遠藤周作の「沈黙」が、マーティン・スコセッシによって映画化された。

知人の評価は「最高の映画」ということだった。

 

一方、私は映画をまだ見てはいないのだが、小説については多くの方におすすめできる傑作であると思う。

 

遠藤周作は、日本人作家としては珍しいクリスチャンであるので、「キリスト教」をテーマとした作品を数多く発表している。

個人的には

「イエスの生涯」

「キリストの誕生」

そして今回の「沈黙」

の3冊を非常に気に入っている。

 

私たち日本人は、キリスト教における「信仰」の概念を理解するのは難しいが、彼の小説では、遠藤周作という人物が考える「信仰」が克明に描かれる。

 

そして私は、遠藤周作の描く「信仰」についての議論は、2つに集約されると思っている。

1つは、「なぜ人生は、これほど不条理で、苦しみに満ちたものなのか?」

2つめは、「全能の神が存在するとすれば、なぜ我々を救わないのか?」

 

普通に考えれば、これらの問題は

「考えるだけ無駄」であり、日々の生活をこのような答えの出ない疑問に対して捧げる日本人はそう多くないだろう。

徳川家康は「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」と言ったが、現代となって生活が豊かになった今ですら、人生は相も変わらず辛く、長いものであり、この事実を認識せずにはいられない。

 

思い通りに行かない仕事や、失業、あるいは身近な人の死や、重い病など、世の中は辛く、厳しいことに溢れており、いずれは誰もがそのようなことを経験することになる。

「人生は楽しいことばかり」ではないのだ。

 

「信仰」とは、そういったことに一種の救いを与えようとしてくれているものであり、依然として世界中の人々が人生の何処かで必ず必要とするものなのだろう。

 

信仰とは理解するものではない、という方もいるが、私は必ずしも相反するものではなく、遠藤周作の小説は「信仰というものの本当の理解」の一助となるものではないかと、密かに考えている。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第4回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第4回テーマ 地方創生×教育

2025年ティネクトでは地方創生に関する話題提供を目的として、トークイベントを定期的に開催しています。

地方創生に関心のある企業や個人を対象に、実際の成功事例を深掘りし、地方創生の可能性や具体的なプロセスを語る番組。リスナーが自身の事業や取り組みに活かせるヒントを提供します。

【日時】 2025年6月25日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【ゲスト】
森山正明(もりやま まさあき)
東京都府中市出身、中央大学文学部国史学科卒業。大学生の娘と息子をもつ二児の父。大学卒業後バックパッカーとして世界各地を巡り、その後、北京・香港・シンガポールにて20年間にわたり教育事業に携わる。シンガポールでは約3,000人規模の教育コミュニティを運営。
帰国後は東京、京都を経て、現在は北海道の小規模自治体に在住。2024年7月より同自治体の教育委員会で地域プロジェクトマネージャーを務め、2025年4月からは主幹兼指導主事として教育行政のマネジメントを担当。小規模自治体ならではの特性を活かし、日本の未来教育を見据えた挑戦を続けている。
教育活動家として日本各地の地域コミュニティとも幅広く連携。写真家、動画クリエイター、ライター、ドローンパイロット、ラジオパーソナリティなど多彩な顔を持つ。X(旧Twitter)のフォロワーは約24,000人、Google Mapsローカルガイドレベル10(投稿写真の総ビュー数は7億回以上)。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/6/16更新)

 

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