最近、「電話してくる人」への風当たりが驚くほど強くなってきている。
電話は迷惑というひとたち
ちょっと調べるだけでも堀江貴文氏を筆頭に、「電話嫌い」の方々がワラワラ出てくる。
電話なんかいらねーだろ
「電話は苦手」なSNS世代 企業がイチから指導 (日本経済新聞) – https://t.co/J6xc5Ahqj1— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) February 3, 2019
「自分の時間」を奪う最たるもの。それは「電話」だ。 僕は「電話に出ないキャラ」を確立している。
電話で話す必然性のない用事なのに、やたらと気軽に人の電話を鳴らす者がいるが、僕は絶対に応答しない。相手がどんなに偉い人であろうが、僕は「電話に出ないキャラ」になると決めている。
電話は多動力をジャマする最悪のツールであり、百害あって一利ない。仕事をしているときに電話を鳴らされると、そのせいで仕事は強制的に中断され、リズムが崩れてしまう。
極論だろうか?
だが、極論にしては賛同者が多すぎるし、堀江氏がただ感情的に否定しているわけでもなさそうだ。
そして「電話は受けない」という人は、電話が苦手だと言われる若手だけではなく、年代も様々である。
成毛眞氏
電話をかけてくる人は、仕事がデキない!…成毛眞氏が断言する「納得の根拠」
ホリエモンの言い分には、私も完全に賛同する。電話する必要がないような用事で電話をかけてこられて、自分の時間が奪われるのが、とにかく腹立たしい。
澤円氏
電話は耳と口をふさぐ、前時代的なコミュニケーションスタイルなので、本当に必要な場面に利用を特定した方が、生産性向上には貢献してくれるでしょう。
田端信太郎氏
電話がなぜ失礼になりえるか?電話とは個人間における時間の為替レートが等価だということを前提にしたコミュニケーション手段だからだ。年収400万の人と年収3000万円の人の1秒は、等価ではない!メールやLINEなら、相手が1時間かけた投稿に3秒で答えても、内容が適切ならばそれでOK。
— 田端信太郎@田端大学 塾長 (@tabbata) November 5, 2016
イーロン・マスク
スケジュール通りに仕事を進めるため、電話にはほとんど出ない。
メールアカウントにスパムメールが届かないよう、彼は予測不可能なメールアドレスを使用する。
これらは決して「主観に基づく、勝手な主張」ではない。
データから見ても、世の中が「電話不要」(あるいは縮小)の方向性にあるのは間違いないようだ。
例えば、総務省の「平成 28 年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、平日の固定電話、携帯電話共に、行為者率が減っている。
固定電話 6.8% → 2.6%
携帯電話 25.8% → 15.5%
ネット通話が若干増えているが、微々たるもので、逆に増えているのはソーシャルメディアだ。
13.2%〜30.5%にまで跳ね上がっており、かつての電話と完全に逆転している。
「音声通信」そのものが使われなくなってきている
事実、総務省の通信量からみた我が国の音声通信利用状況(年度)という統計を見ると、ここ16年で「総通信回数」が4割も減少している。
・モバイル・IP電話は増、固定電話は減。音声通話の総量は毎年右肩下がり。
・音声通話回数を示す「総通信回数」は、2001年に1384.0億回→2017年に821.8億回と、4割減
このように、電話の代替手段が発達し、増えてきた結果
「電話いらなくね?」と考える人が多くなったのは、全く不思議ではない。
また
「固定電話から携帯電話へのシフト」と「知識労働の増加」
も、電話が迷惑と考える人の増加と無関係ではないだろう。
これは、ピーター・ドラッカーの指摘のとおりだ。
仕事の多くは、たとえごくわずかの成果をあげるためであっても、まとまった時間を必要とする。
こま切れでは、まったく意味がない。何もできず、やり直さなければならなくなる。
報告書の作成に六時間から八時間を要するとする。しかし一日に二回、一五分ずつを三週間充てても無駄である。得られるものは、いたずら書きにすぎない。
ドアにカギをかけ、電話線を抜き、まとめて数時間取り組んで初めて、下書きの手前のもの、つまりゼロ号案が得られる。
携帯電話は「電話が直接」本人にかかってくるため、電話を受けるためにはどうしても「中断」が要求される。
知識労働の「中断」は、即、生産性の低下につながるため、これを深刻に捉える人が多くなったのだろう。
*
個人的には、正直、私も電話は嫌いだ。
かけるのも、受けるのも、できれば避けたい。
なぜなら、前にも書いたが、「仕事を中断してまで受ける価値のある電話は少ない」からだ。
これは「電話を受ける」コストが、「電話好きに配慮する」ことのメリットを上回っていることを示す。
例えば、私はスマートフォンに会社の電話番号のIP電話をインストールしているが、
かかってくる電話の殆どは迷惑電話だ。
迷惑電話は全て登録をし、着信拒否にしているうちに、自然にこうなった。
逆に、商談も、殆どがSNS、チャット、あるいは問い合わせフォームから来るので
