様々な場所をざわつかせている漫画がある。

吉本浩二氏が書く「こづかい万歳」だ。

<参考 こづかい万歳>

 

どうざわつかせているかは以下の記事に詳しいので、そのまま引用させていただく。

【漫画】こづかい月2万「定額制夫」のギリギリな日常がディストピアだった…(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)

漫画家・吉本浩二氏が自身のこづかい(月額2万1000円)の愉しみと苦労を語りながら、世のこづかい制の人々の「こづかい事情」を紹介するドキュメント漫画は、読み手によって「デフレ日本が生んだ絶望の象徴」に映ったり、「婚姻率を下げるホラー展開」として受け止められている。

著者の吉本氏が語る。

「悲惨な話だと思って描いてなかったので、SNS上での受け止められようには驚いています。悲鳴をあげられているのは、独身の方が多いようなので、『こづかい制』ということ自体に絶望しているという理由もあるのではないでしょうか。『こづかい制』になったら人生終わりというような。

たしかに僕も『こづかい制』になった時は人生のテンションは下がりましたけど、それはそれで仕方ないというか、『こづかい』にまつわる切ないムードも含めて楽しんでいける口なので、漫画でも、少ないこづかいながらもそれなりに楽しんでいる人を紹介しているつもりなんです。

自由に使えるお金が月2万円…。

下手したら、そのへんの大学生のほうがよっぽど贅沢していそうな額である。

 

この時点でも相当に衝撃的だが、吉本浩二氏の奥方にいたってはナントこつかい月7000円だそうだ。

その衝撃的な7000円の使い道はぜひ漫画を買って確かめてほしい。

 

「結婚して子供をもったらこんな生活になってしまうのなら、一生独身でいいや」

 

この情報だけをみて、そういう風に思ってしまう人が多いのはわかる。

わかるのだが、僕が思うにそれでも多くの人は結婚して子供を持つ生活の方が人生は圧倒的に光り輝く。

 

以下、どういう事か書いていこう。

 

社畜になったら人生が好転した

最近はめっきり聞かなくなったが、僕が学生の頃は社畜という単語がエラい流行っていた。

社会人と家畜という単語を合成させて作られたであろうこの言葉は、いったん大学を卒業し社会人になろうものなら、一生会社に飼われ続けて自由な人生など二度と帰ってこないという悲壮なニュアンスを醸し出していた。

 

「社会人になったら、安月給で一生会社にコキ使われる」

「そこに自由など無い。大学生が最後の人生の自由なんだ」

 

僕も大学を卒業し、最初の就職先で働き始める前夜、物凄く不安だったのを今でもよく覚えている。

自分が会社にすり潰されて、搾取されてポイされてしまう。

その恐怖心に身震いし、一睡もできなかった位である。

 

しかし働き始めてみると、心配したような事は一つもなかった。

確かに、見方によっては僕は搾取されていたのかもしれない。

たかだか月20万程度の安月給で、週6.5日(おまけにうち2日は24時間勤務である)も働いていたのだから。

 

けど、働いている最中に自分が不当に扱われているという感覚はほぼ皆無だった。

むしろ逆に何者でもなかった自分が、いつの間にか医者という存在へと変化しつつある事が嬉しくて真夜中にゾクゾクしてた位である。

 

その病院は世間一般では研修医を酷使するという風に、極悪非道の権化のような扱いをされていたけど、少なくとも働いていた同僚の誰一人としてその病院を悪くいう人はいなかった。

僕を含めて、みんながみんな物凄く楽しんでいたというのが実情である。

 

社畜になったら社畜になる前と比較して、人生がより大きく光り輝くようになった。

これは本当に衝撃的な体験であった。

 

組織はただの凡人を物凄い場所まで引っ張り上げ

働き始めてからしばらくした後、佐藤優さんが書かれた「組織の掟」を読み、そこで「組織は人を引き上げる」というフレーズをみて、膝を打った。

そうなのである。組織は人を引き上げるのだ。それも物凄い場所に。

 

