ちょっと前まで許されていたのに、時代の流れとともに許されなくなった……。
そういうものはたくさんある。
たとえば体罰とか、容姿を採用基準にするとか、女性をお茶汲み要員として扱うとか。
そのなかでも際立って変わったのは、『根性論』に対する価値観だと思う。
根性論ってそもそもなんだったんだろう? なんで時代遅れになったんだろう?なんてことを、平成生まれのわたしなりに考えてみた。
根性論は強者の理論であり、現在は弱者目線が正義
ゆとり世代のわたしはいうほど『根性論』を押し付けられたことはないけれど、それでも「心を強く持てば乗り切れる」的な主張はそれなりにあった。
文化祭の準備が明らかに遅れていて作業プロセスの見直しが必要なのに、「遅くまで残ってやればできる」。
運動会でリレーに出たい人がおらず足が遅い気弱な子に押し付けておいて、「がんばれば速く走れる」。
販売ノルマの達成がむずかしいなとき、マネージャーが言うのは「一生懸命やれ」。
そう言われると、「気合ってなに? 具体的にどう努力するの? 不眠不休にだって限界はあるよ?」とちょっと冷めた目で見てしまう。
指示には根拠と具体性を添えてほしい。
2019年現在、こういった根性論は、古臭いし暑苦しいし具体性を欠くし場合によっては人を死に追いやるので、「よくないこと」だという認識が広がっている。
一昔前のスポ根漫画なんかを読むと、そのギャップをより強く感じる。
でも、具体的になにが変わったから根性論は「ダメ」になったんだろう?
根性論は弱者に「もっとがんばれ」と鞭打つ行為だから嫌われる
わたしなりの答えは「根性論は強者の理論であり、現在は弱者目線が正しいとされているから根性論は許されない」だ。
根性論はすべてが「やればできる」に帰結するので、できなければ必然的に「できなかったほうが悪い」となる。
できない理由は「心が弱い」「根性が足りない」「やる気がない」から。
がんばればできるのになぜできないんだ。
根性が足りないからだ。やる気を出せば、もっと努力すればできるはずなのに。
もっとガムシャラになれ。そうすればできる。……これは、「やればできる」を前提とした、強者の目線だ。
でも現在、「強い者目線」というのはあまり快く受け入れられない。
みんなちがいます。多様性です。それぞれの能力や環境のちがいを認めましょう。不平等なチャンスは是正しましょう。努力ではどうにもならないこともありますよね。ええ、わかります。大丈夫、あなたは悪くないですよ。そんな状況じゃできないのもしかたありません。
こういう言葉が「善」。「貧困家庭だろうが持病があろうが関係ない! やれ!」というのは「悪」。
弱い人の立場に理解を示し、共感し、弱者目線でいることが、社会的正義なのだ。
根性論は弱者に「なんでもっとがんばらないんだ」と鞭打つ行為だから、現代の価値観とそぐわない。
だから、「時代遅れ」だと言われるのだと思う。
「根性」は無敵の必殺技ではなく自分をも傷つける諸刃の剣
でも根性論を本気で信じている人は、平成が終わろうとしているこのご時世にも一定数いる。
ジェネレーションギャップといえばそうかもしれないけれど、そういう人たちはきっと、心という絶対的な存在が身体を支配していて、ときに身体の限界を超えられると信じているのだ。
ジャンプ漫画で、強敵にボコボコにされてボロ雑巾のように転がっているのに仲間のピンチを救うためにもう一度立ち上がる……みたいな、そんなことが現実世界で可能だと本当に思っている。
『根性』は最終奥義、それを繰り出せば勝てる、みたいな。その奥義習得には限界突破が必須だから、無理することを前提に話を進めていく。
もしかしたら、高度経済成長期やバブルのとき、朝から晩まで血を吐くほど働いて、それでも心の強さで実際に乗り切ったという経験もあるのかもしれない。
現代なら訴訟ものだし、育児を手伝ってくれる実家や専業主婦が家事をやってくれるわけではないので、「時代がちがう」といえばそうなのだが。
実際、『心』には謎が多いから、心の強さによって身体をコントロールすることは可能なのかもしれない。
そこらへんはまだ科学的によくわかっていない分野だ。
でもうつ病という言葉が浸透し、ストレスによる病気の認知がどんどん進んだ現代、『心』が絶対的な存在ではないと、みんな気づき始めている。心だって壊れてしまうのだ。
「根性」は万能で無敵な必殺技ではなく、一時的にパワーアップしてもその後痛いしっぺ返しがくる諸刃の剣。
だから、その諸刃の剣を最終奥義のように思っている根性論者を見ると、わたしは「え、その武器そんなに強くないっすよ。自分も斬れちゃうけど大丈夫ですか」と違和感をもつ。
ただし、『心』が生み出す可能性は信じていたい
他人を追い詰める根性論は大嫌いだし、無理はしないほうがいいとは思う。
ただ、『心』は未知数だからこそ、ものすごく強くなる可能性を秘めているのも事実だ。
人生でまともにスポーツをしたことがなく、中学校高校と部活を辞め、大学でもサークルを辞め、ドイツでも就活を断念し大学も辞めているわたしとしては、「もうちょっとがんばったらなにか身になったんじゃないか?」と考えたりもする。
「イヤな思いをしてまで続ける必要はない」
「ここでがんばってなにになるっていうんだ」
「この苦痛な時間をもっと有意義に使えるんじゃないか」
そう思って放り投げちゃったけれど、きっちりしがみついていれば、またちがった結果になってたかもしれない。
だから、根性論を否定することで『心』がもつ可能性をも否定するのは、ちょっともったいないとも思う。
他人に「根性」を押し付けたり、「精神論ではどうにもならない」とすぐに諦めたり。それはそれでちがうだろう。
「つらくてもあと一歩がんばろう」と自ら前を向いて顔をあげる力を「根性」というのなら、それは悪いことばかりではない。
ただ、「根性」と「無茶」の線引きというか、レッドゾーンがどこかがよくわからないから、「根性論」はむずかしいのだ。
だから「使わない方が無難」という答えになる。
根性論はもう時代遅れ。具体性を欠く精神論でだれかを追い詰めるのは悪。物理的な限界は存在する。それは大前提。
でも、「根性論」のまちがった使い方で他人や自分を追い詰めないようにしよう、と思いつつ、『心』が生み出す無限の可能性を信じたいなぁとも思うのだ。
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【著者プロフィール】
名前:雨宮紫苑
91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&
ハロプロとアニメが好きだけど、
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(Photo:Ullas Karanth)