ちょっと「言語化能力」とダライアス外伝についての話をさせてください。

 

この記事で書きたいことは、大体以下のような内容になります。

 

・言語化能力は非常に重要ですよね

・言語化の際に意識するべきなのは「明確さ」と「再現性」

・その為にテンプレートを用意しておくことが非常に有効

・ところで私は言語化能力をダライアス外伝の攻略で身に着けました

・ダライアス外伝めちゃくちゃ面白いので皆遊んでください

 

以上です。よろしくお願いします。

 

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまいましたので、後はざっくばらんにいきましょう。

先日、安達さんがこんな記事を書かれていました。

今の世の中は、「言語化する能力」が高い人が、有利に事を運べる

今の世の中は、「言語化する能力」が高い人が、有利に事を運べる。

とくに知的な仕事では、自分の思考を、他者に理解させ、そして動かす力が、とても重要だ。

要求を伝えること

アイデアを交換すること

組織や人のつながりを作ること

これらすべてにおいて「言語化能力」は、重要であり、「賢さ」の要件の一つであることは間違いない。

ビジネスにおいて言語化はとても重要であること、しかし言語化には高いコストが必要であり、言語化を怠る人も多いこと。

その為、言語化を習慣化して身に着ける必要があること。

 

それぞれもっともだと首肯するところなのですが、この記事への反応を見ていると、「でも結局言語化能力ってどうすれば身につくの?」とか、「言語化能力の定義が曖昧」「具体例が欲しい」みたいな言葉もちょこちょこ見受けられました。

その為、私なりの言葉で「言語化」について書いてみたくなりました。

 

一言で「言語化」と言っても、言語というのは非常に幅広いものでして、同じ「言語化」でも例えば詩作と科学論文の作成では要求される能力がだいぶ違いますし、「自分の願望を伝えたい時」と「状況の報告を行う時」でも若干スコープは変わってくるでしょう。

それは前提として、ここでは「ビジネス上でのやり取りで一般的に必要とされる言語化能力」くらいに話のスコープを置きたいと思います。

 

私が考える限り、「ビジネスにおいて価値の高い言語化」というものは、二つの要件を必須としています。

それは、「明確さ」と「再現性」です。

 

そもそも「言語化」というものは、「曖昧な状況、想い、願望といったものを言語の形にする」という行為です。

つまり、「曖昧」な状態を「誤解されにくい、なるべくはっきりとした」形で表現しなくてはいけない。

だから、シンプルな表現、単一の解釈に落とし込みやすい論理構造が尊ばれます。

 

そして再現性。これはつまり、「多少時間軸や登場人物が変わっても、同じような状況なら同じようにその言葉を利用することが出来る」という意味です。

一度明確な言葉で言語化をすることが出来れば、何度もその言葉を使い回すことが出来る。

これは、「その後の言語化のコストを丸々省略することが出来る」ことを意味していて、ビジネス上非常に価値が高いです。

 

これらを実現する為に、使うと便利なのが「テンプレ」とか「型」です。

世の中には、「この型に落とし込むと、曖昧なものを綺麗に言語化出来るよ」というテンプレートがたくさん流布されています。

 

たとえば「5W1H」なんて、状況を言語化する為の一番基本的な型の一つですよね。

kpt法だってYWTだって高橋メソッドだってロジックツリーだって、要は「この形に落とし込むと「伝えたいこと」を言語化しやすいよ、というテンプレートの一種です。

こういうテンプレートをなるべくたくさん知っておいて、利用するべき場面で利用することで、「言語化」は一気に楽になります。

 

まずは、「言語化には明確さと再現性が非常に重要で、その為に何らかのテンプレートを用意して都度利用出来ると適切な言語化がしやすくなりますよ」ということが、一般的な結論として言えます。

 

安達さんは「言語化には習慣化が重要」という話をされているんですが、本当この習慣、大人になってから身に着けるのって大変なので、自分の子どもには口すっぱく「どんなことでもなるべく言葉にしようね」と伝えています。

