当メディアに寄稿をしていただいている熊代亨氏から、本を贈っていただいたので読んでみた。

タイトルは『認められたい』

面白い本だった。

内容で私が特に気になったのは、「手っ取り早い承認を求める人々」について書かれている部分である。

 

熊代氏は、本の中で

「ゲームやキャバクラなど、手っ取り早く承認欲求を満たせることばかりに時間を使っていると、身につくスキルがひどく偏ってしまって、将来を生きていくためのスキルがロクに身につかないまま、歳をとってしまう」

と述べる。

 

******

 

承認欲求と言えば、一昔前のある人物を思い出す。悪い人ではなかったが、1つだけ褒められないクセがあった。それは

「仕事を抱え込んでしまうこと」

だった。

若手で経験も浅かったその人物は、自分が引き受けられる以上の仕事を「褒められれたい」「失望されたくない」という理由で引き受けてしまい、結局後で問題が発覚する、ということもしばしばだった。

 

ええカッコしいのその人物に業を煮やした上司は、一喝した。

「その場しのぎで安易に仕事を引き受けるのはやめろ。できないときはできないと言え。」

「そういうわけでは……」

「言い訳はするな。実力に見合わないことをしても、認められるどころか信頼を失うだけだ。」

「私はわるくありません。頼まれたら引き受けてあげたいんです」

「ちがう、お前は嫌われたくないと思っているだけで、自分の実力を認める勇気もない。」

「しかし……」

「お前が「できる人間と思われたい」と願っていることは理解できる。だが自分の仕事を振り返って見てみろ。焦って自分を大きく見せようとするな。」

 

その人物は後にこう言っている。

「怒られて、いいカッコをしなければ、という思い込みはきえたかな。お前は実力不足、とはっきり言われたので、逆に仕事に集中できるようになったかも。」

 

******

 

「手っ取り早く承認を求める人」は、残念ながら企業内で大きな問題になることも多い。

特にそれをはっきり言ってくれる指導者がいない場合は、なおさらだ。

 

彼らは例えば、以下のような発言をする。

 

・上司が褒めてくれないので、やる気が出ない

・地味な仕事は皆が認めてくれないので、やりたくない

・見てくれている人がいないので、やめてしまおう

・何故あいつよりオレのところに先に話を通さないんだ

・オレのほうが学歴がいいのに、何であいつが先に出世するんだ

 

反対に、承認欲求を自己のコントロール下に置いている人は、次のように発言する。

・上司をうならせるような仕事をしよう。

・地味な仕事こそ、大事にすることが自分のためになる

・見てる人がいないときこそ、自分が自由にできるチャンスだ

・私は彼を信頼しているから、私に相談するかどうかは彼に委ねよう

・彼の実力が上だったということか。頑張ろう。

 

当然、下の考え方の方が実力がつく。実力がつけば、認めてくれる人は自然に増える。

人から羨ましがられたり、褒められたりすることに頓着しないことが、結果的に人の評価を受けるのだ。

 

また、彼らは積み上げてきた自信や「自分の中の評価尺度」があるので、他者の評価、賞賛を「参考意見」と捉える。

それゆえ、周りの人間は彼と適度な距離を保つことができ、彼は「付き合いやすい人間」と感じてもらえる。

 

逆に承認欲求の強すぎる人は、

「何でオレを褒めないんだ!」

「頑張ったのに、認めないのか!」

と常に不満を抱える。

もちろん、彼らをなだめるために大人の対応をする人もいるが、彼らの相手をするのは面倒なため、徐々に周りは彼らを相手にしなくなり、彼らはますます孤立する。

とうぜん、実力もつかない。

 

アドラー心理学では承認欲求について次のように述べる。*1

他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり、自由になれない

逆説的ではあるが、認められたい人ほど認められず、評価を気にしない人ほど認められる結果となる。

「承認欲求」を必要としない人ほど、逆に他者から承認され、それを求める人ほど孤立してしまう。

 

人間関係とは誠に皮肉なものだ。

 

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