30代に2回のクビを経験した。
いま思うと若気の至りだなぁと思うのだが、それと同じぐらい
「自分が上の立場になった時に、元気な若者を上手にあしらえない程度の精神性しか無い上司は、無様だな」
とも思う。
人間の精神の発達というのは、純粋な能力の多寡では推し量る事が難しい資質だ。
達観したっぽい事をいう小学生は山ほどいるが、実際に達観した境地にいる小学生というのは有り得ない。
何故なら、普通に考えて小学生が自分でリスクを取って、自分自身を死地へと投げ込むという事が、現象的に不可能だからである。
そういう意味では、よく分かっていないながらもリスクをとって自分で自分を追い詰めて、そこから這い上がってこれて良かったなと思う。
お陰様で、今では色々な意味で、理解した上で他人に優しく接する事ができるようになったと思う。
ロジックが分かった上で他人への気遣いができるようになったのは、とても役に立つ知恵である。
「現場が回れば…それでいいんだ…」
異性の顔の好みが千差万別なように、人間には様々な謎のこだわりがある。
僕は以前、世の中には”正しいもの”と”間違ったもの”があり、それは議論を重ねる事で結果的に”正しい考え”に帰着するような性質のものだと思っていた。
しかし、この歳になって理解したのだが、管理職以上の立ち位置の人にとっては、正しいか正しくないか以上に”とりあえず現場を回す事”が重要になるという事だ。
わかりやすく例えでいえば、食事ならどんなにマズくてもまず3食キチンと出るのが大切で、一番駄目なのはメシが全く出ない事だ。味の好みはそこでは特に問われない。
同じように会社なら、最善の効率で仕事が回る事は確かに理想的ではあるが、たとえどんなに非効率であろうが、現場が回って経営できるぐらいに利益が上がってれば、その内容は正直どうでもいいのである。
若い頃の僕は、この「現場が回れば…それでいいんだ…」という経営者の祈りが全く理解できなかった。
だから眼の前で非効率な事や間違った事が行われる事が耐えられず、つい色々と問いただしてしまったように思う。
能力と地位は、必ずしも相関しない
会社組織が面白いのは、必ずしも能力と地位がキチンと比例するわけではないという事だ。
たまたま偶然でいいポストに能力が乏しい人間がつくだなんて事はよくある事だし、今は通用しない昔の常識を使って仕事をし続けてて軋轢を生んでいる管理職も割とよく散見する。
実力と地位が相関してる時というのは幸せな状態である。この場合、上司は部下を丁寧に指導すればそれで何も問題は無い。
部下はそれなりにはストレスフルだろうが、そこで歯を食いしばっていれば、それで現場が上手く回る。
しかし実力と地位が相関していない状態はどうだろうか?
こうなると、もう上司はある意味では神輿みたいなものである。売上のような第三者的な目線が必要な場所だと、上司はとりあえず置物のような存在として取り扱われて、部下が必死になって安月給で現場を回す事になる。
この上司置物状態は中々にストレスフルだが、もっと最悪なのは売上等が全く気にされないような場所でコレが発生する事である。
このような環境では、上司が行う黒魔術が常に発動し続ける事で現場が”回る”事になり、結果的に現場はファンタジーの世界のような展開となる。
偉い人のいう事しか通らない世界では、優秀な若者は残らない
こういう事をいっちゃアレなのだが、医療現場というのはある意味ではファンタジーな世界なのである。
7割の病気は自己治癒力で勝手に治り、残り2割ぐらいの病気は最善の選択肢を尽くしたとしても、間違えたり何もしなかった事と比較しても、そこまで短時間では大きな差は出ない。
例えば大学受験の模擬試験なら、試験の結果なんて終了後即座に結果が出る。だから自分が間違った事をした事はすぐに客観視できるし、修正も可能だ。
しかし医療現場では、最善ではない治療を選択したからといって、患者さんの7割は自己治癒力で勝手に治ってしまうし、誤診をしたとしても、その場で患者さんが突然死ぬようなドラスティックな変化は起きない。
だから、こういう場面で部下が上司に「これ、間違ってませんか?」と聞いても、多くの上司は「今までこれで何も問題なく仕事ができている。なにが問題なんだ?」と返してしまえるし、それで現場は”回って”しまう。
こうして旧時代の間違った価値観で動き続けている自己批判が出来ない権力者が、己の感覚をアップデートできないままに、現場が回り続けてしまう。
もちろんこれで稀に問題が生じる事はあるのだが、結局それは稀な現象だし、仮に起きても何だかんだでどうにか出来してしまうのである。
