少し前のカンブリア宮殿で取り上げられていたウエルシアホールディングス。

放送自体も面白かったのですが、特にあぁそうだよなーと思ったポイントが、ゲストであるウエルシアホールディングス会長である池野さんが話したいくつかの言葉でした。

 

例えば、「ライバルはセブンイレブン。打倒セブンイレブンで頑張っていきたい」という言葉。確かに、今のウエルシアって公共料金も払えるし、弁当も確かオリジン弁当売ってなかったっけ?

あるいは、「M&Aでいつも心がけているのは、買収先のやり方を如何に取り入れるか。大きい会社は無駄が多くなりがちで、小さい会社の方が効率的であるケースが多い。買収のたびに、自分達が初心にかえるキッカケにしている」といったような言葉。

 

こんだけ買収繰り返してて、こう言うこと言えるのって、日本電産の永守さんと雰囲気被るなぁとか。

そして、そもそも企業にとっての事業領域って何だろう?と考える良いきっかけになったのです。

 

ウエルシアホールディングスって?

そもそも、関東以外だと、ウエルシアホールディングスって何?という方もいらっしゃると思うので、最初に簡単に説明しておきます。

ウエルシアのルーツは、1965年に埼玉県・春日部市に誕生した「鈴木薬局」という小さな個人薬局。

創業者・鈴木孝之は、自身が薬剤師だったことから、当時としては珍しい「調剤併設の薬局」を運営し、急成長。その後「グリーンクロス」というドラッグストアチェーンを作り上げた。

それと同時期に埼玉県内でドラッグストアを展開し「グリーンクロス」のライバルだったのが、現会長・池野の「トップ」。

2002年、2社は合併し、店名を「ウエルシア」に統一した。

後にやってくる医薬分業時代を見越して「調剤併設店」を拡大。薬剤師の人数を増やし、調剤併設ドラッグストアとして、業界で圧倒的ナンバー1の地位を築いた。

テレビ東京カンブリア宮殿HP(http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2018/0531/)

元々は埼玉の似た地域で、安売り競争をしていた2社が合併したところから。

それが2016年には、22年ぶりにドラッグストア業界における売上高首位の座をマツモトキヨシから奪取するまでに成長。今では、セブンイレブンを最大のライバルとしているドラックストアとなっています。

 

余談ですが、なぜここでテレビ東京HPから参照しているのかと言いますと、ホールディングスカンパニーあるあるなのですが、ウエルシアHDのHPにある沿革には、事業会社時代だった「鈴木薬局」や、現会長でありゲストである池野さんが立ち上げた「トップ」については書かれていないからです。

もちろん、ウエルシア薬局株式会社のHPには書かれていますが、テレビ東京の方が分かりやすいと思います。

 

コンビニだから、ドラッグストアだからというのは、客には関係ない

ウエルシアは、結構な激安で商品やサービスを提供しています。何故それができるのか?と言うと、調剤薬局の収益性がそれなりに高いから。

つまり、調剤薬局が稼いで、その他コンビニ類似サービスのコストを負担しているいるのです。

 

でも、最初の頃は調剤薬局にくる人に喜んでもらえるように、お客さんにもっと来てもらいたくて、食品や
惣菜等を置き始めたらしいです。

元から全て考えた上での戦略と言えるかもしれないですが、当初は目の前のお客さんを喜ばせるためのいちアイデアだったのでしょう。

 

彼らは、出自が田舎の薬局だったからかもしれませんが、あまりドラッグストアかくあるべしというのが無いように見えます。

つまり、最初はあくまでもドラッグストアとして薬を売っていましたが、目の前にいるお客さんのことを考えるうちに、今の自分達に何ができるのか?を考え、自ら事業領域を変えてきたのです。

 

例えば、取り組んできた事業の代表例は以下の通り。

・調剤薬局(24時間やっている店舗が多く、夜中でも薬を受け取れる)

・地元農家の野菜販売

・出来立ての弁当販売

・公共料金の支払い

・宅配弁当

・高齢者見守りサービス

・セルフ血液検査

・健康食品開発

・イートインカフェ運営

・トイレは人口肛門などの患者でも使いやすいものに変更

・ビジネスコンテスト主催

ほんとすごい。(もちろん、店舗による差はあります)

