ドラッカー名著集1 経営者の条件「努力」は大事だ。人材育成をしっかり行う会社では、「成果」はもちろん重視されるがあわせて「努力」を重視する。つまり短期的な評価だけでは判断しない。

しかし、いくら「努力」していても、往々にして結果が伴わない人がかならず存在する。「努力は認めるが、結果は・・・」ということが長く続くと、経営者も、また本人にとってもあまり良くない状態となる。

結果的に経営者は「努力ではなくて結果しか見ない」と変わってしまうこともあるし、社員は「こんなに努力しているのになぜ認めてもらえないんだ」と、僻むようになる。

 

 

そこで重要な問いは、「なぜ彼らは努力しても結果が伴わないのだろうか」ということだ。

 

 

ピーター・ドラッカーはその著作「経営者の条件」の中で、この話に触れている。

彼が述べるところの原因は「彼らは貢献でなく、努力に焦点を合わせている。」

 

 

”戦時中に連邦政府で成功した人たちはみな、貢献に焦点を合わせてた。その結果、仕事の内容とともに価値の相対的な比重まで変えることが出来た。失敗した人たちの方が、よく働いていたという例も多い。しかし、彼らは自分に挑戦しなかった。努力の方向を変える必要に気付かなかった。”

 

ドラッカーは成果をあげるために、努力「量」ではなく、「方向」が適切であるかどうかチェックする必要があると述べている。そのための鍵が「貢献に焦点を合わせる」だ。特に、「知識労働者」については、貢献へ焦点を合わせることが必須である。

 

 

では、貢献へ焦点を合わせるとは何をすることか。ドラッカーはこう述べる。

”必要なことは、自らの産出物たる断片的なものを、生産的な存在にするために、「何を知り」「何を理解し」「誰に利用してもらうのか」を考えさせることである”

”顔を上に向けることによって、ほとんど無意識に、他の人が何を必要とし、何を見、何を理解しているかを知ることができる。”

 

 

  • 設計者は、製造工程の人が何を求めているか知っているか?
  • 営業は、顧客や営業事務、商品開発の人が何を求めているか知っているか?
  • 経理は、経営者や部門長が何を求めているか知っているか?

 

これらを理解することで、成果をあげることはより簡単になる。

 

 

また、ドラッカーはこの後にこう続けている。

 

”対人関係の能力を持つことによって、良い人間関係が持てるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点をあわせることによって良い人間関係が持てる。そうして、人間関係が生産的になる。生産的であることが、良い人間関係の唯一の定義である”

 

表面だけのコミュニケーションスキルなど磨く必要はない。

肝心なのは、自分の成果を必要としてくれる人にとって、何が最も有用なのか?を明らかにして、相手に与えることだ。

 

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・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


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(2025/6/2更新)