たとえ経営層に「あれじゃ駄目だ」と若手が訴えたところで、経営層が全ての現場を正確に把握する事など不可能だから、経営層は「よくわかんないけど、とりあえず上のいう事を聞けない下が悪い」で終わってしまう。
それでも自分で回せない場所は、たくさんある
こうして謎の黒魔術が発動し続けるファンタジー病院は日本全国にソコソコあるのだが、大切なのは「それでもやっぱり、世界は回っている」という事なのである。
結局、どんなに頑張った所で、人間が自分一人で回せる場所というのは限られている。
そういう絶対的な限界を考えると…そういう「実力ではなく、権力で物事が決まる場所」というのも、地域社会が回り続けているのなら、それはそれで必要悪なのである。
ただ、必要悪といっても程度の問題はある。
非常に正しい医療が、適切なフィードバックが働きながら施行され続ける理想的な病院が模範解答だとするのなら、「ギリギリ合格点」が行われ続けている限り無くホワイトな病院もあれば、「ドロッドロの黒魔術が行われている病院」というものもある。
本来ならば、そういう黒魔術が行われている病院は潰れるなり適切に空気の入れ替えが行われるべきなのだが…残念ながらそうならない条件が揃ってしまう事というのが、稀ではあるが確かに存在する。
たまに社会を大きく賑わせる病院がポッと出現するが、あれは多分、何らかの黒魔術が形を伴って発動してしまった結果なのだろう。
火のないところに煙は立たないのと同じで、魔法陣が存在しない場所では黒魔術は発動しないのである。
人は、ゴロゴロ転がってれば、自分に見合った器の場所に行き着く
”置かれた場所で咲きなさい”という言葉があるが、多くの人はこの言葉を”とにかく我慢しろ”と誤って捉えているように思う。
例えばだが、もし仮に自分がドロドロの黒魔術が行われている会社にたどり着いたとしよう。
この会社が自分の常識に照らし合わせて、物凄く間違った事をやっていたとしても、とりあえず偉い人の言う事を聞けば給料が出るのだとしたら、問われている事は
1. 権力者に従順になって、その対価として給料をもらう。
2. 権力者に従えないから、別の場所にいく。
のどちらかになる。
世の中には色々な文化がある。だから、自分の肌に合う水場を適切に探し出し、その水に肌が合うのなら、給料が安いとか労働拘束時間が長いというような条件には、ある程度は目をつぶるしかない。
自分自身に関して言えば、適切に対話が成り立たない場所で働く事が、どうしても無理だと気がついた。
世の中には上司が絶対に正しくて、部下は「正しくても、間違い」になるような場所というのが残念ながらある。
こういう場所は見た目は残念ながらホワイトで、実際に仕事の内容も量も少ないホワイトっぽいオーラを放っているのだが、実際には求められている仕事のレベルが上司を批判するに値しないが故に黒魔術の温床になりがちで、黒魔術師はその術式が発動する為にも、詠唱にチャチャ入れをされる事を酷く嫌う。
逆に、キチンとした事をやらないと物凄く徹底して批判されるような場所というのは、本当にお金では買えない自由な議論が行える場所だと気がついた。
ここでは常に上下関係なく正しい医療という目標に向かって皆が集中できる場所であり、そういう場所に居続ける為には自己研鑽や他人から批判されてもキチンと受け入れる度量のようなものは求められるが、少なくとも「馬をみても鹿と言わなくてはいけない」みたいなキテレツな現象には晒される事は無い。
こうやって跳ねっ返りが、強い自分自身が必死になって生き延びる為に試行錯誤していくにつれて、結局は人は「何かを追い求めたら、その他のものは切り捨てなくてはいけないのだし、それを手にするのに何かが足りないのなら、自分自身を強くするしかない」のだという結論に至ってしまった。
試練を通じて研鑽する過程は、決して楽ではないものの、その過程で積み重なった胆力は自分自身を強くしてくれるし、その強さというのが、その人の生み出す”器”の形なのである。
そういう意味では組織だけではなく、自分自身もゴロゴロと転がして、取りあえずスルッと収まる場所に行き着く事が大切だ。
そういう場所で、ちゃんと咲くことが大切なのだ。
黒魔術の贄になるぐらいなら、ちゃんと自分を回してあげる事も、じっくりと考えるべきだなと自分は思う。
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(2026/4/7更新)
【著者プロフィール】
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます
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