会議などで上司から「どう思う?」と急に意見を求められて、焦ったことがある方は、少なくないのではないでしょうか。
ヘタなことは言えないし、何か言っても「つまんねえ答えだな」と思われてしまうと、いろいろと損をしかねない。
しかし、逆に考えればここでうまく答えることができれば、アピールになるわけですから、それなりに注意を要するコミュニケーションです。
では「どう思う?」と急に話を振られたときに、どのように答えるべきしょうか。
私が教わった「急に話を振られたとき」の対応
実は「急に話を振られた時の対応」は、内容が大事だというより、回答のしかたにコツがあります。
というのも、コンサルティング会社では、客先に出されるとき、最初に教わることの一つなのです。
私はこう教わりました。
1.すぐに答えようとするな
2.書くなどして考えるための時間を稼げ
3.質問を正確に把握するため、逆に質問せよ
4.「クッション言葉」をつかえ
5.安易に迎合するな
では、詳しく述べます。
1.すぐに答えようとするな
急に質問されたときには、反射的に答えたくなるのですが、一端グッとこらえなさい、と私は言われました。
というのも、現実には「早く答えたほうが良いシーン」は少ないからです。
「回答までの時間も評価のうち」というケースは面接やプレゼンの場だけです。
焦って答えても、大して実のあることは言えません。
通常のビジネスシーンでは多少時間をかけても質の高い回答を心掛けたほうが、結果的にはそれを受け止める側の印象は良いです。
また、すぐに回答できる場合でも、多少「考えるふり」をしたほうが、相手にとっての印象がプラスとなります。
2.考えるための時間を稼げ
ただしいくら「沈黙せよ」と言われても、何もしなければ固まってしまったと思われてしまいます。
そこで、「時間稼ぎ」をしてください。
きちんと思考をまとめるには、誰でも一定の時間が必要です。
この場合、
①「ちょっと考える時間をいただいていいですか?」と正直に言う
ケースと、
②「もう一度よろしいですか?」と言って、質問を何かに書き留める
2つの方法の時間稼ぎが存在します。
ある程度関係ができている場合には、①のように正直に「時間が必要です」と述べるのは、特に悪いことではありません。
また、他にも人がいれば、「では考えている間に、◯◯さんはどう?」と、べつの人に話が振られる時もありますから、そこでじっくり考えることができます。
あまり関係ができてない場合、あるいは自分が講師役などの場合は、②のように書き留めながら時間稼ぎをするほうがベターです。
できれば、ホワイトボードなどを引っ張て来て、そこに書き留めると、さらに時間稼ぎができます。
3.逆に質問する
次に「逆に質問する」ことが有効です。
口頭での質問は、たいてい、あいまいだったり、わかりにくかったりするからです。
例えば、「今の案についてコメントありますか?」と聞かれたとしましょう。
コメント、と言われても、実は何を聞かれているのかよくわかりませんから、聞き返すのが正しい反応です。
例えば
「それは、賛成か、反対かと言う話でしょうか?」
「個人的な好き嫌いと言う視点でしょうか、それとも目標に対してどうか、という話でしょうか?」
「アイデアの良し悪しと言う観点でしょうか、実現可能性と言う観点でコメントしたほうが良いでしょうか?」
など、上司が何を聞きたいのかを探ることが大事です。
なお質問をしっかりとすることも、相手にとってはプラスの印象となることが多いようです。
的外れな回答にならないためにも、適当な受け答えは辞めましょう。
どうしても困ったときには「んー……、難しいですね。他の人の意見を参考にしても良いですか」と正直に言うのも手です。
正直さは、その場の雰囲気を和らげますので、上司としても「じゃ、◯◯さん」と、べつの人に振りなおすことが多いです。
4.「クッション言葉」をつかえ
クッション言葉、と言うとあまり聞いたことがないかもしれません。
具体的には、
「私見ですが~」
「間違っているかもしれませんが~」
「外していたら申し訳ないのですが~」
「勘違いしているかもしれませんが~」
など、意見の前において、「強い口調」を和らげる効果のある言葉です。
日本人は一般的に、「自信がありそう」な人を信用がおけると思う一方で、反感を覚えるケースも多く、意見を述べる際には、その態度に注意が必要です。
そこで、「はっきりと言いきり」つつ、さらに「反感を和らげる」ために、クッション言葉を置いて、いいとこどりをするのです。
特に、クライアントや上司は、「偉そうなコンサルタント/部下」を好まない人がほとんどです。
気さくに話していい上司であっても、クッション言葉を使っておけば、まず間違いはありません。
5.安易に迎合するな
そして、最後に最も重要な項目ですが、クッション言葉をつかって、言葉を柔らかくしつつも「安易に迎合しない」ことが肝心です。
「◯◯さんと同じ意見です」
「おっしゃる通りだと思います」
「さっき言われていたことと似ていますが~」
などの回答は、無難ではありますが、「わざわざあなたに意見を振ってきた上司」の意図を満たすものではありません。
わざわざ聞いてきたという事は、わずかであっても、何かしらの気づきが欲しいのが上司です。
安易に迎合すると、逆に「こいつに聞いても無駄」と思われてしまいますので、なんとか時間を稼いで、他の人の意見も聞きながら、独自の見解をひねり出しましょう。
*
以上が、会議などで突然話を振られたときに、うまく回答するコツです。
これらは、頭の良さと言うよりは、場数でかなり改善することができます。
くれぐれも、上司が「なるほど」と思う回答に近づくには、「その場の雰囲気で、安易に回答すること」だけは、避けましょう。
それは、簡単に見透かされてしまいますから。
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【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
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