仕事柄、いろいろな有名病院でトレーニングを経た医者と働くことがある。彼・彼女らの多くは非常に優秀だ。割合でいえば、確かにブランド病院出身者は優秀な人が多いと思う。
だがそれと同時に、それであるが故に驕り高ぶっていたり、井の中の蛙になっている人が多いのも事実だと思う。
これは普通のサラリーマン社会で生きている人にも非常によく当てはまる事だと思うので、以下、具体例をあげて解説していこうと思う。
あいつはここの研修も通り抜けられない、その程度の人間だったんだよ、という発言をする人は危ない。
普通の人は医学部の就労システムを知らないだろうから簡単に説明させていただく。
一般的には6年かけて医大を卒業した後に、2年間どこか自分で選んだ病院で初期臨床研修を行い幅広く全科をローテーションする(内科・外科・産婦人科・小児科などなど)
その後、専門を選択し、脳外科とか循環器内科といった専門性を身に着けていくのが医者の一般的なキャリアの流れだ。ジェネラル(初期研修)を経て、スペシャリティ(後期研修)を身につける。これが医者の一般的な就労システムである。
日本全国、病院なんてそれこそとてつもない数がある。東大病院のような誰もが知っている病院もあれば、誰も知らない僻地の病院もある。
一般の就活システムほどの難関ではないが、日本にもいくつかは入り込むことが難しい有名研修病院がある(代表的なところでは聖路加国際病院とか亀田総合病院なんかがそれだ)
いわゆる外資系コンサルとか外資系金融機関と同じで、これらの施設は基本的には激務だ。
モチベーションが高い人が集まるのだから、そうした傾向が強いのは仕方がないことではあるのだが。と、なると当然ドロップアウトするような人が一定数現れてくる。
当たり前の事だけど、仕事におけるポテンシャルの高さは人それぞれだ。ものすごく仕事の飲み込みが早い人もいれば、いくら頑張っても全く仕事ができるようにならない人も一定数存在する。
筆者の経験則からもいえるけど、激務は人を著しく成長させる。その人にポテンシャルがあればの話だが。
有名施設にくるような人は普通は採用段階でふるいがかけられているのでロースペックの人は少ないのだが、それでもどうしても時々そういう人が入り込んでしまうのは事実である。多くの人は何とか最後まで頑張るのだが、それでもどうしても時々ドロップアウトしてしまう人が出てくるのも事実である。
こういう時、有名施設の人はドロップアウトした人に対して結構冷たい。
勿論優しい人も多いのだが、「あいつはここの研修も通り抜けられない、その程度の人間だったんだよ」というような事をいう人が結構いる。
この認識が自然に出てくるような人は、役職についた後に結構危ないんじゃないかというのが筆者の印象だ。
世の中は、能力の高い人ばかりで出来ているわけではない
当たり前だけど、世の中能力の高い人ばかりで出来ているわけではない。
兵隊として働いている時は、自分の能力だけを気にしていればいいが、上司となって人を動かす立場になったらそうもいかない。自分のように高い能力を持つ人が部下なのならばいいかもしれないけど、それがいつまでも続くはずもない事ぐらい論理的に考えればわかるはずだ。
この手の人達は、自分の設定している人に対する基準値が高すぎる事から部下を平気で鬱にする。
また優秀な人以外を部下として扱えないので、優秀な兵隊が多く集まる有名施設以外で働けない傾向が強い。
僕はこれを「有名施設のジレンマ」とよんでいるのだけど、社会人生活をおくるにあたってこういう態度は本当に危険なのでほんの少しでもいいから自分にこういった気質があるかどうかは気にした方がいい
最も問題になるのは、この気質を家庭に持ち込んでしまった時で、こうなると家庭環境が壊滅的に悪くなる。配偶者も子供もハイスペックじゃないと成立しないような家庭は、えてして不幸になりがちだ。
優秀なあなた。どうかもう少し人に対して優しくなって欲しい
有名施設出身者の優秀なあなた。どうかもう少し人に対して優しくなって欲しい。もちろん完璧主義で24時間働けますかのようなハイスペック人間も素晴らしい。そういう人がいるからこそ、日本の医療が成り立っているのも事実だ。
だけどそれを徹底しすぎる事は、あなたの首を遠回しに締め付ける事になるという事もまた事実なのである。人にやさしくなれる事が、長い目で見た時にあなたの人生に平穏と幸福をもたらすのもまた事実なのだ。
長くなったので今回はここでやめることにするが、この他にもブランド研修病院出身者が陥りやすい罠がいくつかあるので、また機会を改めて書いていこうと思う。
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