当然のように行われていることでも、始まりはある。たとえば、新人研修。どこの会社でも大抵行われているようだが、そもそもなぜ始めたのか、考えたことはあるだろうか。

 

☆★☆★☆

 

社会人1年生の時は、わからないことだらけだった。わからないことがあり、先輩に質問する。

すると、先輩はこう答えることが多かった。

「それ、研修で教わらなかったの?」

研修で教わったかどうか、頑張って記憶をたどってみても思い出せない。実際には、教わっていた場合もあるし、教わっていなかった場合もあったのだけど、教わっていても、定着していないことが多いと痛感した。

 

先輩はこう言った。

「俺が入社した当時は、研修なんて1日もなかったよ」

「1日も!? いきなり仕事を与えられて、できるものなのでしょうか」

「できるか、できないかじゃなく、やるしかないよね」

それが、今では入社前の社会人としての基礎(ビジネスマナー等)を学ぶ2日間の研修と、入社後の会社や部署ごとの仕事を知る2週間の研修が導入されている。

「今は2週間も研修があるなんて、丁寧な教育を受けていると思うよ」と先輩は言っていた。

2週間という期間は、大手企業に就職した友人の話を聞くと比較的短い気がするが、研修が全くなかった人から見たら充分な期間なのだろう。

 

では、そもそもなぜ研修をすることになったのだろうか。経緯はこうだ。

研修がないと、新人は入社初日から各部署に配属され、仕事も与えられ、取り組んでいく。だが教えなければ仕事にならない部分もあるため、自然発生的に各部署で勉強会のようなものが開催される。講師の時間も、使う部屋も、勉強会の数だけ必要だ。

それは単純に、「もったいない」と思うだろう。同じような内容を、あちこちでバラバラにやるよりも、1人の講師がまとめて教えた方が合理的だ。こうして新人研修は始まった。

 

これまで、会社が研修を始めた理由を深く考えたことはなく、「いきなり仕事に入るより、ワンクッション置いた方が良いから」「どの会社でもやっているからうちでも」という程度の始まりだと思っていた。

が、実際には想像していたよりも合理的な理由が背景にあった。

 

☆★☆★☆

 

別の先輩はこう言っていた。

「始める時は、当然始めた方が良いと思うから始めるんだよ。そして、始めるのは簡単。でも一度始めたら、辞めるのは難しい。なんとなく今も続けている、ということが、世の中にはいっぱいある」

「たしかに、無駄だと思うこともあります」

「始めるときは、ダメだと思ったら辞めれば良いと思って、軽い気持ちで始めるんだよね。でも一度始めたら、辞めるという決断をするのは難しいもの。反対されるかもしれないし、これまでの流れを断ち切ることになる」

 

新人研修は合理的な理由で始まり、実際に今も必要とされているため、存続していることに意義はある。

だが、始めたは良いものの辞められないまま現在に至る、というケースに思い当たる節がある人も多いのではないだろうか。

 

知人が言っていた。

「無駄な会議が多いってよく聞く話だけど、うちはまさにそう。単なる雑談としか思えない会議に、毎週30分も使っているなんて信じられない。でも、なくなることはないと思う。気軽に意見が言える先輩にさりげなく伝えてみたことがあるんだけど、『何年も前から続いている会議だから、なくなることはないだろうね』と言われてしまったよ」

 

また、別の知人も

「ある地域に工場をつくって、結局赤字を垂れ流しているのに、撤退しようとしない。対策を練って黒字化を目指しているわけでもない。上の立場の人は、社会的イメージのためと言っていたけど、どうなんだろうね」

と言っていた。

 

会議を始めた時は、明確な目的があったのだろう。工場をつくった時は、黒字化する予定だったのだろう。だが、始めるときは合理的でも、時間が経てば状況は変わるのだから、それを続けることが合理的かどうかは、改めて検証してみないとわからない。

「とにかく始めてみることが重要」とよく聞く。それはごもっともだ。ただ、始めるだけ始めて、内容を検証しないのはいかがなものかと思う。無駄だと思ったら、潔く辞める決断をしなければならない。

 

“とにかく始めてみる”は、辞める決断ができる人にのみ活きる言葉なのかもしれない。

 

☆★☆★☆

 

『惰性』に陥っていることはないか、自分の行動を振り返ってみよう……。

 

ではまた!

次も読んでね!

 

【生成AI関連ウェビナーのお知らせ】
単なる理論ではなく、現場で成果を出す生成AI活用の“実装方法”を知りたい方に最適なウェビナーです。
本セミナーでは、製薬・バイオ企業でのPoC(概念検証)から得られた実データとノウハウを元に、「どこにAIが効くのか」「どこが難しいのか」を明確に解説します。

製薬・バイオ企業の生成AI導入セミナー

お申し込み・詳細はこちら


【開催概要】
・開催日:2026年2月12日(木)
・時間:12:00〜13:00
・形式:オンライン(Zoom/ログイン不要)
・参加費:無料(定員150名)

製薬・バイオ企業の生成AI導入は、「試行」から「実利」を問うフェーズへと移行しています。
本セミナーでは、13チームのPoCで時間を50〜80%削減したノウハウを余すことなく共有します。適用可否の見極め、評価設計、失敗領域への対応方法、全社展開のガバナンス設計まで、実践的な内容です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

【対象者】
・製薬・バイオ・化学業界のDX/業務改革担当者
・AI導入プロジェクト責任者・企画部門・法務・人事などの全社展開担当者
・PoC設計や効果測定の「型」を学びたい方
・自社の生成AI活用を確実な成果につなげたい実務担当者

【セミナーの内容】
・生成AIの“適用可否”を短期間で見切る方法(PoC設計・評価の型)
・現場で成果を出すAI活用ノウハウ(バックキャスティング/プロンプト構造化 等)
・適用が難しい領域(PowerPoint・OCR 等)の整理と次の打ち手への転換
・横展開に向けたガバナンス設計とナレッジ共有

【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


【お申込み・詳細】
こちらのウェビナー申込ページをご覧ください。

(2026/01/19更新)

 

【著者プロフィール】

名前: きゅうり(矢野 友理)

2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。

著書「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)

Twitter: 2uZlXCwI24 @Xkyuuri

ブログ:http://kyuuchan.hatenablog.com/「微男微女」