ブログの記事をお読みいただいた経営者の方から、あるご意見をいただいた。お読みいただいた記事は、以下のものだ。
解雇規制が強い日本の会社は、中途採用には慎重である。そして、年功序列的な考え方、すなわち永年会社に貢献した人が出世する、という構図になっている。したがって、支配的な価値観は、「長く勤める人=価値が高い」である。
(Books&Apps)
そして、いただいた意見が、「転職回数の多い人を採用するようにしています」というものだった。
とても面白い。なぜそのように考えたのか、意見を伺った。
「私どもは、転職回数の多い人を採用するようにしています」
「面白いですね。なぜですか?」
「いろいろな会社を見てきた人のほうが世の中のことを知っていますし、常に「自分の価値」を意識して働いている人が多いように感じます。」
「世の中のことを知っている、というのはわかりますが、「自分の価値を意識」と言うのはどういうことでしょう?」
「単純です。日本の会社はまだまだ「転職」に関して非寛容です。転職回数が多いと、経営者はその人の雇用に慎重になる。」
「はい。」
「それは当然、本人もわかっています。ですから、転職を繰り返すには、一貫性があるか、自分のスキルに自信があることが前提です。周りが採らないのに、スキルが高い。そういう人は、実はお買い得なわけです。」
「…逆張りの発想ですね。」
「そうですよ。だからうちは、いい人がたくさん入ってくれます。転職回数5回以上の人なんて、かなり歓迎ですよ」
「なるほど…。」
「安達さん、まだ疑ってますか?例えば、「同じ会社で20年頑張ってきました、でもリストラされてしまいました」こういう人をどう思いますか?」
「「まじめに働いてきたけど、運が悪かった」と思いますが…?」
「実際、こういう人のほうが実は微妙です。その会社の慣習に凝り固まっているし、スキルなんてとっくに陳腐化してます。人脈もないし、どうしようもないです。」
「…。」
「転職は大きなチャレンジです。チャレンジしない人よりも、チャレンジして失敗する人のほうが、われわれの仲間としてふさわしい。そう思っているだけですよ。」
「確かにそうかもしれませんね…。」
「そうでしょう。」
「でも、少し疑問があります。「仕事に不満を持っているので、転職を繰り返す人」についてはどう思いますか?ジョブホッパーと言われて、ネガティブに捉えられがちですが。」
「全く問題無いですよ。会社に不満ならやめてくれるのですから、こちらとしても大助かりです。」
「…。」
「不満を持っているにもかかわらず、愚痴を言い続けて会社をやめてくれない人が一番たちが悪い、そうおもいませんか?転職2回目くらいの人が、一番危険です。5回も6回も転職している人は、すっぱりやめてくれるので後腐れもなく、辞めたあといい関係になる、っていうこともありますから。」
一見常識とおもえることでも、逆に見ると全く異なる発想となる。
非常に勉強になったインタビューであった。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
筆者Twitterアカウント安達裕哉(人の能力について興味があります。企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働者と格差について発信。)
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