この記事おもしろいなー。よし、Twitterでつぶやこー!
読者の方にそう思っていただけたなら、ライター冥利につきるというものだ。
エゴサーチして「雨宮さんの記事はやっぱりいいな」なんて見つけた日には赤飯だし、「この人の考え共感するわ〜」と書いてもらえたら自信につながる。
情報シェアがあたりまえのこの時代、なにかを見つけ、気づき、言いたいことがあったら、みんな気軽に発信する。
ネット記事はとくに、「読んで→つぶやく」という流れになりやすい。
が! ちょっと待って!
記事の一部をスクショしてそれをつぶやこうとしてない!?
拡散するなら記事URLも貼って!! お願いだから!!
というわけで、ライターの視点から、拡散するならURLを載せて欲しいと切に願う理由を書いていきたい。
スクショ拡散は4万リツイート、記事URLは500リツイートの現実
まず、こちらのツイートを見ていただきたい。
日本で生きづらさを感じてジェンダーキャップ指数38位のオランダに移住したリベラル女性の"気付き"、面白いね。 pic.twitter.com/kjkRph7vk5
— 遊牧民 (@megane2480) 2021年1月25日
現在(2月10日)でリツイート4万超え、いいねも13万を超えている。
バズもバズ、大バズである。
がしかし、ツイートに記事URLが記載されていないので、「おもしろそうな記事だな」と思っても、その記事にアクセスすることができない。
ツイート主の方はリプライでURLを改めて記載しているが、そのリツイート数はわずか500。
もともとの4万に対し、たったの500である。
わたしも何度か自分の記事のスクショのみが拡散されたことがあるから、よくわかる。
URLが載っていたからといって、みんながみんな記事を読むわけではない。リプライでのURL追記なんて、なおさらである。
ライターからしたら「ぜひ元記事も!」と思うけど、通勤や家事の合間にツイートを流し読みしている人からすれば、そんなん知ったこっちゃないわけで。
スクショを見てあらかた内容を把握したのに、わざわざリプライなどから元記事を探して読もうだなんて思わないよね、うん。
だから、URLなしのスクショだけでつぶやいた人を責めるつもりもなければ、それを拡散した人をどうこう言うつもりもない。
ライターにとっては大きなことでも、それ以外の人からすれば
「なんかバズってるツイート」
くらいの認識なのはわかってるから。
でも、だからこそ、ライターが「拡散するならスクショだけでなく記事URLも」と強く思う3つの理由を伝えたいのだ。
バズはライターにとってボーナスステージ
大前提として、「たくさんの人に自分の記事を読んでもらいたい」というのはある。
せっかく書いた記事、というのもあるけど、書き手はつねに実績を求めているからだ。
企業勤めであろうがフリーランスであろうが、「これだけ多くの人に読まれる記事を書きました」という実績は強い。
そしてその実績を提げて、大きなお仕事につなげていくのだ。
読まれた回数は社外秘でも、SNSでの拡散は数字で見せることができる。
すさまじい拡散の直後に「寄稿させていただけませんか」と他メディアに連絡すると、「その記事読みました。ぜひ!」と言われる可能性も高い。
だから、SNSでのバズはライターにとってステップアップの大チャンス、ボーナスステージというわけだ。
自分のフォロワーが増えたら、その後の記事も継続して読んでくれる人もいるかもしれないし、そこからファンになってくれるかもしれないし。
でもバズとは一過性のものであり、スピード勝負。
そこに出典(元記事のURL)がないと、記事を読んでもらう大チャンスを逃してしまう。
だから、「記事拡散するなら! ぜひ! URLも!!!!!」となるのだ。
スクショ拡散はライターが意図しない炎上につながる可能性も
URL記載をお願いする理由は、もちろんそれだけじゃない。
記事の一部をスクショで切り取られると、誤解されやすく、場合によっては予期せぬ炎上につながってしまうこともある。
これがなかなか由々しき問題なのだ。
一部の人をのぞき、ほとんどのライターは炎上を嫌う(議論が盛り上がり賛否両論なのであれば大歓迎だけど)。
炎上狙いの書き手も一定数いるが、そういう人たちはきっと、文章を書くよりも注目を浴びるのが好きなのだと思う。
文章を書くのが好きでそれを生業にした人は、自分の文章でわざわざだれかを傷つけたり、嫌な気持ちにしたりはしたくないと考えるはずだから。
炎上して一時的に多くの人に読んでもらえても、実績として誇れるものではないし、ネガティブなイメージとともに名前を覚えられるのも悲しいしね。
だからライターは基本的に、余計な敵をつくらないように言い回しを考え、反論がきそうな部分はフォローを入れながら書く。
……が!
