プロ野球に統計学を適用したらどうなるか?そんな男のロマン溢れる遊び学問を追究しているヤツがここにいる。現在、東京工業大学社会理工学研究科社会工学専攻に通う宮崎誠也くんです。
彼がこの研究をしようとしたきっかけは、「日本の野球を世界一にする」と思ったことです。思っちゃったんです。
人生何が自分に影響を及ぼすかわからない。こんなBIGな夢を持つきっかけとなったのは、大学生の頃、高校生の前で自分の夢を発表する機会がありました。
悩んだあげく自分の心に素直に聞いてみたところ、「俺は日本の野球を世界一にしたいんだ」と聞こえて来た。
一旦そう思ったら(思い込んだら?)、その目標に対して自分が何ができるかを考えはじめ、ちょうどその頃大学で学んでいた「統計学」という手法を使って、野球を分析できるのでは?と思った。
ドンピシャ!求めよさらば与えられん!データスタジアム株式会社という会社が自分が考えていたようなことをやっていた。これなら俺もできる。
「日本の野球を世界一にする」と言わば妄想だったものが、己の見える世界を変え、現実の自分の行動を変えてしまった。ただ数値をいじくっていただけだと思っていた「統計学」が、俄然輝いて見えた。
それで彼が取り組んだ研究が、「外野手の空間データを用いた犠牲フライの戦略分析」。
簡単に言うと、犠牲フライの場面で、外野にフライが飛んだ時にランナーはホームに突っ込むべきか否か?という研究です。
そんなの飛んできたフライがホームから遠けりゃ突っ込むし、近けりゃ行かないだろ。というのは、誰でも言えるのですが、それを超えたことをできるから意味あるのでしょう。
彼はこの研究で「第4回スポーツデータ解析コンペティション」という日本統計学会スポーツ統計分科会と統計数理研究所が主催するコンペで特別賞を受賞しました。
彼が統計学の視点から導き出した結論は
・定位置より横から後ろに後退して捕球した時、3塁走者は生還できる・定位置より横から正面に前進して捕球した時、3塁走者は生還できない(出典:Baseball LAB 統計学で犠牲フライを分析 宮崎誠也)
さらにこの研究をベースにさらに少しずつ発展させてコラムを書いているそうです。
続・統計学で犠牲フライを分析 vol.1←「3塁走者の走力」と「捕球者の肩力」も考慮して分析したらどうなるか?
続・統計学で犠牲フライを分析 vol.2←具体的ケース(鈍足阿部 vs強肩平田など)とデータ活用例
再来月には、岡山大学津島キャンパスで行われる「2015年度統計関連学会連合大会」で研究成果を発表します。
宮崎君に、どんなとこにグッと来てこんな研究してるの?と聞きました。
「野球を実際にやってて感覚的に分かることや定説などが、数値で表現できることです」。
と言いました。
こうやってひとりひとりの好奇心が人間の知を推し進めています。目には見えない無形の進化の足跡、人類知。
宮崎君の研究に興味を持った方は、松井知己研究室 miyazaki.s.ab(at)m.titech.ac.jp へお問い合わせください。
(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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