テクノロジーの飛躍的な向上により、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にある時代。
人間ならではの「考える力」の重要性が増しています。

本記事では、今後ビジネスパーソンとして活躍していくうえで必須な「考える力」を身につける方法についてご紹介します。

 

考える力とは

その言葉の通り「自分の頭で考える力」のことですが、これからの時代に必要とされる「考える力」とは、こういった能力のことを指します。

 

  • 自分が保有している知識を世の中にある情報と関連付けながら、今どのようなことが起こっているか、これからどのようなことが起こりそうか考察する。
  • 課題を見つけ、その解決プロセスを考案し、新しい価値を生み出す。

 

社会人基礎力の1つである「考え抜く力」

2006年に経済産業省が提唱した「社会人基礎力」の1つに、「考え抜く力」が含まれています。

「社会人基礎力」は元々、第四次産業革命の下で発表された「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことですが、近年その重要性は増しており、2018年には「個人のライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力」として新たに定義されました。

この「考え抜く力」は3つの要素から成り、ビジネスパーソンとして活躍していくうえでぜひ押さえておきたいスキルといえます。

 

<考え抜く力を構成する3つの要素>

  • 課題発見力:現状を分析し、目的や課題を明らかにする力
  • 創造力:新しい価値を生み出す力
  • 計画力:問題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力

その他の社会人基礎力については、こちら

 

今の時代、なぜ考える力が必要なのか?

年々、ビジネスや採用市場において、考える力に注目が集まっています。

その背景を3つほどご紹介します。

“分かりやすい課題”の枯渇

1つ目は、ビジネスモデルの変化です。

昔は「良いモノを大量生産すればいい」といった単純なビジネスモデルで企業は売上を伸ばすことができましたが、今はある一定水準以上の品質のモノが市場にあふれかえっている状態です。

 

私たちはすでに日常生活を送るうえで目立った不満や不便を感じることは少なくなってきており、企業の存在価値が「課題を解決すること」であるとすると、あちらこちらに分かりやすく転がっていた課題」が減少してきているのが現代の日本であるといえます。

 

そうした中、企業が価値を創出していくためには、「新たに課題を発見する力」や「発見した課題を解決するためのアイデアやプロセスを考案する力」が必須となります。

 

「筋が良いアイデア」を効率よく生み出す必要性が増した

ビジネスを取り巻く環境の変化が激しく、企業にもスピーディな意思決定やアクションが求められています。

先述したようにビジネスモデルが変化し、過去の成功パターンが通用しなくなっている今、常にトライ&エラーをしながら勝ちパターンを見つけていかなければなりません

 

一方で、単に「百打ったら、一当たる」というようなやり方は効率が悪いというのも事実です。

働き方改革の文脈で生産性向上が求められている中、「いかに効率よく、筋の良いアイデアを出していけるか」といったことが注目されています。

 

来たるAIとの共存社会への備え

「AIに人間の仕事が奪われる時代が来る」といった話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

オックスフォード大学の調査結果によると、10~20年後には日本の労働人口の半数が就いている職業がAIやロボットに代替されると推計されています。

 

たしかに、AIやロボットが得意とする領域については代替される可能性が高いでしょう。

例えば、大量のデータ処理やデータに基づく単純作業などです。

 

一方で、AIは万能ではなく、これまでにない課題を解決する仕事(=過去のデータがないもしくは不十分な仕事)や、数値化できない人間の感性や経験に基づく創造的なアイデアを生み出す仕事については不得意です。

AIが何か結論を出した時、それは「考えた」のではなく、あくまでデータによる計算結果です。

AIとの共存社会がやってくる中で、私たちは人間にしかできない「考える力」にフォーカスし、高めていく必要があります。

 

考える力が低下してしまう原因・悪習慣

ここからは、考える力を高めていく方法についてお伝えしていきます。

まず始めに、考える力が弱まる習慣についていくつか紹介しますので、「当てはまるかも…」という項目があった場合は、意識して改善していくようにしていきましょう。

 

  • 基本的に受け身で、情報をうのみにしてしまう
  • 常識やルールにこだわりすぎる
  • 成長意欲や向上心が乏しい
  • 物事に消極的
  • 同じミスや失敗を繰り返す

 

