情報の入手が以前よりも用意になったためか、若手の起業家たちの話題が取り上げられることが多い。以前日経で、「君が20代なら、起業は今しかない」という記事が取り上げられていた。そこには、某有名企業のCEOたちがいくつの時に起業したかが掲載されている。
1.グーグル創業者:セルゲイ・ブリン(25)とラリー・ペイジ(25)
2.アップル創業者:スティーブ・ジョブズ(21)とスティーブ・ウォズニアック(26)
3.マイクロソフト創業者:ビル・ゲイツ(20)とポール・アレン(22)
4.フェイスブック創業者:マーク・ザッカーバーグ(20)
5.ウォルマート創業者:サム・ウォルトン(26)
海外の錚々たる面々が紹介されているが、日本においても「最年少で東証一部上場」を果たしたリブセンスの村上氏などが、事例としてよく紹介されている。だが、実際に若手の起業は活発になっているのだろうか?
日本においては残念ながら、そうはなっていないようだ。
経済産業省の中小企業白書2011によると、「起業希望者及び起業家の性別及び年齢別構成」というデータがあるが、
- 1979年には20代の起業家は全体の24%を占め60代以上の起業家が全体の7%しか存在しなかった
- 2007年には20代以下の起業家はたったの15%、逆に60代以上の起業家が27%も存在している
現実には、高齢者の起業が圧倒的に増加している。
なぜなのだろうか。「若者の安定志向」が指摘されたりするが、本質はもっと別の部分にあると思う。
シンプルに考えれば、「起業に際して必要となるノウハウが高度に、必要とされる資本が多く」なったのではないか。
白書の分析では、
”大学や勤め先等で、一定の経験や人脈、専門知識・技能を蓄えた後に、働き盛りの年齢で積極的に事業を起こした起業家が、その後に成功しやすいことが示唆される”
”我が国の起業家は、その大半が既存企業を退職した後に起業する「スピンオフ型」や「のれん分け型」に分類されるが(前掲第3-1-33図)、既存企業に勤めている被雇用者は、業務の中から起業のもととなるアイディア及びやりたい仕事を発見する機会並びに起業のパートナーと出会ったり、起業家や取引先と交渉する中で起業に興味を抱いたりとトリガーイベントに遭遇する機会に恵まれている。
こうした経験や人脈を有する被雇用者にとっては、既にある程度の資金、経験、人脈を有しているため、資金や人材等が参入障壁となりにくく、また、起業後の課題や成功要因となる販売先の確保にも有利であるといえる。このように企業への勤務経験は、起業の成功に大きく作用することが推察される。”
つまり、20代の若者にとっては、「非常に起業しにくい」と思われているのだ。
大企業に入って高度な技術を学び、社外の様々な人物と人脈を構築出来た人が起業する。企業のハードルは年々上がりつつあるのかもしれない。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)