よく「学生時代は勉強なんてしても無駄だから遊べ。働き始めれば仕事なんてできるようになる」というような事をいう人がいる。

勉強が本当に無駄かは置いといて、何を言わんとしているかはわからなくもない。

 

仕事というのは、会社で働かない限り絶対にできるようにはならない。

意識の高い学生が、社会人ごっこをいくらやった所で、会社で3ヶ月働いた若手の足元にも及ばない。

 

会社という機関に所属し、言われたことをキチンとやれさえすれば、何者でもなかった凡人がいつの間にか一端の社会人になる。

会社というのはそういう場所だ。

 

組織は人を引き上げる。

はたから見れば搾取されているかのようにみえるような状態であっても、実のところ人は多くのものを組織に所属する事で得る事ができる。

 

組織に属する事のメリットは、属さない事を大きく上回る

藤本 篤志さんが書かれた社畜のススメという本がある。

この本で藤本さんは若者に向けて”小賢しい考えを捨てて、まっさらな頭で仕事と向き合い、自分を過剰評価せず組織の一員としての自覚を持つ”事を勧めている。

 

そう、書名にもあるように「若者よ、あえて”社畜”になれ」というのである。

そうすれば「救われるぞ」と。

 

この本を読んでいた時は彼が何を言わんとしているかよくわからなかったのだけど、今になってみると

「素人が自己流でアレコレ頑張った所でたどり着ける場所なんてたかがしれているからやめたほうがいい」

「そうじゃなくて、キチンとした組織で愚直に言われたことをやり続けた方がよっぽどすごい場所にたどり着ける」

「なぜなら、組織は人を引き上げるものだから」

という事を言わんとしていたのだな、とようやく理解した。

 

もちろん、組織にも悪いところはある。

しかしそれでも、組織に属する事のメリットは、属さない事を大きく上回る。

なにもこれは会社のみならず、ほとんどの事でもそうだ。

一見無駄にみえる面倒事は、キャパがあるのなら全部引き受けたほうがいい。いや、マジで。

 

だいたいの事はやらないよりやったほうが絶対にいい。

本当の本当にそうなのだ。

人生に無駄とか無為のようなものはなく、小賢しさを働かせてニヒルになる方がよっぽど損をする。

 

小賢しさは人を毀損する

小賢しさは時に人を大きく毀損する。

あなたの人生の中でも、なんかしたり顔して「世の中」をニヒルに語っていた人がいただろう。

 

例えばこんな感じである。

「部活なんて必死にやって何の意味があるの?プロになるわけでもないのに無駄じゃん」

「どうせ世の中は既得権が全部牛耳ってる。一般人に巡ってくるパイなんてたかが知れているんだから、バカ正直に生きたって搾取されるだけだ」

 

このような感じで、人はちょっとばかし小賢しくなると

「それ、意味あるんですか?」

「無駄なんじゃないですか?」

というような事をいいがちだ。

 

だが、僕は声を大にしていいたい。

「つべこべいわずに黙って何かに本気でコミットしてみろ。マジで全然違う景色が見えるようになるから」

 

人間、バカになった方がいい時というのは本当にたくさんある。

好奇心は猫を殺すというが、小賢しさは人を毀損する。

本当の本当にそう思う。

 

あえて自由を捨て去り、自分の人生に不自由を入れると不思議な事にお金では絶対に買えない何かが手に入り、人生が大きく艶やかさを増すのだ。

 

結婚や子育てもそういう部分があるように思う。

例えば、冒頭に書いた吉本浩二氏だが、独身時代の話として「日本をゆっくり走ってみたよ」という本を上梓されている。

バイクでゆっくりと日本一周する話なのだが、こちらもとてもおもしろい。

 

