中小企業の経営者は悩み多き存在である。

 

今のやり方だとこれ以上の成長は難しいが、打開策がみつからない。

「自社の強み」を明確にしたいが、どうすればいいのかわからない。

かといって、コンサルのような「口だけ野郎」は嫌いだし、頼りたくない。

そんな経営者も多いのではないだろうか。

 

私は地方との関わりと実践をライフワークとしているが、最近、富山の企業とのコラボでみえてきたことがある。

それは、ChatGPTの出現で、地方の中小企業もいよいよマーケティングができる時代になったということだ。

 

なぜ富山なのか

コロナ禍の影響でリモートワークが普及した現在、移動を伴わないコラボが可能になった。

都市圏では、社会貢献として地方と継続的に関わり、その関わりの中で、これまでの経験やスキルを生かしたいと考える人が最近、増えているという。

 

その一方で、人材不足に悩む地方企業は専門性やスキル、マネジメント能力をもち、斬新なアイディアを提供してくれる人材を求めている。

 

大都市圏の中核人材を大学の協力研究員として受け入れ、地元の企業とマッチングを行うリカレントプログラムがある。産官学が連携する「富山“Re-Design”ラボ」である。

富⼭“Re-Design”ラボ

私は今年6月からこのプログラムに参画し、富山大学の協力研究員として地元企業とコラボした。

 

タッグを組んだのは、富山県内全域で新築住宅やリフォームの設計・施工を手がける、米田木材さん。稀有な会社だ。

社長は社員1人ひとりの成長を心から願い、社員の自己実現を支援するためにキャリア形成を見すえた研修をしばしば行うなど、社員視点の経営をしている。社員は会社から受け取った“愛”を顧客に返そうと、真摯に取り組む。

そんな企業のあり方に、すっかり惚れ込んでしまったのだ。

 

米田木材さんは創業1955年、社員30名。機能性やデザイン性はもちろんのこと、顧客に寄り添った提案と、木材本来の質感や色合いを活かした注文住宅が地元の人々から愛され、着実に業績を伸ばしてきた。

リフォーム事業や、建物に新たな価値をプラスするリノベーション事業にも注力する。

 

悩みは、自社の持っている、目に見えない情緒的な価値を言語化したいが、それができていないこと。

それを探り、明確にするのがコラボのミッションだ。

 

目に見える機能的な価値の追求だけでは、単なる価格勝負になってしまう。情緒的な価値を明確にし、企業の付加価値を最大化することが持続可能性につながるという認識だった。

 

全社員との面談から課題と目標が見えてきた

まずやったのは、全社員との面談である。お互いを知った上で、組織の課題や新規事業につながるヒントを探るためだ。

お互いのスケジュールを擦り合わせ、リアルとオンラインのハイブリッドで行ったが、利害関係がないことが幸いし、社員は本音を語ってくれた。

 

その結果わかったのは、どの社員も自社を信頼し、モチベーションが高く、仕事に誠実に取り組んでいること。

しかし、同時に、課題も見えてきた。

 

まず、顧客が感じている自社のサービス提供の価値が言語化できていない。顧客が自社を選んでくれている本当の理由が把握できていないのだ。

 

現在のような人口減少時代に限られたリソースで成長し続けようと思ったら、顧客のファン化以外に選択肢はない。

持続的な発展を望むなら、顧客をファン化し、アンバサダーとなって次の顧客を呼んでくれるような仕組みづくりをしなければならない。そのためには、なぜ顧客が自社を選んでくれているのか把握し、自社の強みを明確にする必要がある。

 

もう1つの課題は、プロジェクト・マネジメント機能が弱いことだった。

実行力もあるし、着実に成果も上げてきたが、現状分析がしっかりできていないため、施策の評価が定まっていないまま次の新たな施策が走り始めることになりがちだったのである。

 

こうした課題から、設定すべき目標がくっきり見えてきた。

サービスプロセスの言語化・明確化と、webマーケティングの強化である。

 

顧客インタビューから自社の強みが見えてきた

自社の強みを把握するためには、顧客が自社のどこに魅力を感じているのかを知り、なぜ自社を選んでくれたのか、その理由を明確に把握し、自覚することが必要だ。

 

その上で、顧客に「さらに」喜んでもらえるようにサービスを磨き、ファン化した顧客から次の顧客への「紹介を必然化する」ための仕組みと仕掛けを作ることが、継続的な顧客獲得、持続的な発展につながる。

 

そのためにまずすべきことは、顧客インタビューである。

これまでも顧客アンケートは行っていたが、それではぼんやりとした輪郭しか描けない。そこで、早速、顧客へのインタビューを試みると、顧客が米田木材さんを選ぶ理由が見えてきた。

それは、機能的価値と情緒的価値の2つに分けられる。

 

機能的価値は、言い換えれば、目に見える価値だ。具体的には、同社が大切にしている「木のぬくもり」「断熱、耐震性」「デザイン性」である。

一方で情緒的価値は目に見えない。だからこそ言語化し、それを明確にしなければならない。

それは上でふれたように、同社が抱える課題であった。

 

顧客インタビューを通して見えてきた情緒的価値は次の5つ。

まず顧客理解。米田木材さんは、自分たち以上に自分たちのことを理解している。顧客はそう考えていた。

 

次に、顧客の要望に対して親身に、柔軟に、そして迅速に対応していること。

親切で親しみやすく、穏やかであるという、社員のフレンドリーさも高評価だった。

 

