ニコニコ動画運営の「ドワンゴ」が新卒が入社試験を受ける際に、「試験料」を徴収することに決めたということだ。(毎日新聞)
金額は2525(ニコニコ)円。得られたお金は寄付をするという。と言っても地方の学生からは徴収せず、負担するのは東京都と神奈川、埼玉、千葉の3県在住の学生のみ。
「冷やかしでとりあえずエントリー」を防ぐためのようだが、賛否両論である。
賛成派は、「本気の人だけ就職試験を受ける」であるとか、「企業の負担が減って、一人一人をきちんと見られるようになる」と言った意見が多い。
反対派は、「学生の負担が増える」であるとか、「傲慢だ」と言った意見もある。
まず前提として、「採用には手間とお金がかかる」ということだ。中小企業でも大企業でも、採用は「人を集めて」「書類を見て」「面接をして」と、恐ろしくたくさんのことをしなければならない。まして、新卒採用のように一時期に負荷が集中するような仕事は本来、「望ましくない」仕事である。
さらに、採用の面談をする担当者が一日にきちんと1時間くらいかけて面接できるのはせいぜい5人くらいだろう。10分、20分でその人の本質など見抜けるはずもなく、担当者は大量の入社希望の新卒を「さばく」ことで手が一杯である。
このような現状を見ると、人気企業にとっては「受験者の数が少なくして、質を高めたい」というのがもっとも重要な課題である。
だから、「学歴」であるとか、「サークル活動」、「試験の点数」といったような形式的に審査が可能なものでまずふるい落とすことが今までは合理的だった。「学歴」と「学生の質」にある程度の相関があるだろうというのが、多くの人気企業の共通した考え方だったからである。
しかし、ドワンゴは敢えてそのようなことをしなかった。
それは、「学歴」と「学生の質」にそれ程相関がないのではないか、あるいは純粋に学歴によるフィルターを「クールではない」と考える企業が増えてきたことに通じる。
代案として、「受験するのにカネを出すかどうか」ということによって学歴のごとくフィルターをかけようと言っているのだ。考えてみて欲しい、2525円出す学生と、それすら出さない学生との質の差を。「学歴」より合理的だろうか?
感覚的にはフィルターの機能としては「不十分」だろう。おそらく1人3万円以上取らないと、フィルターの機能としては弱いと思う。2525円なら、ポケットマネー程度だ。
3万円を超えると人によっては親に頼るようになり、親から「そんな会社やめとけ」と言われて思いとどまる、と言った具合だと思う。
だから、本来の目的を果たすために様々な会社が「受験料フィルター」を導入すると、学生の負担はそれなりに増えるに違いない。
これは良いことなのか、という倫理的なもの以前に、「お金持ちがより人気の企業に就職する」という現行の学歴によるフィルターと何が違うのか、ということになり、「結局同じじゃないか」というところに落ち着きそうである。
さて、他に良い「フィルター」は無いのだろうか。「学歴」でもなく「カネ」でもないフィルターが。ざっと挙げてみる。
1.Facebookの友達の数(500名以上など)
2.「ブログ」か何かを書かせて、一定期間内でのアクセス数で評価
3.Evernoteがやっているように、プログラミングのweb試験を行う(課題を解いた人が応募できる)
4.資格取得
考えればいくらでも出てきそうだが、所詮は「フィルター」なので、「成功した採用だったか」は働きぶりを見ないとわからない。
その程度のものであると考えれば「受験料」も特に目くじらを立てるほどのものではないかもしれない。
(2025/7/14更新)
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第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは
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保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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