みなとみらいのシステム開発会社、オリエンタルインフォーメイションサービス、開発エンジニアの小松と申します。

今回は代表の大内に変わり、システム開発会社の「強み」について少し書いてみたいと思います。

「多重下請け構造」を脱却するためのマーケティング活動を行うにあたって大事な要素の1つが、「会社の特長」、すなわち強みです。

強みがあれば、初対面の方にも「我々はこんなことをやっています」と、わかりやすくアピールができることに加え、提案や採用活動においても様々なメリットが享受できます。

 

しかしそうはいっても、「うちに強みなどあるのだろうか……」という話はよく聞きます。

果たして、どうやって見つければよいのでしょう。

 

色々考え方はあると思いますが、知識労働者たる開発エンジニアは、「専門家」であるかどうかが常に問われます。

逆に言えば、システム開発会社の強みは「1つの製品や業務について、深く語れる技術者が存在するかどうか」に掛かっているのではないでしょうか。そこで、弊社ではいくつかの分野別に専門家を育成しています。

 

 

例えば、担当しているお客様の案件の1つに「テレビの高画質処理をするシステムLSIの開発」という分野があります。

イメージとしては、こんな感じのデバイスです。

(出典:System on a chip

私が担当しているのは、このチップ上で動作させるプログラムの開発です。このチップの機能を簡単に言えば、テレビ放送の高画質化をするプログラムなのですが、「高画質化」のイメージが湧かない方のために、少し補足をしましょう。

 

皆様の家庭にある大型テレビの解像度は、大半は1920✕1080というHDと言われる解像度です。

ところが、実はテレビ局は、1920✕1080の解像度で放送をしていません。実は、HDで放送をしているのはBSデジタル放送のみで、地デジは1440✕1080の解像度で放送しています。

日本の地上波デジタル放送

1980×1080i以上の解像度の映像を1440×1080iで放送する時は画像をダウンコンバートして1440×1080i、4:3の画面アスペクト比の映像データにし、画面アスペクト比の信号を16:9に指定して受信機側で16:9の画面比率にアップコンバートして再生しているため1920×1080iの場合横の画素1/4の480画素数分程度の不可逆圧縮になる。(Wikipedia)

これはデータ量を小さくするため圧縮しているから起きるのですが、そのかわり画質は犠牲になります。画質どころか縦横比率(アスペクト比)まで、違うのです。

 

ですから、下のようにフルHDじゃないのか、なーんだ、という指摘をする人もいます。

画像出典:麻倉怜士先生が暴露、フルHDじゃない放送局はここだ(ASCII.jp)

とはいえ、テレビそのものはフルHDに対応しているのですから、1440✕1080の放送を、1920✕1080に戻さねばなりません。これを行うことを「アップコンバート」と言いますが、この機能を持つLSIの開発が私の仕事です。

また、他にもその他にもノイズを減らしたり、信号の形式を変換したりするなど、様々な高画質化の処理をLSIは行っています。

 

余談ですが「画質の良いテレビ」を買いたいとき、何で比較するのが一番良いかと聞かれることがあります。

実は「映画のエンドロール」を見比べるのが最も画質がわかりやすいです。

我々が画質をチェックする時は、黒いバックに白い文字を動かしてチェックするのですが、この表現が一番テレビにとって難しいのです。

 

話がそれました。ともあれ、こうしたプログラムをつくるには、様々な工夫が必要です。

 

特にテレビのように「応答速度」が求められる機器は消費者の反応もシビアです。

「チャンネルの切り替え」一つをとっても、

チャンネルの切り替え⇒アップコンバート⇒ディスプレイに表示

という処理を、極めて高速で処理できなければ「何だこのテレビ、反応遅いな」と、嫌がられてしまいます。

 

ですから我々は「とにかく軽く動作するプログラム」を作らななければなりません。

 

そのために、LSIのプログラムは通常のシステム開発と異なる「作法」が要求されます。

例えば、呼び出し、関数化、ライブラリ化などは極力抑えなければならなかったり、コードを機械語に直したときに最速になるようにプログラミングしたり。

カッコよくコードを書くことよりも、実際の処理スピードをあげることが重視されるのです。

 

さらに、ハードウェアの制約もあります。テレビにはスマートフォンやパソコンのように効果で高速なチップやメモリは積めません。

製造コストを抑えるために、メモリも、CPUも最低限のスペックのもので動作させる必要があり、シビアな処理リソースの管理がプログラムには求められます。

 

以上のような細かく、専門的な要求に答えることのできる開発者は、残念ながら日本でも数えるほどしかいません。

こういったノウハウは、「アプリ」や「webシステム」の開発とは思想が異なるからです。

 

ですが、逆に言えばこのような技術力を要し、広く使われる製品分野を積極的に開拓していくことが、会社の「強み」を創り上げていく上では重要なのではないかと思います。

 

 

 

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