この本を読んで「吉本浩二さんも独身をやり続けてれば、いまでもこういう自由を謳歌できただろうに」と思う人もいるかもしれない。

独身で得た自由ならびに日本を何度も一周する権利と、結婚で得た不自由ならびにこづかい2万円生活の関係はトレードオフの関係にある。

 

人の幸せというのは本当に人それぞれなので、一概にどれが正しいとは言い難いものがあるのだが、たぶんなんだけど、吉本浩二さんは独身生活を続けて「日本をゆっくり走り続ける」よりも「こづかい2万円生活」をやった方が長期的にみると幸せになるような気がする。

 

人間は、不自由の中に自由を見出すぐらいがちょうどいい。

僕はそれをニートの方が書いたブログを読んで学んだ。

 

不自由の自由

自由というのは本当に取り扱いが難しい。

僕が受験生時代の時の話だ。日々、受験勉強に疲弊して

「今はやりたくもない受験勉強ばかりしているけれど、本当はあれもやりたいし、これもやりたい。受験が終わったら、絶対にやろう」

そんな事をよく考えていた。

 

しかしいざ受験が本当に終わったら、あんなにも色々考えていたはずの「やりたかった事」は一つも頭の中に思い浮かばなかった。

このときばかりは本当にびっくりした。

そして何もしないまま、無為に時が過ぎ去り、大学生活が始まった。

 

あんなにも自由な時間があったはずなのに、僕は結局ゲーム一本ぐらいしかクリアできなかったように思う。

同じような体験をした事がある人も多いのではないだろうか?

 

自由は取り扱いが難しい。

広大な自由を目の前にすると、多くの人はあまりにもなんでも出来すぎるが故に、逆に何もできなくなる。

 

例えばだけど、ニートというのは本当の本当に自由だ。

それこそ、一日18時間ぐらいは自由である。

けど、ニートをやってる人に言わせれば、ニートの一日はたったの4時間しか体感的にはないのだという。

おい…いつの間に1月下旬になってるんだよ…引きこもりニートの時間過ぎるの早すぎ問題。 – 30代ニートのブログ | ひきこもりを脱出して自立するぞ!!

普通の人は睡眠時間除くと1日だいたい18時間なわけだ。でもニートは1日だいたい4時間ぐらいにしか感じれないんだよね。とくに引きこもってると。

 

つまり働いたり遊んだりしてる人に比べて、4~5倍ぐらいの速さで時間が過ぎ去っていくわけだ。

だから冒頭に書いたように、もう1月も終盤!?って感じなんだわ…

まだ1週間ぐらいしか経ってない気分。働いたり遊んでた頃に比べるとほんと短い。

このブログ主によるとニートは”働いたり遊んだりしてる人に比べて、4~5倍ぐらいの速さで時間が過ぎ去っていく”のだそうだ。

本来自由なはずのニートの方が、一日で使える時間が少なくなるというパラドックス。

ここに人生の本質があるように思う。

 

つまり、不自由な方が人生は自由なのだ。そしてその不自由の中にしか、本当の自由はないのである。

 

不自由は本当に凄い。

会社で働けば凡人は社会人になるし、部活に本気で打ち込めば、色褪せない青春の思い出がいつまでも残る。

結婚して、子供を作れば、それこそ下手したら孫の顔なんかがみれてニヘニヘしまうかもしれない。

 

そうした成果物を手にした上で、自由もたっぷりと楽しめてしまうのだから、不自由の自由というのは誠に人生の真理である。

 

働いた後で飲むビールは旨い。

なぜか?それは不自由の自由の味がするからだ。

それより甘美な液体は、この世にはほとんど存在しない。

 

こづかい2万円の中で色々と考えを巡らせて食べるお菓子もきっと美味しい。なぜならそれも、不自由の自由の味だからだ。

 

不自由の中にある自由を楽しみつつ、不自由に属する事で得られる副産物を愛でる。

それこそが人生で最も尊い、特別な何かなのだと僕は思う。

 

 

 

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【プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

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