当然のように行われていることでも、始まりはある。たとえば、新人研修。どこの会社でも大抵行われているようだが、そもそもなぜ始めたのか、考えたことはあるだろうか。
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社会人1年生の時は、わからないことだらけだった。わからないことがあり、先輩に質問する。
すると、先輩はこう答えることが多かった。
「それ、研修で教わらなかったの?」
研修で教わったかどうか、頑張って記憶をたどってみても思い出せない。実際には、教わっていた場合もあるし、教わっていなかった場合もあったのだけど、教わっていても、定着していないことが多いと痛感した。
先輩はこう言った。
「俺が入社した当時は、研修なんて1日もなかったよ」
「1日も!? いきなり仕事を与えられて、できるものなのでしょうか」
「できるか、できないかじゃなく、やるしかないよね」
それが、今では入社前の社会人としての基礎(ビジネスマナー等)を学ぶ2日間の研修と、入社後の会社や部署ごとの仕事を知る2週間の研修が導入されている。
「今は2週間も研修があるなんて、丁寧な教育を受けていると思うよ」と先輩は言っていた。
2週間という期間は、大手企業に就職した友人の話を聞くと比較的短い気がするが、研修が全くなかった人から見たら充分な期間なのだろう。
では、そもそもなぜ研修をすることになったのだろうか。経緯はこうだ。
研修がないと、新人は入社初日から各部署に配属され、仕事も与えられ、取り組んでいく。だが教えなければ仕事にならない部分もあるため、自然発生的に各部署で勉強会のようなものが開催される。講師の時間も、使う部屋も、勉強会の数だけ必要だ。
それは単純に、「もったいない」と思うだろう。同じような内容を、あちこちでバラバラにやるよりも、1人の講師がまとめて教えた方が合理的だ。こうして新人研修は始まった。
これまで、会社が研修を始めた理由を深く考えたことはなく、「いきなり仕事に入るより、ワンクッション置いた方が良いから」「どの会社でもやっているからうちでも」という程度の始まりだと思っていた。
が、実際には想像していたよりも合理的な理由が背景にあった。
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別の先輩はこう言っていた。
「始める時は、当然始めた方が良いと思うから始めるんだよ。そして、始めるのは簡単。でも一度始めたら、辞めるのは難しい。なんとなく今も続けている、ということが、世の中にはいっぱいある」
「たしかに、無駄だと思うこともあります」
「始めるときは、ダメだと思ったら辞めれば良いと思って、軽い気持ちで始めるんだよね。でも一度始めたら、辞めるという決断をするのは難しいもの。反対されるかもしれないし、これまでの流れを断ち切ることになる」
新人研修は合理的な理由で始まり、実際に今も必要とされているため、存続していることに意義はある。
だが、始めたは良いものの辞められないまま現在に至る、というケースに思い当たる節がある人も多いのではないだろうか。
知人が言っていた。
「無駄な会議が多いってよく聞く話だけど、うちはまさにそう。単なる雑談としか思えない会議に、毎週30分も使っているなんて信じられない。でも、なくなることはないと思う。気軽に意見が言える先輩にさりげなく伝えてみたことがあるんだけど、『何年も前から続いている会議だから、なくなることはないだろうね』と言われてしまったよ」
また、別の知人も
「ある地域に工場をつくって、結局赤字を垂れ流しているのに、撤退しようとしない。対策を練って黒字化を目指しているわけでもない。上の立場の人は、社会的イメージのためと言っていたけど、どうなんだろうね」
と言っていた。
会議を始めた時は、明確な目的があったのだろう。工場をつくった時は、黒字化する予定だったのだろう。だが、始めるときは合理的でも、時間が経てば状況は変わるのだから、それを続けることが合理的かどうかは、改めて検証してみないとわからない。
「とにかく始めてみることが重要」とよく聞く。それはごもっともだ。ただ、始めるだけ始めて、内容を検証しないのはいかがなものかと思う。無駄だと思ったら、潔く辞める決断をしなければならない。
“とにかく始めてみる”は、辞める決断ができる人にのみ活きる言葉なのかもしれない。
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『惰性』に陥っていることはないか、自分の行動を振り返ってみよう……。
ではまた!
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(2025/5/22更新)
【著者プロフィール】
名前: きゅうり(矢野 友理)
2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。
著書「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)
Twitter: @Xkyuuri
ブログ:http://kyuuchan.hatenablog.com/「微男微女」