眠るように死にたい。できれば苦しみたくない。

こう願う人はたくさんいるだろう。筆者自身も、できればそうでありたいので気持ちはよくわかる。

  

最近、若い人と話していると、60歳ぐらいで綺麗に死にたいという人が結構多い。その理由を聞くと、介護問題などで他人に手を煩わせたくないからだという。「60歳くらいで綺麗に寿命を終わらせる方法はあるの?」と彼らは筆者によく尋ねてくるのだけど、残念ながらそういった方法はない。

  

書籍やインターネットの記事により、どうやったらよい生き方ができるかについての情報は枚挙に暇がない(BooksAppsさんもそういう媒体のうちの1つだろう)

その一方で、人生がどうやって終わるかについて書いている記事はほとんどない。健康はいい事だというのは皆の共通認識だろうが、運動と正しい食生活がなにの役立つかについては、誰も何も教えてくれない。

  

というわけで、今回は日本人の死因の上位5位順に、どうやって人が死ぬのかの過程について書いていくことにする。

恐らく多くの人が気になるのは、

1.楽なのか苦しいのか

2.すぐ死ぬのかある程度時間がかかるのか

だと思うので、各項目の最後にこれらをリストアップして載せることにする。 

  

1. がん

がんは一言でいえば遺伝子異常だ。人は食事をすることで、自分の身体の材料を手に入れる。あなたが食べた食物は、様々な代謝経路を通じて、あなたの血肉となる。  

時々、この代謝サイクルの中で不良品が出てくる事がある。普通は不良品は身体のチェックリストを通過せず、破棄されるのだけど、運悪く破棄されずに身体のどこかに出てきてしまったものが、がんとなる。 

  

人間に寿命があるように、普通の細胞には寿命がある。あなたの外見上の姿形は変わらねど、構成する身体の細胞は、2年ぐらいのサイクルで大体全て入れ替わると言われている。

その一方で、がん細胞には寿命がない。一度できたら、どんどん増殖を続け、おまけに遠隔転移もしたりする。これががんの一番恐ろしい点だ(脳転移とか、肺転移かがこれに当たる)

  

普通の細胞は他の場所にはいかない。例えば脳に突然、胃ができるだなんて事は普通はない。けど脳に胃癌が転移する事は普通にある。がんで死ぬパターンはいくつかあるのだけど、基本的にはがん細胞が脳や肺といった、生命維持装置に転移して、そこの機能が破壊される事で死に至る事が多い(つまりがんが身体にできただけでは人は死なない。出来た後に、転移等を起こして初めて人は死ぬのである)

おそらく読者の中には、がん≒死のイメージを持つ人がたくさんいると思うけど、がんもできる場所で随分と性質が異なる。がん別の生存率が国立がんセンターの集計により発表されており、転載すると以下の通りになる。

  

(1)5年生存率 90%以上

前立腺(100%)、乳(92.9%)、甲状腺(91.6%)

(2) 5年生存率70%以上90%未満

子宮体(84.9%)、大腸(75.9%)、子宮頸(75.1%)、胃(73.1%)

(3) 5年生存率50%以上70%未満

卵巣(61.0%)など

(4) 5年生存率30%以上50%未満

肺(43.9.%)、食道(42.3%)、肝(34.8%)など

(5) 5年生存率30%未満

胆のう胆道(28.9%)、膵(9.1%)など

  

上に書いたように、前立腺や乳がんのように、なかなか進行しない低悪性度のがんもあれば、膵癌のようにすぐに悪くなるタイプの高悪性度のがんもある。がんといっても、種類によって全然質が異なるので、どこのがんなのかについてをキチンと把握することが大切だ。

なおがんの苦しさだけど、やっぱりというか楽ではない。薬がかなり進歩した事により、多くの苦しさは取り除くことが可能だけども、風邪が苦しいのと同様、がんも身体に不調を及ぼすことは多い。  

とはいっても、苦しくなるのは基本的には最後の最後の段階だし、本当にきつくなったら薬で寝ることもできるので、このあたりはしっかりと医師と相談して適切に苦しさをコントロールすればよい。

  

まとめると以下の通りとなる。

1.楽なのか苦しいのか

→途中までは基本的に楽。最後は多少苦しいけど、薬である程度はコントロール可能。

2.すぐ死ぬのかある程度時間がかかるのか

 →がんの種類による。

  

2. 心臓の病

まず大前提として、心臓が止まると人は10分程度で人は死ぬ。全ての死因の中でも、死に至るスピードが最短に近いのが、心臓の病だ。

人のほぼ全ての身体は、血管を通して血液が行き渡っている(これにより栄養だったり酸素だったりを得ているわけだ)。血液を全身に行き渡らせるポンプである心臓もその例外ではなく、冠動脈という心臓から出てすぐの所にある大動脈から分岐する、太い血管により心臓は血液を得ている。

  

この冠動脈が詰まるのが、心筋梗塞の原因だ。劣悪な食生活を送ると血管にコレステロールが沈着し硬化していくのだけど、この冠動脈も例外ではなく、劣悪な食生活を続ける事で、冠動脈も同じく固くなっていく。最終的にはこの冠動脈が詰まる事で、心臓は栄養を得る場所を失い、そしてその機能が止まることになる。こうなると人は助からない(すぐに処置をうければ、話はまた違うのだけど)

これ以外に心臓が止まる機序として、不整脈がある(一般的には心臓麻痺なだなんて言われたりする事が多い)心臓の原材料は手足についている筋肉とほぼ同じものなのだが、手足とは違い自分の意思では動かすことができず、寝ている間も勝手に自動で働き続けてくれる。

  

これは心臓の中に、ペースメーカーのようなものが組み込まれているが故の機能なのだけど、時々このペースメーカーがぶっ壊れる事がある。そうすると、心臓はしっかりと動くことができず、ポンプとしての機能が果たせなくなり、結果人は死に至る(よく駅とかにあるAEDは、これを治すためにある。簡単に機序を書くと、あれで電気ショックを起こすことで心臓の中にあるペースメーカーを初期化するのである)

心臓の病は、基本的にはサックリ死ぬ。こう書くと、心臓の病気で死にたいと思う人も多いかもしれないけど、残念ながらこれを自分で起こすようにコントロールする事は不可能に近い。心筋梗塞になるために身体に悪いものを食べて血管をボロボロにしても、心臓が悪くなる前に腎臓などのその他の臓器がぶっ壊れる事も多く、またそれらの臓器が壊れるとQOLが著しく下がるので、個人的にはあまりおすすめできない。

  

まとめると以下の通りとなる。

1.楽なのか苦しいのか

→基本的には苦しいのは最後の一瞬だけ。だけどいつ起きるかは誰にもわからない。

2.すぐ死ぬのかある程度時間がかかるのか

 →すぐ死ぬ。

  

長くなったので今回はここまで。次回は肺炎、脳卒中、老衰編になります。

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高須賀 ←名前をクリックすると今までの記事一覧が表示されます

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