない。
それがこのリングフィットアドベンチャーでは、筋トレが≒攻撃なのだ。
RPGモードで遭遇する敵に筋トレを通じてダメージを与える。そして敵が倒れる姿をみる。
たったこれだけの事なのだが…面白い事に脳は筋トレ行為を”楽しい攻撃”として認識する。
本当にほんの少しの認知の違いでしかないのだが、この些細な違いが私達のやる気を強く喚起する。
任天堂の見事な技術力があって初めてその認知の倒錯を生み出せているのだろうが、正直ここまで見事に行動変容させられてしまうと、そのテクノロジーの凄みは衝撃としか言いようがない。
作中の登場人物リングの見事すぎるマネジメント能力
また、見逃せないのが作中の登場人物であるリングの見事すぎるマネジメント技術である。
リングフィットアドベンチャーの本編はRPGであり、先程もいったようにモンスターとの戦闘モードがある。
そこで主人公は筋トレ行為を通じてモンスターにダメージを与えるのだが、この筋トレの最中、パートナーであるリングが歯の浮くようなお世辞を私達に投げかける。
これがまあエラい効くのだ。お世辞とわかっちゃいるのに、凄い効く。
「凄い!」
「あともうちょっと!」
「よく頑張ったね!」
筋トレを一回1回やるたびに、リングは忘れずに私達に褒め言葉を投げかけてくれる。
文字にして書き起こせば正直そう大したことは言っていないのだが、これが音声で流れるだけでスゲェやる気がミチミチてくるのだから、本当に不思議である。
考えてみると、筋トレとは本来孤独な取り組みである。一人で淡々と腕立てや腹筋をやる。
そういう誰からも褒めてもらえない、己のためだけにやるのが筋トレというもののサガだった。
それがリングフィットアドベンチャーでは筋トレは褒められ行為なのである。
自分の為に筋トレをしているにもかかわらず、リングはべた褒めしてくれる。
これは凄い話だ。
現実世界で利己的行為をこんなにも褒めてくれる人はいない。
ヴァーチャル空間の話とはいえ、こんな夢のような世界を現実世界に登場させてるのだから、いやはや任天堂の技術力はお見事だという他ない。
僕にもリングみたいな上司がいればよかったのに…
褒める
ぶっちゃけ、リングのやってる事はたったそれだけである。
何か凄く気の利いた事をいってるわけではない。
けど、それが物凄く効くのだ…少なくとも、筋トレがあまり好きではない自分が一ヶ月楽しくゲームに集中できているのだから、上司としては物凄い有能である。
そんな彼をみる度に思うのだ。
「本業でも、こんな感じの上司がいたらよかったのに」と。
医者の世界で恐縮なのだが…医者の多くはプレイヤーとして優秀な人はそれなりにはいるのだが、ことマネージャーとして優秀な人は本当に少ない。
ぶっちゃけ多くのマネージャーは他人のやる気を著しく損なわせるような言動を繰り返す人ばかりで、それを聞く度に僕は
「この人、もういっそ何もしない方がマシなんじゃないか…」
と思ってしまう事も多々ある。
そういった事もあって、最近はリングフィットをプレイすると
「現実世界の上司はやる気を削ぐ事しかできてないのに、リングは他人のやる気をアゲアゲしまくってる…」
「リング、マネージャーとして優秀すぎひんか?うちの上司にぜひとも欲しいンゴね…」
とついため息がでてしまう。
このメッチャ優秀なマネージャーとして紹介したリングだが、実はプレイヤーとしての彼は極めて無能である。
自分では何もできないし、そもそもリングフィットアドベンチャーの敵役であるドラコは彼が原因で闇落ちしている。
その結果、あの世界は混乱の渦に巻き込まれているのだから、リングこそが諸悪の根源といっても過言ではない。
そんなプレイヤーとしては無能すぎるリングが、ことマネージャーとしては唯一無二といってもいいほどに有能っぷりを発揮しているのだから、世の中の適材適所というものを本当に感じてしまう。
プレイヤーとして優秀≒マネージャーとして優秀というわけではない事が痛いほどよくわかる今の自分にとって、リングの姿は色々な意味で本当に勉強になる。
僕も彼まではいかずとも、今後上の立場に立つようになったら部下のやる気を削ぐような立ち振る舞いはさけようと、リングをみるたびに思わされてしまうのである。
これから始める人+やってる人へのアドバイス
