つい先日、ある会社で「リーダーとしての姿」に関する議論があった。

私はその議論をずっと観察していたのだが、ひとつの発見があったので、少し書いてみたいと思う。

 

議論のネタは、

「頭の良いリーダー」と、「行動力のあるリーダー」どちらに人はついていくか。

というものだった。もちろん両方兼ね備えているのが理想である。しかし、往々にして「頭で考えるタイプ」と、「まずやってみるタイプ」は両立しない。

果たして、どちらのリーダーに皆が、「自発的について行きたくなるか」という話だ。

 

当然のことながら、参加者の中から「頭の良い」とはどのようなことか、という質問が出た。

それに対して議長は、「計画をきちんと立て、勘ではなく数字を重視し、あまり間違えないリーダー」という姿を定義した。

一方、「行動力のある」とは、

「計画は最小限、まずは率先して自分がやってみて、直感的に判断する。よく間違えるが修正も早いリーダー」という姿を定義した。

「成果を出しているかどうか」については、同程度とした。

 

 

さて、皆様はどう思うだろうか?

 

結果は明白だった。

成果が同じくらいなら、圧倒的多数が「行動力のあるリーダー」についていきたいと言ったのだ。

 

逆に「頭の良いリーダー」は酷評された。

「自分たちを必要としなさそう」

「一緒に苦労してくれなさそう」

「数字ばかりでおもしろみがない」

そういった意見が数多く出たのである。

 

また、面白かったのが、仕事の出来る人ほど、「行動力のあるリーダー」を支持したという点だ。

議論の前は「間違えないリーダー」のほうが好まれると思っていたが、むしろ、仕事の出来る人は

「リーダーが間違えても、我々が補佐できる」

「挑戦とは、間違いを含むもの」

「間違える人のほうが信頼できる」

という意見が多く、仕事のできない人は

「無駄な仕事をさせられるのがイヤ」

「自分より優秀な人でなければリーダーとして認めない」

という意見が出た。

 

 

ふーむ。と思う。

この会社だけの話ではないだろうか、と思いもしたが、過去に訪問した会社のリーダー像を思い浮かべると、実際に慕われるリーダーは、確かに

「行動力のあるリーダー」に近いイメージだったと思う。この議論の結果には一理ある。

 

おそらく、リーダーの選択においては、「理性的にリーダーを選択する」というよりも、「リーダーは感情的に選択される」とも感じる。

要は、「人間的魅力」がリーダーを作る、ということだ。

そしてその人間的魅力、というのは、「最小限の力で正確に仕事をこなす」という部分ではなく、「精一杯力の限り働く」という部分なのだ。

 

4月からリーダーとなる方もおられることと思う。

リーダーとして、「自分が模範を示さなければならない」、あるいは「間違えてはいけない」とプレッシャーを感じる人もいると思う。

しかし、「本当に信頼できる部下」は、あなたに「間違えないこと」を要求しているのではなく、「率先して行動し、間違えた時はその非を認めて、素早く修正する」ということを求めている。

そんなことを感じた一時だった。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

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