記事の一部だけを切り取られ、さらに出典がないとなると、そういった書き手側の自衛が機能しなくなってしまう。
たとえその前後にいろいろと但し書きをしていても、それを切り取られたらどうしようもない。
出典URLがないから、「記事読んでから文句言えよ」も通用しない。
ツイートする側が一部をスクショし、煽るようなコメントとともにつぶやけば、まるでそれが記事の本旨のように伝わってしまう。
結果的に、書いた本人が気づかないうちに足元が燃えている……なんてことになるのだ。
たとえ「誤解です! 元記事の趣旨はまったくちがいます!」とライター本人が必死に火消しに回っても、多くの人は見向きもしない。
これが自分の身に起きたら、と考えると……おぉ怖い。
だから、「拡散するならURLも記載してくださいお願いします」という気持ちになるのだ。
エゴサーチはライターにとって欠かせない市場調査
そしてもうひとつ。
これもきっと多くのライターがやっていると思うのだが、ライターは読者の方の反応をみるため、エゴサーチをすることが多い。
自分の記事のURLやタイトルで検索をかけ、どんなコメントがついているのか調べるのだ。
そこで共感が多ければ「よっしゃ!」と拳を握りしめるし、まちがいの指摘があれば謝罪・訂正をする。
批判も、一理あるものはちゃんと受け止め、今後に生かす。
エゴサは、ライターにとって市場調査みたいなものだ。
どんなものがどういうふうに受け入れられているのか。顧客の声はどうか。次はどうするべきか。
そういったことをサクッと確認できるのがエゴサーチなわけだ。
だから、個人的にエゴサーチはあんまり好きではないけど、毎回やる。
エゴサーチを「自意識過剰」「わざわざ見にいくなんて」と考える人もいるけど、発信してる側からしたら、自分の商品の評価を確認するのは当然なのだ。
がしかし、タイトルも記事URLもないスクショでの拡散だと、そういったコメントが追えなくなる。
せっかく多くの人の目に留まったのであれば、感想を知りたくなるのがライターの性。
とくに、事実誤認の指摘や専門的な視点からの補足などは見逃したくない。
今後に活かすためにも、ライターとしては、拡散時は記事URLをぜひとも載せてほしいと思うのだ。
URLつきの拡散ならみんなハッピーになる
読者の方からすれば、「ライターの事情なんて知ったこっちゃねー」と思うだろうし、実際たしかに関係ない。
でも出典があるのとないのじゃ、書いた側には大きなちがいがある。
つぶやく側としても、著作権どうのこうのでトラブルになりたくはないだろう。
専門家ではないので掘り下げはしないけども、出典なしは色々と問題になる可能性が高い。
もしあなたがなにかおもしろい記事を見つけたとしたら、ぜひ、スクショ添付ではなく記事URLを載せてつぶやいてほしい。
そしてもしタイムラインで、スクショのみのおもしろそうな記事を見つけた場合、リツイートする前にリプライを見てみてほしい。
きっとだれかが、元記事のURLを追記してくれているから。
ライターは拡散していただく立場ではあるけども、このあたりを理解していただけるととってもうれしいなぁ、なんて話でした。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
名前:雨宮紫苑
91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&
ハロプロとアニメが好きだけど、
著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)
日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち (新潮新書)
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ブログ:『雨宮の迷走ニュース』
Twitter:amamiya9901
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