こんにちは。株式会社Relic、代表の北嶋です。暑い日が続きますね。夏なので当然なのですが。

 

ところで夏といえばオリンピックです。

そして東京でオリンピックが開催される2020年は、様々な出来事の節目になっています。

「2020年まで景気は続く」とか

「2020年に建て替えをする」とか

各所でプロジェクトが動いています。

 

そして、学校における教育も一つの節目を迎えます。

3月に公示された、新しい学習指導要領にて、小学校で「プログラミング」の授業が必修化されると発表されました。

小学校でのプログラミング必修化、どの教科でどう教えるかは学校・教員の裁量、細部はこれから議論

現行の学習指導要領は2008年に公示され、2011年ごろから実際の運用がスタートした。そして今回、2017年3月公示の新しい学習指導要領において、プログラミング必修化が盛り込まれた。必修化の実際の導入は2020年となる予定だ。

(Impress INTERNET watch)

弊社もweb技術を中核とした事業を行っていますので、個人的には、コンピュータをうまく利用できる人が増えることは歓迎ですが、2020年頃に小学生となる子供を持つ親であれば

「正直、プログラミング教育が始まるとどうなるの?」

という疑問を持つのは普通ではないでしょうか。

 

そこで今回は、「プログラミング教育」に造詣の深い、NTTドコモ、イノベーション統括部の額田一利さんに話をお聞きしました。

額田さんはNTTドコモの新規事業創出制度、39worksにおいて、小中学生用のプログラミング教育用ロボット「embot」の開発にあたっています。

(参考:embotオフィシャルサイト

 

小中学校での「プログラミング必修化」には意義があるのでしょうか?

額田:

あると思います。

子供の頃に理科や数学が嫌いになってしまうと、大学での科学や工学の習熟度が下がる傾向がありますから、子供の頃から情報工学やロボット工学のような応用を体験させて、好奇心を持たせることが重要になります。

 

先日、自然科学の論文数がついに世界4位まで転落してしまったというニュースがありました。

自然科学論文数 日本4位に転落 中、独に抜かれる

2013~15年の3年間に日本の大学などが出版した自然科学系の論文数が、世界4位に転落したことが文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査で分かった。

05年までは米国に次ぐ2位だったが、中国、ドイツに追い抜かれた。日本は自然科学分野でのノーベル賞受賞が相次ぐ一方で、大学での基礎研究態勢の立て直しが急務となっていることを裏付けた。

一方で、アメリカではプログラミングをSTEM教育の一貫として普及させています。

 

STEMとは、Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学) and Mathematics(数学)の各教育分野の総称ですが、現代国家の競争力を左右する重要な分野です。

また、プログラミングは理系の仕事ではもちろん重要なスキルとなりますが、それ以外の仕事でも情報化が進んでおり、例えば音楽家やスポーツ選手、農家であっても、コンピュータを利用することで成果の幅は大きく違ってくるでしょう。

 

プログラミングという難解なものを小学生が理解できるのでしょうか?

額田:

コンピュータが登場した時「誰もが使えるものではない」という意見がありました。しかし今はほとんどの人がさしたる苦労もなく、スマートフォンを扱うことができています。

適切な「ツール」や「カリキュラム」を提供することで、難解さはいくらでも克服ができるでしょう。

また、そうであるからこそ、我々はそこにビジネスチャンスを感じています。

 

逆に、小学校の先生はプログラミングを教えることができるのでしょうか?

額田:

小学校で音楽や美術の授業がありますが、先生は必ずしも音楽家や芸術家ではありません。

プログラマーでなくてはプログラミングを教えられない、と言うのは間違っています。

 

例えば、音楽の授業でオーケストラの作曲の方法を学ばないのと同じで、プログラミングで翻訳システム開発の方法を学ぶ訳ではありません。

小学校でプログラミングの授業を行う目的は、「プログラマーを育成する」ではなく、プログラミングという技術に触れることそのものではないかと思います。

 

世界で「プログラム」が使われているものは数多くありますが、プログラムそのものに触れる機会は意外に少ない。将来の選択肢を増やす、という意味では、機会を作ることは重要でしょう。

 

私はプライベートでジャズバンドをやっていますが、「音楽」という分野はかつて世の中の真理を探求する手法の一つでした。

「なぜ半音下がると悲しい音に聞こえるのか?」

「音階はどのように決めたら良いのか?」

など、どのような学問も、真理を探求するための道を用意してくれています。プログラミングでもそれは同じだと思います。

 

プログラミングを「楽しく学ぶ」にはどうすればよいのでしょう。

額田:

以下は、岐阜市教育委員会の皆様とembotを使ったロボットプログラミング教室を行った時の様子です。

私は条件分岐を使った2種類の動きをロボットにさせる簡単なプログラムを例示しただけだったのですが、彼は「赤上げて、白上げて〜」と話しかけるとロボットが動くように見えるプログラミングをしてしまいました。

この発表を見て、発表者だけでなく、他の生徒も、先生も「プログラミングとは面白いものだ」と随分と盛り上がりました。

 

つまり、プログラミングの必修化は、プログラミングの習得を目的とするのではなく、「エンターテインメントの手段」や「自分の思い描いた構想を実現する技術」と捉えられれば、随分とプログラミングのイメージは変わると思います。

 

小学校での「プログラミング必修化」の本質的な意味とは?

額田:

今の子供が大人になる頃には「プログラミング」がより身近に存在する世界になっていると考えています。

小学校でのプログラミング教育はプログラマーを育てるためのものではありませんが、子どもたちが「プログラマー」を将来の選択肢の一つとして意識できるような内容になるべきです。

英語教育にも感じますが、実践的なスキルを意識することが重要な分野だと思います。

 

 

39works :https://www.39works.net

株式会社Relicコーポレートサイト:http://relic.co.jp/

 

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