その為に、例えば5W1Hとか、「何のために何がしたいのか」といったテンプレートを伝えて、それに当てはめる形でなるべく言葉にしてもらっています。

 

親の言うことなんてどこまで残るか分かったもんじゃありませんが、積み重ねればなにがしかは人生で有益なこともあるんじゃないかなあ、と。そんな風に思っているのです。

 

***

 

ところでここからが話の本題というか、書きたかった「具体例」なのですが、私はこの「明確さ」と「再現性」のある言語化というものについて、「ダライアス外伝」というゲームを攻略する上で学びました。

 

皆さんご存知ですか?ダライアス外伝。

魚の形をした滅茶苦茶かっこいい敵機と戦う横スクロールSTG「ダライアス」シリーズの3作目でして、STG史上に残る大傑作です。

 

以前も書いたことがあるのですが、私は20数年前の一時期、ダライアス外伝というゲームに惚れこんで、徹底的にドハマリしていました。

プレイ時間が一日5時間を割ることはほぼ無く、休日には比喩抜きで日がな一日ダライアス外伝を遊んで、ゲームの合間の空き時間に生存の為最低限必要なことをする、というような生活でした。

多分、後にも先にも、あれだけ一つのタイトルを突き詰めて遊ぶことはないんじゃないかと思います。

 

一体何のためにこんなことをしていたのかというと、それは「一度でいいから全国一位のスコアをとってみたかったから」であって、とあるアーケードゲーム雑誌で行っていたハイスコア集計で、ほんの1回だけ私はその夢を実現させるのですが、それはそうと「攻略」という話です。

私にとって、「ダライアス外伝の攻略」とは、ひたすら「言語化を繰り返す」行為でした。

 

以前、シロクマ先生がこんな記事を書かれていました。

それは「成功」か、それとも「事故寸前」か、認識できていますか。

 

記事全体から見ると枝葉の部分なのですが、以下引用、

たとえばシューティングゲームのハイスコア稼ぎでも、「なんとなく難しい局面をこなして、なんとなく高得点が得られた」のままでは最終的なハイスコアは伸びない。

「なんとなく難しい局面をこなして、なんとなく高得点が得られた」とは、ハイリスクなブラックボックスを分析しないままの高得点、アクシデントを招きやすい成功でしかなく、そのようなプレイを1面から最終面まで続けていれば、どこかでアクシデントが生じてスコアが下がってしまうだろう。

単に高得点が得られるかどうかでなく、どういうメカニズムで高得点が得られるのか、アクシデントが発生し得るとしたらどこがネックになっているのかをちゃんと言語化し、実践できなければハイスコア稼ぎはおぼつかない。

これについては本当、「そうそう、そうなんですよ」と当時膝を打ちまして。

 

STGが上手い人には色んな人種がいまして、中には「感覚任せのアドリブだけで安定してノーミスクリア出来てハイスコアまで出せてしまう」という生まれながらの超サイヤ人みたいな人もいるのですが、私のような凡人が攻略をしていると、すぐに「セオリーを徹底的に安定させないとスコアが伸びない」という厳然たる事実をつきつけられるんですよ。

 

基本的な弾避け能力や反射神経がそこまで優れていないので、アドリブではまるでプレイが安定しない。

一回上手くいったとしても、次の回では同じことが出来ない。

ようやくノーミスノーボムでシャコを倒せた…!と思っても次のプレイでは2回くらい死んでボンバーまで吐かされる。

 

クリアだけならまだそれでも出来ないことはないんですが、ハイスコアというのは「全てのハードルを安定して越えた上で、更に一番の上振れを引く」というようなことが出来ないと手が届かない世界です。

ハードルが50個くらいある時、「3回に1回は引っかかるハードル」があちこちにあったら、記録どころか完走自体おぼつかないじゃないですか?

