こんな記事を読みました。

 

効き目ゼロ「難消化性デキストリン」が呼び起こした「怨嗟」と「矛盾」

週刊新潮の記事を読んで、えーっ!と衝撃を受けました。騙された、と。だって、あれを読めば確かに効果ゼロなんだって分かるじゃないですか。愕然としましたし、怒りもこみ上げてきた。すぐにサントリーに電話しましたが、消費者庁から許可をもらっているので問題ありません、という対応で、余計に腹が立ちました

早い話、トクホコーラなんかで謳っていた「難消化性デキストリンの脂肪吸収抑制効果」の根拠になっていた論文について、これは妥当な結果とは言えないのではないか、脂肪吸収抑制効果は認められないのではないかという指摘があった、という話です。

 

元ネタになっているのは週刊新潮本誌、330日号に掲載されている記事ですね。

たまたま会社にあったんで、一応こちらも確認してみましたが、概ね冒頭の記事で概要は抑えられる内容になっていると思います。 

 

ちなみに、この記事で批判の対象になっている元論文である、「Suppressive effect of resistant maltodextrin on postprandial blood triacylglycerol elevation.」は、こちらで概要を確認することができます。英語ですけど。

 

 

難消化性デキストリンは、今回疑義が示されている脂肪の吸収抑制効果の他にも、食後の血糖値上昇抑制効果も謳われているようで、こちらについては日本語の論文を見つけることが出来ました。

今のところ、こちらの効果については疑義が示されていないように見えます。ざっと読みましたが、違和感を覚えるような部分は特段ありませんでした。

 

その為、難消化性デキストリン自体に「効き目ゼロ」などというレッテルを張るのはちょっと時期尚早というか、端的に言うと煽り過ぎであるようにも感じられます。

とはいえ、脂肪吸収抑制効果に疑義が示されたというのはそれはそれで重要な話ですし、トクホという制度自体についての信頼性にもケチがつきかねない、大きな話であることは事実です。

そこについて異議はありません。

 

ただ、例えば冒頭記事で書いてあるような、

 彼らは言わば、トクホを崇め奉る「トクホ教」の信者だった。しかし本誌記事によって「洗脳」が解け、ある者は怒りに打ち震え、別の者はショックのあまり呆然としているわけだ。

 というような人であるとか。

twitterで軽く検索してみると、やはり同じように「マジかよ飲んでたのに」的にショックを受けている人が結構見受けられるわけなんですが、そういう人はちょっと気を付けた方がいいんじゃないかなーと思うんです。

 

何故なら、

「週刊誌記事一つで今までの認識を即ひっくり返す」ということ自体が、いわば「安易な気づき」であって、それまでの「トクホ信仰」とベクトルが変わらないから

です。 

大事なのは

「複数ソースをあたって情報の信頼性を確認して最終的な評価を下すこと」

「ちょこちょこ情報をアップデートして見直すこと」

であって、

「反論記事一つで180度信仰の方向性を変えてしまうこと」

ではありません。

 

今回の難消化性デキストリンへの疑義自体が妥当なものであるかどうか、というのは、実は話の本質じゃないんです。

大事なのは、妥当性を自分で調べて、自分で考える習慣があるかどうか、ということだと思うんです。

 

 

以前、こんな記事を書きました。

安易な「気付き」には身構えた方がいいよなあ、という話

「そうだったのか!」「今まで俺が信じていたことは間違いだったのか!」という感覚は、それが自分の根幹を揺るがすようなものでない限り、実はとっても気持ちいい。

固定観念に触れない程度の気付き、というものは快感だ。覚醒欲求、とでもいうのか。それとも真実欲求、とでもいうのか。どんなジャンルでもそうだが、大体の人は「勘違いしていた自分からの脱却」「正しい知識を得たことによるレベルアップ」という感覚にわりと弱い。

「今まで俺が信じていたことは間違いだったのか!」という驚きって、一種の快感なんですよね。

そういう情報を好む人ってすごく多いですし、そういう情報を受けていきなり180度転換してしまう人ってのも結構いる。だから、「実は間違っていた○○」みたいな情報は凄くウケる。

 

勿論、それが他愛もない話であれば、「実は間違っていた〇〇」という情報を即受け入れてしまってもそれ程問題は発生しません。

ヨタ話をちょっと信じたからって人生に何かマイナスが発生するわけじゃない。なんでもかんでも疑ってかかる必要はないと思います。

 

 ただ、これが例えば医療の話だとか、健康面の話だとか、あるいは政治の話だとか、誰かの個人情報に関わる話だとか、それなりに重要な分野の話である場合には、ちょっと一歩立ち止まって考えた方がいいと思うんですよね。

 

 その情報は、本当に妥当なのか。

 自分は、その情報を即受け入れてしまっていいのか。

その情報に基づいて価値観を、認識を変えてしまっていいのか。

その情報を拡散してしまっていいのか。

 

 「今まで俺が信じていたことは間違いだったのか!」という話がウケるだけに、そういう情報を流して注目を得たい人、というのはごまんといます。それは、大きなメディアだろうが、小規模なネットメディアだろうが、個人ブロガーだろうが、SNS1ユーザーであろうが変わりません。

だから、Webには、あるいは世の中には、「気づき」を誘う情報が溢れています。

 

そして、そういう情報の中には「おいおい」と思わず声をかけたくなるようなものも相当数含まれているんです。

先日のwelqやらのまとめサイト問題とか、まさにそれが表面化した問題でしたよね。2chまとめサイトなんてもっとひどいもんですけど。

 

媒体が何であろうと関係ありません。

今回冒頭のような記事に触れて、ただそこに記載されている情報を読んだだけで、「そうだったのか!!」「難消化性デキストリンってなんの効果もなかったのかよ!!」とか即思ってしまう人には、第二・第三のwelqにだまされる素質が十分にあると私は考えます。

 

繰り返しますと、大事なことは

「複数ソースをあたって情報の信頼性を確認して最終的な評価を下すこと」

「ちょこちょこ情報をアップデートして見直すこと」

だと思います。少なくとも、自分の健康や思想の根幹にかかわるような重要な問題については、これは習慣であるべきなのではないかと。

 

私たちは、一面「気づき」に飢えています。そして、安易な「気づき」に対してガードを下げてしまいがちです。

ただ、だからこそ、簡単に摂取できる「気づき」には気を付けないといけない。webでさらっと読める一記事で、即「気づき」を得るなんてことには慎重でなくてはいけない。

それは勿論、この記事も含めてです。

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

【プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

 

(Photo:Nori Norisa)