米田木材さんの社員が決して他社の悪口を言わないことも評価されていることがわかった。

住宅は人生最大といっていいほど大きな買い物なので顧客は当然、他社の住宅も比較検討している。他社の悪口を言わないということは、顧客を尊重することにつながるのだ。

 

そして、公平さ。

名刺交換のとき、ご主人にだけ名刺を渡し奥さんには渡さないのが一般的かもしれない。

でも米田木材さんの社員はそのようなことはせず、夫婦それぞれに名刺を渡している。そのような一見ささやかなことにも企業の理念が現れる。顧客はそこにも敏感なのだ。

 

自社の強みから、よりよいサービスのあり方が見えてきた

顧客インタビューを重ね、情緒的価値を検討しているうちに、社員自身が自社の強みを明確に把握し、顧客に喜んでもらえるようなサービスのあり方を検討するようになった。

 

一口に顧客といっても、タイプはさまざまだ。そこで、顧客のタイプを分析し、それぞれのタイプに応じた個別ニーズを把握することが、よりよいサービスにつながると気づいたのである。

 

まず、「不安が強いタイプ」の顧客は、評判、アフターケア、費用、住宅の構造、図面と実際のギャップ、コミュニケーションの頻度など、各フェーズごとに不安が生じる。

そこで、担当者はその都度、不安を早期に察知し、解消・解決することで、顧客の不安を払拭し、信頼を勝ち取ることができるだろう。

 

次に、「リテラシーを高めたいと考える」タイプに対しては、これまでの自社の対応が適切だったことが確認できた。顧客が家づくりに関する基本的な知識や選択肢をもっていない場合でも、豊富な情報を提供し、顧客のリテラシーを高め、理解を深めるサポートをしてきたからだ。

 

最後に、「想い(こだわり)を具体化してほしい」タイプに対しても、これまでの対応が評価されていることがわかった。そのような顧客にも、顧客の要望を超えた提案をし、競合他社には望めない“自分らしい家”をつくることを提案してきたが、それが顧客の心を掴んでいた。

 

こうして、漠然としていた同社の成功パターンや強みが明確になり、よりよいサービスの検討につながったのである。

 

今後やることが自ずと見えてきた

ここまで来れば、今後すべきことは自ずと見えてくる。

それは次の3つだ。

 

1つ目は、営業プロセスの改良・進化。

まず、顧客の幹となるニーズに対応した営業シナリオを構築する。そのためには、顧客ニーズを商談の前の段階で把握できるような仕組みをつくる必要がある。

それが特定できたら、顧客のタイプ別、ニーズ別に、対応する営業パーソンを決める。

 

2つ目は、BtoF(Business to Fan)戦略。

顧客をロイヤル顧客に引き上げ、ロイヤル顧客からのUGC(SNSへの投稿など、一般ユーザーによるコンテンツ)を増加させ、それを新規顧客の獲得につなげる。そうしたサイクルを回していくのだ。

 

ここで必要なのは「紹介の必然性」。

米田木材さんに満足している顧客と一緒に、周囲に紹介しやすいコンテンツを開発するのもいいだろう。

米田木材を選ぶ顧客の共通の価値観は、”自分らしい家”を追求するということ。それをさらに突き詰めると、上質な”自分らしい暮らし・生き方”を追求している人たちということになる。

 

このタイプの人々は、自分と同じように上質なものを追求している人たちと価値の共有・連帯を図りたいという欲求が強い。つまり、オーナー同士の交流の場を求めているのだ。

そのニーズに応えることが、米田木材さんにとって、次の事業のタネを集める絶好の機会となるだろう。

 

今後すべきことの3つ目は、活動の定着化。

引き続き、全ての顧客に対してインタビューを行い、顧客満足の理由を深いレベルで把握する活動を定着させるのだ。

こうした取り組みによって、より効果的な営業シナリオの開発や営業パーソンに対する教育効果、営業パーソン以外の顧客接点強化など、様々な利点がもたらされるはずだ。

 

手順は経験者から学ぶべし

以上のような取り組みから、痛感したことがある。それは、ChatGPTの出現で、地方の中小企業もマーケティングができる時代になったということだ。

「地方の中小企業はポテンシャルにあふれている」とさえ考えている。

 

それは、なぜか。ここまでは「何をしたか(waht)」について語ってきたが、次は、「どのように実行したのか(how)」だ。

実は私は米田木材さんとのコラボでは、ChatGPTをフル活用してプロジェクトを推進してきた。

 

顧客インタビューの設問設計も、インタビュー原稿のまとめも、今後やるべきことの方向性についてもだ。

 

ChatGPTを使い倒した結果、実感として言えるのは、「ChatGPTは単なる“業務効率化ツール”ではない」ChatGPTは頼もしい“参謀”なのである。

ChatGPTを“マーケティング参謀”として起用し、組織を動かす。そうすれば、経営のレベルを一段高めることができる。

 

中小企業の経営者こそ、ぜひ、ChatGPTを“経営参謀”として活かし、ご自身の経営レベルを高めていただきたいと願っています。

 

ただ、経験のない方がまっさらな状態から取り組むのは大変です。

興味のある方は是非、下の「ChatGPTセミナー」にお越しください。そこでじっくりお話しし、ご質問にもお答えします。

 

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(2024/2/8更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

倉増 京平

2002年、電通グループ企業(現社名 電通デジタル)に入社。顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。2019年よりティネクト株式会社に取締役として参画。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。

コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年は生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。

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Photo:Júnior Ferreira