私の周りでは、起業する人が増えている。ここ2年の間に独立した友人は10人を超える。ある人は一人で、ある人は友人を共同創業者として迎え、2〜3人で起業している。

 

友人と起業する場合は、社長となる人が先に会社を立ち上げて準備をし、その半年〜1年後に友人が本格的に参加するというケースが多い。

まだ設立1〜2年の会社が多いが、概ねうまくいっているように見える。

 

一方で「友人と起業してもうまくいかないからやめたほうがいい」という話もよく耳にする。本当のところはどうなのだろうか。

 

 

創業メンバーは経営幹部になる確率が高い

創業メンバーに誰を迎え入れるかは、社長になって初めて行う重要な意思決定のうちの一つだ。

必ずしも創業メンバーが経営幹部になれるとは限らないが、そうなる確率は高いだろう。これまで多くの社長の悩みを聞いてきたが、ほとんどの社長が経営幹部に関する悩みを抱えている

 

例えばこうだ。

会社が大きくなるにつれ、創業メンバーよりも優秀な人材が入ってくる。能力面だけ見れば、あっという間に経営幹部である創業メンバーを追い越してしまう。

しかし、創業時に苦労を共にしたメンバーを簡単に幹部の座から外すことができない。当然優秀な部下からは不満が募るが、情と遠慮が邪魔をして、本人と腹を割って話すことができない。いつまでも決断ができない社長に見切りをつけて、結局は優秀な人材から会社を辞めていく。

 

社長と創業メンバーとの人間関係がギクシャクして、会社が分裂してしまったケースも見てきた。だからこそ、創業メンバーを誰にするかはとても重要な決断のように思える。

 

 

社長の数だけNo.2がいる

いつもは起業した側、つまり社長の話を聞くことが多いのだが、最近は創業メンバーとして選ばれた側、つまりNo.2の人から話を聞く機会も増えてきた。

 

彼らは彼らで、別の悩みを抱えている。

「社長の方が圧倒的に力量が高い。自分に力がなさ過ぎて申し訳なく思う・・・」

「なんでこんな変哲もない自分を共同創業者として選んでくれたのか・・・」

「社長の右腕として、自分に何が出来るのだろう・・・」

カリスマ性も人望も実力も備える起業家の社長と自分を比較して、自信をなくしてしまっている。

 

 

では、そもそも一体どのような人物がNo.2にふさわしいのだろうか

先日読んだ細島誠彦著『No.2という働き方』(日本経済新聞出版社)では、理想のNo.2を以下のように定義している。

ときにトップと戦い、ときに人に嫌われることを厭わず、組織のために働き、人に仕えるということに徹して、企業を発展させることができる人

 

ポイントは、能力が高いという点と、人に仕えることができるという点を両方兼ね備えていることだ。

 

身につけるべき具体的な能力は、

・数字を理解できて、意味も解読できる

・事業をゼロからでも構築できる

・マーケティング知識があって、ビジネスに応用できる

・マネジメントができる

の4つ。確かにその通りだと思う。おそらくこれらの能力を持っていれば、どこの企業に行っても重宝されるだろう。しかし、実際はこんな人物はそういない。

 

そこで社長をしている友人たちに、創業メンバーを選ぶ際に重要視した点は何か聞いてみることにした。

 

 

創業メンバーを選ぶ際に一番大切なこと

早速何人かに聞くと「誰をパートナーにするかは悩まなかった」と回答する人が多いことに驚いた。なぜその人を選んだのかと聞くと、

 

ある経営者は「この人だったら仕事を任せられると思ったから」と答えた。

ある経営者は「この人がいるから頑張れる。ただ一緒にいてくれるだけで心強いから」と答えた。

ある経営者は「社長をしていると周りにイエスマンが増えてくるけど、この人だけは反対意見を言ってくれるから」と答えた。

 

能力に関してはどうかと聞くと、

能力が高いに越したことはないけど、絶対条件ではない。それよりもこの人と一緒に会社をやりたいという直感が大きかった

という答えが大半だった。

 

とても美しい話だが、中には力量が明らかに不足しており、創業間もなく分裂してまう会社もある。

更に掘り下げて質問すると、ある経営者はこのように答えた。

 

その人の能力を活かせるかどうかは自分(社長)のマネジメント次第です。もしその人の能力を活かすことができない、あるいは伸ばしてあげることができなかったら、それは自分(社長)の力量不足です。

もし仕事ができなくて相手にイライラしてしまったら、それは人間としての器が小さいってことですね。まあ、私も日々研鑽中ですよ。」

 

 

まとめ

もしあなたが、上のような社長に「創業メンバーとして一緒に働かないか」と声をかけられたら、私は迷わず挑戦してみることをお勧めする。

自分に右腕が務まるかどうか、挑戦する前から能力なんて気にする必要はない

魅力的な社長があなたを誘ったということは、あなたにも同等の魅力があるということ。ビジネスパートナーとして、誰よりもあなたに信頼を置いているということだ。

 

起業ブームの今、カリスマ性を持つ起業家が注目されがちだが、成功の裏には必ず参謀が存在する。No.2を極めてみるというのも素晴らしい道ではないだろうか。

 

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東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。

安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。


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(2025/5/8更新)

 

−筆者−

大島里絵(Rie Oshima):経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールに渡星し、現地で採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのち独立。現在は「日本と世界の若者をつなげる」ことを目標に、フリーランスとして活動中。

個人ブログ:U to GO