結果的に、私もまず「電話には出ない。」
電話に出るのは、相手がわかっているときだけだ。
また、秘匿性が低いのもいただけない。
昔は「電車内で通話は迷惑」などと騒がれたものだが、今はむしろ「そんな会話を公衆の面前でして大丈夫?」という人がいる。
電話の会話、聞かれてますよ、と。
「パソコンの画面、見えてますよ」より、「電話の会話、聞こえてますよ」のほうが
むしろ良くないのではないだろうか。
しかし今なお「電話好き」は存在する
しかし。
電話嫌いがいくら増えたと言っても、依然として世の中には「電話好き」もまた存在する。
単純に、電話は「かける側にとって都合の良いツール」だからだ。
また、受ける側も「楽でいい」という人も、場合によってはいる。
それは、次のようなメリットによる。
・相手に「今すぐ」依頼ができる
・(大変な)文章を作らずにすむ
大きくはその2点から「電話のほうが早い」という理由で「電話好き」は電話を使う。
また、少数派ながら「メールやチャットより電話のほうが丁寧」という方もいる。
さらにその昔は「電話は失礼!手紙を書け」と言われたはずなのだが……。
とはいえ、そんな事を言っていても、「電話好き」と付き合わなくてはならないこともある。
では、「電話好き」を、我々のような「電話嫌い」は、どのように扱えばよいのだろうか。
一つには、堀江貴文氏を始め、冒頭に掲げた人々のように、バッサリと「相手しない」で切り捨ててしまうのも一つの手だ。
まあ、私も基本的には、その方向に世の中が進むだろう、と思っている。
最近は企業も人手不足で、「皆がやりたがらない仕事」にコストを掛けないからだ。
だが現在は過渡期であり、残念ながら「電話好き」を無視できるシーンばかりではない。
例えば大口顧客の担当者が、「電話好き」の場合。
そんなとき「電話は嫌いなんで、受けてません」というのは、結構な勇気が必要だろう。
あるいはクレーム対応。
相手は「すぐに対応してほしい」と思っているだろうから、実際の対応の時間に差がなかったとしても、電話を好む人が多いだろう。
中には「感情を相手にぶつけたいから」という理由で、電話を選択するシーンも少なくない。
結局、立場が強い人は「電話拒否」を貫けるが、現在では機会損失のリスクを背負ってまで、「電話拒否」をやり切るのは立場が弱い、一介のビジネスパーソンには難しい。
だから、いきなり電話がすぐに無くなることはないだろう。
しかし、個人でできることもいくつかある。
普通のビジネスパーソンが、電話してくるやつとは仕事しない、を実現するには
かつていくつかの「電話中心」なクライアントを、メールやチャット中心に変えていただいた事がある。
といっても、別に強引なお願いをしたり、「電話は受けません」とか、突っぱねたわけではない。
やったことは簡単で、いくつかのことをしただけだ。
1.メールの署名から電話番号を消した
2.個人のSNSアカウントを、「こっちのほうがつかまりやすいです」と教えた
3.電話がかかってきたら、SNSで「すみません!いま打ち合わせ中です」即レスした
4.(セキュリティが許す限り)打ち合わせに使う資料はチャットでおくった
次第に、ほとんどのクライアントは、電話してくることがなくなった。
即レスも不要になっていった。
要は、「電話よりチャットが便利」と相手に認識してもらうことが重要なのだろう。
ほぼメール、もしくはチャットのみにすると、「言った、言わない」のトラブルも減るのでこれもありがたい。
最近は名刺にも電話番号を入れない人が増えたが、弊社もそれに習おうかと思っている。
できる限り社員が電話を取らずにすむ環境は、もはや必須なのだ。
*本記事は、月1万円から「煩わしい電話番業務をアウトソースできる」電話代行サービス【fondesk】のスポンサードによって制作されています。
導入事例 : インクルージョン・ジャパン株式会社 – 「電話を無くしたらオフィスで集中できるようになった」fondeskを知ったベンチャーキャピタルに起きた変化とは fondesk https://t.co/33gqAMuINM
そうそう電話嫌いなんですよ
集中できないのもあるけど仕事に当たり前のようにある電話応対がね…— まめち (@mi_suami) January 6, 2020
髪を染める前の@fwh_aihara さんにご協力頂いて、FREE WEB HOPEさんに、事例インタビューしました。
なんでfondeskを入れたら社内が活性化したのか。ぜひ記事読んでみてください。 https://t.co/3OAL6NAyDp
— 脇村 瞬太 / 新規事業@うるる (@shwkmr) December 19, 2019
【著者プロフィール】
◯Twitterアカウント▶安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者( tinect.jp)/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
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◯ブログが本になりました。