最後に、この記事を読んで興味を持ってくれた人向け+今まさにリングフィットをやってる人向けにアドバイスを書いていこうかと思う。
1. ヨガマットは絶対に買え
エクササイズの多くは地面と接するものが多く、地面が硬いと痛い思いをして筋トレどころではなくなる。
安いものでいいから、ヨガマットは絶対に買うべきである。痛くないだけで全然筋トレへの熱中度合いが変わる。
なお、ヨガマットは結構滑るので滑り止め付きのものを買うのがオススメだ。
2. Switchはライトじゃなくてモニターに接続可能なのを買え
Switchは外部モニターに接続可能なものとライトという携帯専用のものがあるのだけど、リングフィットアドベンチャーは大きなモニターでやらないと全然楽しめないので、ライトver.は買ってはならない。
昨今の多くのゲームはモニターが特段必要ないものが多いのだけど、ことリングフィットアドベンチャーに関して言えばモニター無しは地獄である。
3. 余裕があるなら、コースは全部モモアゲで疾走しつつ、リングコンを押しまくってれば短時間で結構効く
リングフィットアドベンチャーのストーリーモードは指定されたコースを走るのだけど、この時に移動は全部モモアゲでやると短時間で結構効く。
リングコンを持つ手も暇なら押すなり引っ張ったりしてればトレーニングになるので、暇だなーと思うならガツガツできる事を探してやる事である。それだけで随分運動効率は変わる。
なお、いうまでもなくこれは余裕がある人向けのアドバイスなので、運動初心者は普通のランニングでOKである。
4. 余裕があるなら、足を開くタイプのエクササイズは相撲の四股を踏む感じでやる
リングフィットアドベンチャーにおける筋トレメニューの結構多くのものに足を弓のように開くものがあるのだが、あれをテキトーにやるのではなく、相撲の四股を踏むように開いた感じでやると、下半身に凄く効く。
https://www.irasutoya.com/2016/07/blog-post_982.html より
足を大きく開いて、弓を作るようにアーチを作る。
こうすると足の裏側の筋肉が張るのだが、この部位はみんな鍛えてないので結構効く。
リングフィットアドベンチャーの各動作はプロ根性がこれでもかと詰められており、本当に色々考えられてるなぁと感心させられる事が多いのだが、足のアーチだけはあまり言及が多くないように感じたので、お世辞とわかっちゃいるのだが記載させて頂いた。
なぜ脚のアーチについて書いたかというと、これこそが若々しさを保つ一番の秘訣なのではないかと最近思うようになったからだ。
最近、サウナ目的で銭湯に通うようになり、いろいろな人の身体をみる機会が増えたのだが、ヨタヨタした高齢者とキビキビした動きのできる高齢者の違いが”尻”に大きく現れる事に気がついた。
引き締まった尻をしている高齢者の動きの機敏さは驚くばかりである。
その逆は…記述するまでもないだろう(なお、相撲取りの尻は本当に見事で、動けるデブの秘密があそこにあるような気がする。大相撲をみる機会があったら注目してみてほしい)
考えてみれば、尻は座っていたり寝ていたりする際、私達を支え続ける大事な肉の壁として機能している。
その最後の砦がたるんでしまったら…確かにシャッキリできなくても仕方がないのかもしれない。
とはいえこの尻、現代社会で鍛える機会が意外とない。
だがリングフィットアドベンチャーでは尻を鍛える運動の宝庫である。
スクワット系の運動は言うまでもなく、足を開く系の運動で四股を踏む気持ちでやれば、その差は歴然だろう。
これで引き締まったヒップラインがきっと手に入るはずである。
楽そうにみえるヨガ系のポーズも、四股を踏むようにやるだけでかなりキツくなるので、短時間でガッツリ効かせたいあなたは是非取り入れてみて欲しい。
とまあ、リングフィットアドベンチャーの魅力についてはこんな感じである。
少し前までは全然買えなかったが、最近はちょっと頑張れば結構みつかるので、ぜひとも頑張って入手してプレイしてみて欲しい(GEOでよく見かけるので狙い目かもしれない)
というわけでみなさんも、よい筋トレライフを!
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都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます