安定した雇用が失われつつある現状を嘆く声は多いが、「ではどうすればいいのか」について、きちんとした回答を与えることは難しい。
日本の古き良き終身雇用を維持できる企業はもう少ない。そして企業だけではなく、国の財政を鑑みればお役所も同様の事が起きる可能性もある。
我々は、この時代をどうやって生きればよいのか、という回答を求めている。
一つの回答は、「仕事は最低限、プライベート重視で少ないお金でも幸せにやっていく方法を見つけよう」という主張である。賛同する方も多いかもしれない。
私も特に反対する理由はない。それほど熱心に仕事をしたくない、という方がいるのも、多様な生き方の一つであろう。
そういった人たちの中には、ボランティアや、NPOの活動に楽しみを見つける、という方も少なくない。稼ぎが少なければ、生活コストの安い田舎や、海外に移住する、というのもひとつのやり方である。
だが、「楽しく仕事をしたい、お金も欲しい」という方もまた多いのも事実である。その方々は、「従来の終身雇用サラリーマン」が崩壊しつつある今、新しいロールモデルを求めているだろう。では、それはどのような姿なのだろうか。
私の出会った方々の中には、何名かの新しい稼ぎ方、仕事の仕方を模索している方々がいる。彼らに共通するのは、以下のような行動である。
1.企業ではたらく目的は、「経験をつける」ことと「人脈を作る」ことの2つとする
企業ではたらく目的を「その会社で出世すること」ではなく「多方面からお呼びがかかる人」になることとする。そして、それに必要な「経験」と「人脈」を得るため企業を利用する。
例えば、あるサービス業のマネジャーは、会社においては「より困難な経験が出来る仕事」と「より多くの人と会える仕事」を意図的に選択していた。
彼の口癖は「会社はうまく利用しないとね」であった。
2.副業する
最近では副業歓迎の会社が増えているが「稼ぐ方法を知る」「商売の立ち上げを知る」ことは、恐ろしく役に立つ。もちろん本業にも生きる。
あるスタートアップの社員の一人は、自分でECサイトを構築し、仕入れ、販促、流通までを試してみた。その商売はそれなりにお金を生み出した。
さらに、彼はECの案件には社内外から必ず呼ばれるようになった。顧客が言うには、「やっぱり、自分でやっている人は説得力が違う」とのことだった。
3.発信する
ブログ、SNS、アプリ、何でも構わない。何かを作って発信する。「社内」でも「社外」でも知名度を少しでも上げるべく、精力的に活動する。これに関しては多くを語る必要はないだろう。
基本的に現在のwebはテキスト、およびアプリケーションをベースとして構成されているため、それらを生み出すことは大きな知名度向上のアドバンテージになる。
文章を書くのが得意な人は、ブログやSNSで、コードを書くのが得意な人は、アプリケーションをつくることで、世の中に自分の存在を知らせることができる。
因みに、両方とも得意でない人はコードよりも文章、すなわちブログやSNSから入るほうが、アウトプットを早く出せるので、続けやすいかもしれない。
4.社外でプロジェクトを組む
社内の人としか付き合っていない、というのは危険な徴候である。同質性の高い人の集団にばかり触れていると、人は徐々に柔軟性を失う。そしてもっと悪いことに自分が柔軟性を失っていることに気づきすらしない。
ある金融業の社員は「新しいアイデアや考え方に触れるため、週末は必ず外部の団体のイベントや、プロジェクトに参加する」と言った。
社外の人と何か協力して事にあたるというのは非常に良い経験、と彼は述べる。
以上のこと考えると、これはある働き方に似ている。
それは「フリーランス」である。アメリカではすでに4人に1人がフリーランスとして働いているという。
組織内であっても外部であっても「成果」を求められることには変わりない。そして、自分を発信し、売り込み、様々な組織の人とプロジェクトを作る。
これは、サラリーマンがフリーランスのように働く、「フリーランス型社会」の到来である。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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