考える力を高める方法

日常でぜひ意識して取り入れていただきたい5つの方法を紹介します。

 

方法①:常に疑問を持つ

考える力で重要な要素の1つは、「思考の深さ」です。

深く思考できるようになるには、受け取った情報に対し「なぜ?」と深く掘り下げ、因果関係を捉えることを習慣づけていくことが有効です。

 

例えば、生活の中で起こる問題やニュースの出来事について、漠然と眺めるのではなく、「なぜそのようなことが起こっているんだろう」と考えるようにしてみましょう。

自身の知識だけでは検討がつかない場合は、調べても構いません。

「なぜだろう」と疑問を持つことが、自分の頭で考えることの第一歩です。

 

方法②:具体と抽象を行き来する

具体化スキルと抽象化スキルは、考える力を高めるうえで、両方とも欠かせないスキルです。

 

例えば、抽象化スキルが欠けていると個別の事象から本質や共通点を見つけ出すことができませんし、具体化スキルが不十分だと実行性のない漠然としたアイデア止まりになってしまいます。

日常で自分が使っている言葉を思い返してみて、どちらかに偏りがあるようであれば、意識的に欠けている方で物事を考えてみるようにしましょう。

 

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「具体と抽象」とは?頭の中を整理するための思考法考える力を向上させる上で、身につけておきたいのが「具体化」と「抽象化」という思考法です。具体化スキルと抽象化スキルを鍛える方法や実務での使い方などをご紹介します。

方法③:思考の癖に気づき、改善する

考える力を高めるには、「思い込みや先入観」を捨てることと、自身の「思考の癖」に気づくことが重要です。

思い込みや思考の癖は、ある種の思考停止に近い状態を引き起こし、思考の幅を狭くしてしまうからです。

 

こうした癖を改善していくためには、「クリティカルシンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法の習得が有効です。

クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観に捕らわれずに物事を見る力が養われていきます。

 

一方で、クリティカルシンキングは、書籍を読んだり、動画を観ただけでは、なかなか習得が難しい思考法でもあります。

グロービス経営大学院など、講座として提供しているビジネススクールもあるので、こうした外部の機関を活用するというのも1つの手です。

講座は2週間に一度、計6回の開催。

3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。

(▼講座の詳細はこちら)
『クリティカルシンキング』講座

 

またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。

 

(▼日程一覧はこちら)

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方法④:ビジネス・フレームワークを使えるようになる

考える力で重要な要素の1つに、「思考のスピード」もあります。

ビジネスの場合、「ビジネス・フレームワーク(枠組み)」を使いこなせるようになると、思考のスピードをぐんと上げることができます。

 

ビジネス・フレームワークには様々なものがあり、代表的なものでいえば、顧客ニーズや競合の動きなどを分析する際に用いる「3C分析」や、自社を取り巻く環境を把握するための「PEST分析」、業界全体の分析を行う際に用いる「5つの力分析」などがあります。

 

一方で、こうしたビジネス・フレームワークは、「知識としては知っているけど、なかなか実際のビジネスの現場で活用できない…」といった悩みもよく聞きます。

使いこなせるようになるには、ある程度トレーニングが必要であり、グロービス経営大学院だと『マーケティング・経営戦略基礎』という講座がおすすめです。

ケーススタディ(=ある企業が実際に直面した状況を忠実に再現した教材のこと)を元に、講師やクラスメイトとディスカッションしながら授業を進めるため、実践的かつ深く経営知識やビジネス・フレームワークの使い方を学ぶことができます。

(▼講座の詳細はこちら)
『マーケティング・経営戦略基礎』講座

 

まとめ

AIとの共存社会がやってくるうえで、人間ならではの「考える力」は意識して高めておきたいスキルです。

知識のインプットも大事ですが、知識偏重や情報に対して受け身になりすぎないよう、「本当にそうなのか?」と疑問を持つ癖や積極的にアウトプットする習慣を持つようにしてみてください。

(執筆:村尾 佳子)

 

 

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【著者プロフィール】

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ヒト・モノ・カネをはじめ、テクノベートや経営・マネジメントなど、グロービスの現役・実務家教員がグロービス知見録に執筆したコンテンツを中心にお届けします。

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Photo by:Maarten van den Heuvel