部下が上司を評価する人事制度、というのはあまり馴染みがない。しかし、最近ではGoogleなど、360度評価を取り入れ、部下が上司を評価するしくみを意図的に取り入れる会社も増えてきている。

 

だが、依然として上司は部下に評価されることを嫌がる。理由は概ね、以下のようなものだろう。

  • 部下に命令するためには人事権が必要
  • 部下は上司の仕事を理解していないので、評価できない
  • 部下が上司の評価権を持つようになると、部下におもねる上司が評価されるかもしれない

会社は顧客の声を聞け、といわれる。また、耳に痛いことを言ってくれる人を尊重しろ、とも言われる。しかし、殆どの企業では相も変わらず上司は自分のマネジメント能力について、部下から痛いことを言われる機会を設けていない。

 

しかし、フィードバックのないところに改善がないこともまた、確かである。自分自身のマネジメント能力について、「マネジメントされる側」からの意見が無いことは、独善に陥りやすく、改善のためのヒントを得ることも出来ない。

それ故に、ハーバード・メディカルスクールの名誉教授である、ハリー・レビンソンは、目標管理制度も、業績評価制度も、「部下がマネジャーを定期的に評価する制度を伴うべきである」と述べている。

 

人事権は、評価とは別に行使することができる。また、マネジメントの仕事を理解していなくとも、自分たちの上司が「良い上司」であるかどうかは判断可能だ。

そして、ハーバード大学のデイビッド・C・マクレランドの研究によれば「部下に好かれようとする上司は部下から評価されない」という結果が出ている。

 

以上のようなことを踏まえると、本気で管理職を育成しようとすれば「部下から上司が評価される精度」は、強い企業を作る上で必須であると思えるのだが、いかがだろうか。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)