「自分の頭で考えなさい、ってよく言うじゃない、あれ、嫌いなんですよ。」

著名な研究者の彼はそう言った。

「普通と逆ですね。普通は、自分の頭で考えろ、って言いますよね。」

「そうですね、若い研究者や学生にありがちなんですが、よく調べもしないで、「私はこう思った」って言うんですよね。」

「なるほど」

「そんなこと、とうの昔に他の人が考えていて、「もうそんな研究は山ほどあるよ」っていっても、自説にこだわるんです。もう、そういう奴は「バカ」って呼んでいいと思いますね。」

最近、「自分の頭で考えよう」というメッセージを発する人が多い中で、「自分で考えるな」とは、穏やかではない。

つい先日も信州大学の学長が以下のようなメッセージを発している。

スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」 スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。

(朝日新聞)

 

「多分、あれ多くの人が勘違いしていると思いますよ」と、彼は言う。「こういうことわざがあるじゃないですか、「下手の考え休むに似たり」ってね。自分で考えることが重要、っていうメッセージはミスディレクションだと思いますね。」

「では、どうすべきなのでしょう」と、私は聞いた。「学生にどういう指導をすべきなのですか?」

「自分の頭で考えよう、ではなく、自分がバカであることを認識しよう、のほうが、はるかにいいね。本を読み、調べ物をし、人の考えを知る。それは、「自分が何を知らないか」を知るためです。こんなこと、研究者だったら知ってて当たり前ですよ。」

「…。」

「いいですか、そもそも我々にとっては、「知っていること」よりも、「知らないこと」のほうがはるかに重要なんです。私はまだこれについて知らない、私はこれについて意見を持てない、そういう認識が、我々を高める。多様な見方を取り込もうと努力することにつながる。」

「ふーむ。」

「それなのに、「自分の頭で考えよう」なんて、バカのやることです。でなきゃ、「自分を賢く見せようとしてるだけの安っぽい人間」ですね。」

 

「自分の頭で考えるように学生に指導するのは、ちょっと危険ですね。会社でもそうでしょう?とりあえずマネしろ、じゃないですか。」

「そりゃそうです。」

「そうでしょう?マネがきちんと出来るようになって、一人前になる。さらにそれから上を目指すときに、今までの知識を整理して「これはできるか」、「あれは可能か」を検証する。それには意味がある。自分の頭で考えるのは、そこからですよ。」

「webについてはどうですか?」

「まあ、参考程度に使うならいいんじゃないですかね。」

 

2400年前の哲学者も同じことを言っていた。おそらく真理なのだろう。

 

 

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