男性ばかりのベンチャー企業で育ってきた私は、いわゆる「男勝りな性格」らしい。

入社して2週間後には、採用責任者として仕事を任せてもらい、1年後には役員に就任した。私以外の周りは全て男性社員だった。

 

お察しの方もいるかと思うが、その頃はというと、ファッションにもあまり興味を持てなかった。持てなかったというよりは、そんな余裕はなかったのだ。

アパレル出身の私は、元々洋服は大好きだった。しかし、そんなことより当日は仕事に夢中で、洗濯機からのローテーション状態に陥っていた。まあ、ただの怠惰と言えば怠惰だろう。

 

そんな時、とある年下の社員に言われた。

 

A君「KOEHIROさんって恋してますか?」

私「え?恋!?何言ってんのー笑。しかも私既婚者だけど笑」

A君「笑い事じゃないですよ。旦那さんでも良いですけど、ちゃんとときめいてますか?」

私「ときめきなんて今の生活の中ではないよね。仕事にときめくくらいかな。」

A君「ダメですよー!女性はいつもでも女性なんだから。【あーこの人ステキ】とか、そういうのがあったら、きっと毎日がもっともっと楽しくなりますよ。何なら僕らの中からでも良いんで、ときめきを忘れちゃダメですよ。」

私「いや・・残念ながら、みんなの中でときめく人なんていないよね。笑」

 

 仕事をバリバリする一方、世間一般的にいう「女性らしさ」というものに欠けていたのかもしれない。まあ、今思えば何とも失礼な話だが、もう過ぎた話なので良しとしよう。

 ちなみにその当時、会社でもらった誕生日プレゼントは、某有名ブランドの手鏡と香水。自分では選ばないような女性グッズは実に嬉しかった。

 しかし、それと同時に女性は女性であることから逃げられないのだとも私は悟った。

 

仕事では男性と同じような働き方や実績を期待され、男性と同じような基準で評価される。しかし、結局はオス化することもこの世の中は認めてさえくれていないというのが現状だ。

 

 

また、とある日の会食事にはこんなことがあった。

 

Bさん「KOEHIROさんは、女性を武器にしたことって実際あるんですか?」

私「いやいや、そんなこと人生で一度もないですよ。むしろそんなことあるんですかねー。少なくても私とは無縁ですね。」

Bさん「でも、KOEHIROさんは普通の私生活の話もざっくばらんに話てくれますし、勘違いする人もいるんじゃないですかね。」

私「はあ…。私は女性を武器にした覚えもないですし、ましてや男女の関係をもって仕事に繋げるなんてしたことありませんけどね。」

 

なんとも難しい世の中だと思わないだろうか。私はオス化することすら許されない上に、女性として少しでも見られたら、何か怪しい眼差しで疑わられるのだ。

そもそも当時は、会食に行くだけで「気を付けて下さいね」と社内では言われていた。

私は「女性だから」とか「男性だから」とか、そういうレベルの話をしたいわけではなかったので、このような経験は非常に勉強になったと同時に、世間一般的に見られる働く女性の生きづらささえ感じた。

 

よく有名になった女性社長が、それこそ有名な男性社長のおかげで成り上がったみたいな話をよく聞く。「あの人たちって特別な関係があって、そのおかげらしいよ」みたいなそんな話。

それは本当の話かもしれないし、どこかから出てきた嘘かもしれない。何なら、気に入られていたというだけのことがどこかで誇張されて広まってしまっている可能性だってある。

だから、私はほとんどそのような話は信用していないし、興味がないのだ。

もし仮にそうだったとしても、その事業にひとかけらも可能性がなかったら、日の目を見ることなんてそもそもない。それに、その事業のビジョンを語ることで人を惹きつけたということは、間違いない事実であると思うからだ。

 

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ただ、最近になって女性が「女性だから」という理由で、時に優遇されてしまうのも仕方がないことではないかと感じている。

私は仕事をすればするほど、男女の違いを精神的にも肉体的にも感じるようになった。見た目でもわかるように体の作りだって違うし、内面で言っても、女性のホルモンバランスは激しく上下し、男性は一定であるという大きな違いがある。

人間という一括りにすると同じだが、既に生物学的には別の生き物であるからだ。

 

それに、例えば「ありがとうございます。」「今日は楽しかったです。」のような当たり前の感情を当たり前えに表に出したとしても、受け取られ方はそれぞれであって、もはや受け手の感情までは自分にはコントロール出来ないことなのだ。

 

ただし、チヤホヤされることで自分の実力以上を兼ね備えていると勘違いすることはしては決してならない。また、一線を越えて仕事を取ってくることは、全くこの話とは異なる問題である。

男女関係なく言えることだが、女性としても好かれ、【LOVE】ではなく【LIKE】で仕事を一緒に出来れば、それでいいではないか。 

 

女性として扱われることは、女性にとって一つの評価だ。だって、女性なのだから。

結局、ヤジを飛ばすのは大体同性か、実はその人に興味がある男性、もしくは噂好きの野次馬なのではないかと最近思う。

 女性が女性として見られて何が悪いんだろうか。

それもあなたの魅力の一つだ。

 

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・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
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(2025/6/2更新)

 

【プロフィール】
名前:KOEHIRO
23歳でベンチャー企業の役員に就任。それと同時期に結婚するという怒涛の20代前半を過ごし、現在はフリーランスとして様々な事業に挑戦中。