あまり大々的に報じられてはいないが、スイスで面白い国民投票が11月24日に行われる。報道によれば、
”会社規定の最低賃金で働く社員の12カ月分の給料は、その会社のトップ役員が稼ぐ1カ月分の給料よりも低くてよいのだろうか?
賃金格差に制限を設けるべきか否かを巡り、スイスでは11月24日に国民投票が行われる。
役員への法外な報酬の抑制を求めた「高額報酬制度反対イニシアチブ」が国民投票で可決されてからまだ9カ月しか経っていないスイスで、給料を巡るイニシアチブが再び国民投票にかけられることになった。それが、今回の「1:12イニシアチブ-共に公正な給料に向けて」だ。
これは、トップ役員に払われる桁違いの給料に不満を募らせた社会民主党青年部が中心となって成立したものだ。
前回のイニシアチブではスイスの上場企業だけが対象で、経営陣の報酬額を株主に決定させることが狙いだった。一方、今回はすべての企業が対象。賃金格差の監視は国が担うことになる。”
この法案が成立すれば、「社長の給料は、ヒラ社員の12倍までに抑えられる」こととなる。
大企業の経営者や、高給をもらっている人々は眉をひそめそうだが、実際のところ役員と社員の賃金格差が100倍以上存在する会社もあり、こういった高額報酬に歯止めをかけることが狙いのようだ。
一方反対派はお決まりの反論をしている。
国民党所属の下院議員でもあるリム氏はまた、イニシアチブが可決されたとしても、推進派が期待するような効果は表れないと考える。
「最低賃金は上昇しないばかりか、低賃金の仕事が減っていくことだろう。規制のせいで、企業がそうした仕事を国外に移すからだ」
おそらく、一時的にはそのような傾向となるかもしれない。
しかし、長期的に見れば20世紀は格差を縮小し続けてきた時代であった。歴史的に見れば、19世紀の大富豪であったロックフェラーは、現代の大富豪であるビル・ゲイツらに比しても遥かに多くの富を抱えていたことをドラッカーは指摘している。
世の中が進歩する、ということは「富の偏在が解消されていく」ということとほぼ同じである。それによってより多くの人々が「協力できる」ようになるからだ。強者が支配する世の中では衆知を結集することは難しい。
従って、今回の国民投票の結果がどうであれ、社員と社長の賃金格差は縮小する方向にあることは間違いない。
アメリカ合衆国が覇権を握ることの一つのきっかけが、「奴隷解放」である。そしてそれは世界中に波及した。これから150年ほど経てば、「会社員」という存在が残っているかどうかは疑問だが、少なくとも現在よりも格差は遥かに縮小しているに違いない。
(2026/6/2更新)
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