調剤薬局だから、これはダメ、うちは関係ない、とか言っていたら到底できない。

後から見れば、コンビニっぽいじゃん?と思うかもですが、じゃそもそもコンビニの定義って何?と。

 

様々な呪縛にとらわれやすい日本人

江戸時代の士農工商ではないですが、日本人は意外と自分で決めたものではなく、他人に決められた枠や従来からあるとされる社会的な制度に素直に応じることが多い民族のように見えます。

だからと言ってしまうと雑ではあるが、上記でさらっと書いた事業領域の変更自体、普通の会社には、実は結構難しいことです。

 

ウエルシアの場合、実質的な創業者が経営陣であることから、サラリーマン社長の会社と比べると方向感は示しやすかったのだとは思います。

また、商社などはそのあたりを実にうまくやっていて、ジョイントベンチャーのような形でとにかく別会社として立ち上げます。

そして、本社から別会社である子会社へ人材を出向させ、経営経験を積ませるメリットを得ながら、さらに事業主体として規模がそれほどでなくても新たな領域でのビジネスを始めることができる。

これは方法論として非常に優れていると思います。

また分かりやすい例でいえば、ソフトバンクのように、コンピュータ雑誌から携帯会社、投資会社へと変貌していけるのはお手本と言うべきでしょう。

他にも、DMMはデジタル時代の商社と言えるかもしれないし、結果にコミットをベースに積極的なM&Aにより業態拡大させているRIZAPも面白い。

結局、伸びている会社というのはすべからく時代に合わせて事業内容のポートフォリオを変更させてきているのでしょう。

 

私の専門である株式投資の観点でいうと、東証の「33業種」通りに、正確に事業が規定されている企業はマクロで見られる部分が多いのでセクターでの判断はしやすいのですが、面白みに欠ける気がします。

うちは◯◯業界だから、厳しいですー、憂いています、みたいなことを言っているところは、正直オワ企業です。

本質的に、成長企業というのは時代に合わせて自らを否定し続けられる力を持っているところ。よって、東証の業種分類とずれているところこそ、成長株が多いような印象も受けます。

 

そういえば昔、オーナー企業に投資するという投資信託(中の銘柄については詳細は知らないですが……)を見たことがありますが、もしかしたら、業種分類とのズレが出ている銘柄も多いのではないだろうかと思いました。

結局、全ての企業は多少なりとも変化に対応していく必要があります。

特に、サラリーマン社長の会社では、なおさらこの企業の「新陳代謝=自己否定」を仕組み化しておかなければいけないでしょう。

 

「個人」も会社と同じく、変化対応しなければならない

ところで、もちろんこれは「個人」も一緒です。

個人も時代に合わせて変化しなければならない。

 

そのために重要なのは、「盲目的に信じてしまっている、今の仕事のルールや制約を疑うこと」です。

例えば、外から業界や会社を見てみる。つまり辞めてしまって全く別の業界に行く。で、そこからコンサル的に元の会社に出入りしてみる。

あるいは全く別の業界に出向する、戻り前提で大学などへ通う。

さらに、副業とか複業という手段も有効ではないかと思う訳です。

 

また、企業側から見れば、こういう人たちを引っ張り込むことは重要です。

ある企業にとって新しい事業というのは、他の企業での普通のアイデアであるケースも多く、自社社員だけでやる必要はないのでしょうか。

この辺りが分かっていない経営陣は非常に多い気がしている今日この頃です。というか、サラリーマン社長の多くが経営者ではないという方が正しいのかもしれませんが…。

 

まずは、自分自身を外側から見てみる。そして、お客さんのために何が出来るのか?を念頭に自らのビジネスを再構成すること。

そうすれば、何であんなしょうもないことにこだわっていたんだろう、ということがすぐに見えるはずです。

 

【著者プロフィール】

著者:ひろすぎ

30代、都内勤務の兼業投資家。

どうやったら普通の人がお金に困らない暮らしをできるかを模索し、自ら実験する日々。株、不動産をはじめ、いくつかの事業を展開。趣味はお散歩とお酒、旅行です。

(Photo:eijunkie