a0001_016740人事評価の季節がやって来ました。(違う時期に評価をやっている会社もありますが)

人事評価、大変ですよね。人を「診断」して、「評価」し、「格付け」するのですから、エラい気を使います。

 

でも評価される身になってみると、みんな「格付け」や「診断」が嫌いじゃないんですよ。むしろ大好き。

「自己診断」って、web上で人気のあるコンテンツのようです。あと、プレジデントやダイヤモンドなどのビジネス誌がよくやっている「格付け」っていうのも人気。2ちゃんねるをみれば「格付け板」みたいなもので同じようなことをやっている。

みんな、格付け大好きなんです。

 

あまりに気にならない?そういう人もいるかもしれません。でも、会社の経営者や人事は「格付け」には非常に気を配ります。会社員は「職位」やら「給与」やらでありとあらゆる格付けをされるので、みんなとても格付けには敏感ですから。厄介です。

 

 

例えば想像してみてください。隣のデスクにいる、同じ年に入った同僚が、あなたとあまり成績は変わらなかったのに、先に課長に昇進しました。どう思いますか?

運が良かった?

自分に気づかないところで彼が頑張っていた?

会社の人事がおかしい?

自分に至らない点があった?

 

どう思っても自由です。でも「何も思わない」というひとは極めて少数のはず。そんなもんです。格付けが好きな人も、嫌いな人も、会社に入ってしまえば格付けされる。社長になっても、投資家から格付けされる。

格付けからは逃げられません。

 

結婚もそうです。結婚相談所に行って登録すればかならず、「年齢」「年収」「容姿」その他の様々なパラメータで格付けされて、他人から吟味される。だから、「格付けされない生き方」なんてものは、この社会の中では有り得ません。人里離れて、自給自足でもしない限り無理です。

 

部下も、そういう世の中の状況はわかっている。

 

ただ、自分が下位に格付けされていたら嫌ですよね。

「自分は底辺だ」って、自覚なんかしても精神衛生上良くない。中には自分を敢えて追い込むことで頑張る人もいるらしいですが、大半の人は「自分はそこそこ」って信じたいし、格付けを上に上がるための努力なんて「カッコ悪い」なんて思う人もいるわけです。

 

でも、

本当は本人もわかっています。自分が「出来ない人」だってことは。

 

 

部下の評価を初めてする人が勘違いしやすいのはここです。

部下はすでに、自分が出来る人なのか、出来ない人なのかを知っています。

「言われなくてもわかってる」っていうのが、本音です。

「いやいや、アイツは勘違いしている」っていう管理職の方もいますが、従業員は自分の評価がわからないほどバカではないです。あなたに反発するのは、「オマエに言われたくない」って言っているだけですから。

 

だから、あなたの役割は「評価を伝えること」ではないんです。「客観的に事実を伝える」なんて、愚の骨頂です。

彼が求めているのは、「オレはどうしたら評価されるようになるんだ」「どうしたら格付けが上がるんだ」を、「ソフトに気づかせて欲しい」ということです。

 

ポイントは「ソフトに」です。ストレートに「オマエはだめなやつだから評価低いよ」と言われたら、だれでもヘコミます。上司は「オマエの実力不足だ」ではなく、こんな時くらいは「景気のせい」「上司のせい」「会社のせい」にしてあげてください。大企業の経営者ですら、「景気のせい」と公言するくらいですから。

また、彼は「あなたから教わりたい」とは思っていません。「自分で気付きたい」のです。嫌味にならないように質問してください。自分で思っていることは、他の人から聞かれれて初めて気づきます。

質問すること、考えてもらうこと。これさえできれば、人事評価は成功です。

 

 

課長「今期は頑張ったか?」

部下「頑張りました、成果は残せていないですが、精一杯やりました」

課長「そうか。精一杯やったのなら、まずはお疲れ様。」

部下「ありがとうございます」

 

課長「因みに、なんで成果につながらなかった?」

部下「さあ・・・?お客さんがイマイチだったからですかね。コロコロ言うこと変えたりして。私のせいじゃないです」

課長「そうか。ならば、●●さんのせいではないな。」

部下「ですよね。もっと良いお客さんなら、もっと成果が出たはずです」

課長「なるほど、では、来期どうしたい?」

部下「もっと良いお客さんを回していただけないですか?」

課長「例えば?」

部下「XXさんが担当しているようなお客さんです」

課長「なるほど、でもあのお客さんは、今XXさんを信頼しているから、それは無理だな。」

部下「あのお客さんじゃなくていいです。同じようにXX業界の、頭が良くて、あまりうるさくないお客さんなら一番いいです。」

課長「でも、そんないいお客さんだったら、だれでも成果が出るんじゃないか?あなたじゃなくても」

部下「まあ、そうです。」

課長「だったら、君のような優秀な人を充てるのはもったいないんだが、どうだろう。」

部下「・・・」

課長「会社としては、今ひとつなお客様をうまく回してくれる人のほうがよっぽどありがたいんだが」

部下「・・・そうですね」

課長「・・・」

部下「でも、不公平じゃないですか。XXさんは苦労せずに良い評価をもらって、私は苦労しても評価が低いなんて」

課長「・・・本当にXXさんは全然苦労していないと思っている?」

部下「・・・いや、そうは言わないですけど・・・」

課長「うちの会社では、君も含めて、頑張っていない人はいない。そうだろう?」

部下「・・・はい。」

課長「・・・」

部下「課長、どうすれば、もっと成果が出るんですかね」

課長「・・・いつも頑張って考えているんだろう?」

部下「そうですが・・・」

課長「どう思っているのか、聞きたいんだが」

部下「はい、この前思ったのは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)