 

そこで何をしたかというと、

「今、何故自機は死んだのか?」

「今、何故自機は生き残れたのか?」

「今、何故得点が伸びなかったのか?」

「今、何故得点が伸びたのか?」

「今、何故敵の処理が遅れてしまったのか?」

「今、何故アイテムを上手く処理できなかったのか?」

こういった問いを用意して、「プレイ一回一回、徹底的にそれらの答えを明確にする」ということをやっていたんです。

 

これらは全て、「もやっとしたものに明確な形を与える為の問い」です。

私は、「ハイスコアを出す」というただ一つの目的の為に、これら全ての問いに答えなくてはいけませんでした。

当時、ノートを何冊もゲーセンに持ち込んで、汚い字で「今何が起きたか」を書きまくりました。

 

シューティングゲームのプレイってものすごーーーーく多面的なテクニックの集積ですから、漫然とやっていると自分でも曖昧な状態のまま、「何度もプレイして何となく身につくのを待つ」みたいな攻略になりがちなんです。

 

ハイスコアの世界って凄い人たちがたくさんいて、ぼやっとしてると自分なんかまるで追いつけない速さでスコアを上げていってしまうので、ちょっとでも追いつこうとしたら「何となく身につく」なんて到底待っていられませんでした。

私がようやく1コインクリアが出来るようになった頃、既にタイタニックランスの復活砲台稼ぎのパターンを確立させていた人たちです。

 

ですから、曖昧な部分は発見次第叩きつぶさないといけないし、一度明確にした部分は可能な限り再現し続けなくてはいけませんでした。

上手くいったところは二度目のプレイでも同じように出来なくてはいけませんし、ダメだったところは二度と繰り返してはいけない。

 

例えば「今自分が死んだのは、画面の端まで位置を下げる判断が遅く、高速放射弾の隙間を無理やり抜けるという苦し紛れの選択をせざるを得なかったからだ」とか、

「今得点を稼ぎ切れなかったのは、時間稼ぎが甘くてランクが上がり切らず、ヒレ(得点が高い部位)を壊し切る前にボスを倒してしまったからだ」とか、

「今赤勲章をとってしまった(パワーアップアイテム。ある状況だと取らない方が良い)のは、その後の敵弾を失念していて位置取りを失敗してしまったからだ」

みたいなセオリーとノウハウが蓄積されていって、最終的には明確なパターンに落とし込まれる。

 

それを繰り返して繰り返して、自分に可能な限りのスピードでスコアを上げていきました。

後から考えるとこれ、まさに「言語化」のサイクルそのまんまなんですよね。

 

「曖昧な状況を明確にして」

「後からでも再現可能な言葉で言語化する」

「その為に適切な「言語化の型」を用意する」

攻略中ずーーーーっとこのサイクルを回していたんです。

 

私に多少なりと言語化のスキルがあるとすれば、その根っこには多分この経験があるんじゃないかなあ、と。

どんな分野だろうと、「曖昧なものを徹底的に言葉にする」という経験があると、それ以降の色んな分野で応用が利くかも知れない、と。

そういう話だったわけです。

 

ダライアス外伝自体は、本当今遊んでもめちゃんこ面白いゲームであることは保証出来まして、特に最終ステージの「始まって数十秒BGMが無音になって、激しい敵の攻撃をかわし続けていると静かに最終ステージのBGM「SELF」が流れ始める」という演出は本当にSTG史に残る傑作演出でして、これを自分の目と耳で味わうというだけでも今からダライアス外伝を遊び始める価値はあると断言しますしSwitchの「ダライアスコズミックコレクション」というゲームでダライアス外伝が遊べまして初期verだと色々問題があったんですがアップデートでほぼ改善されまして現在はほぼ完全移植といっていい出来になっているので皆さんにも全力でお勧めしたい次第なのですが最初は「A→B→D→H→L→Q→V」ルートが良いと良く言われますが個人的には「A→B→E→I→N→S→Y」ルートの方をお勧めしますYゾーンが背景もグラフィックも演出もボスも本当滅茶苦茶にすばらしいので。

ほんっっっっっっとーーーに。最後に虹が立つ演出、本当今見ても泣く。

 

下記リンクはもし必要があればご参照ください。

1コインクリアの為のダライアス外伝講座

 

今日書きたいことはこれくらいです。

 

 

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【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

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