WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う差別化、という言葉は企業に於いては戦略論や、マーケティングの領域で頻繁に用いられる。といっても特に難しい話ではなく、要は

『他社との競争に勝つために、他社とは異なる価値を作りましょう。』

という話だ。

 

因みに、ハーバード大のマイケル・ポーターはその著作である『競争の戦略』の中で、戦略は「コスト・リーダーシップ」と、「差別化」および「集中」の3つがあると説いている。そして、一般的に「コスト・リーダーシップ」は大企業の戦略、「差別化」と「集中」は中小企業の戦略とされる。

日本の企業は95%が中小企業だ。だから、必然的に殆どの会社は「どうすれば差別化できるか?」「何に集中するか?」を考えなくてはいけない。

ここまではよく知られた話だ。

 

 

ところが、実務的に難しいのは、「差別化」も「集中」もそうカンタンではないということだ。

特にweb上で競争している企業は、「地域集中」という最も集中しやすい領域で勝負できない。常に全世界が相手となる。しかも、できるだけ多くの顧客を獲得しなければ、「一人勝ち」のWeb上では存在することすらおぼつかない。

だから、実際は「如何に他社と異なるサービスを作るか」であるとか、「新しいアイデアのサービスを作るか」という事に頭を悩ませる。

 

 

しかし、今回紹介する本である、「whyから始めよ!」はその考え方に警告を発する。

「サービスや商品の差別化や集中では、継続して取引を行なってくれる顧客をつかむことは出来ない」というのだ。

 

 

では、何から始めるべきなのか?著者は、「whyより始めること」、すなわち、「自分たちの会社はなぜ存在しているのか」ということから考えなくてはいけない、と言っている。

 

Appleの製品はなぜ売れたのか?それは、デザインや高品質の製品による差別化だという意見もある。だが、同種の競合製品が出てきても、相変わらず「Apple好き」という人々はAppleの製品を買い続ける。

それは、Appleの存在する意味、すなわち「スタイリッシュで、他人とちょっと違った洗練された物を提供する」という哲学に共感しているからだという。

 

 

もちろん、商品は大事である。

しかし、せっかくの差別化も直ぐに真似される。もしかしたら後発の会社のほうが良い物をつくるかもしれない。しかし、「その会社の存在する意味」は容易に真似されないし、その哲学が生み出す「イメージ」は、論理を超えて顧客の購買行動を促す。

 

 

あなたの取り扱っている商品は「なぜ」存在しているのか。それが明確であれば、顧客はあなたの商品に対して明確なイメージを持っているはずだ。

それは、高品質であるとか、サービスが良いとか、言葉で説明できるようなものではなく、「大きな共同体の中の一部」といった感覚を与えてくれるものに違いない。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
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(2025/6/2更新)