高校~大学の頃、いわゆる自己啓発本にハマった事がある。

 

当時の僕は何者にもなれそうにない平凡な学生だった。

そんな事もあって、この手の本がキラキラ輝いてみえた。

 

「凄い。たった1000円で買える本の中に、成功者になる為のヒントが惜しげもなく散りばめられてる!」

「おまけに読みやすくて、本が読めない自分でも1時間で一冊読める。最高や!!!」

こんな感じで数百冊ぐらいの本を読んで、かつその素晴らしい教えを実践してみた。

 

結果、僕がどうなったか?人に嫌われた。

 

だが悪かったのは自己啓発本ではない。僕の行動だ。

自己啓発本をガチで読み込みまくって自己洗脳といえるほどにまで教えを忠実に守っていた僕は、いつしか自己啓発本に書かれていない他人の振る舞いが許せなくなっていた。

 

例えば人に好かれる上手い話の聞き方という本を読んで「おい、そこは相槌を打つタイミングだろ!」などと他人の話の聞き方にケチをつけたり

偉そうに「成功者はこう言っていた」と他人にのたうちまわり

「おまえ偉そうな事いろいろ言ってるけど、お前自身はなんも成功してないじゃん」

というド・正論を言われて逆ギレしたりなどなど……まあ散々だった。

 

冷静に振り返って考えてみれば、完全にカルト宗教に頭をやられて教義を無理やり他人に押し付けていたイタいやつだったのだが、当人は至って真面目に良い事だと思ってやっていたのだから余計にタチが悪い。

 

人は現実に絶望すると少年ジャンプと自己啓発本の成分が欲しくなる

いま思うと、当時の僕は若かったが故に著しく自尊心を欲していた。

若者は何もできない無能なくせに、承認欲求だけは人一倍強かったりする。

 

認められたい。けど現実的には圧倒的☆無能……。

 

そのギャップが僕の事を物凄く苦しめていた。

自己啓発本はその隙間を埋めるナニカとして、お手軽に自尊心を摂取できるエナジードリンク的に僕に機能していたのだ。

 

これは何も僕に限ったことではない。かつて東日本大震災があった時、仙台の友人とTwitterにてやりとりしていたのだが、彼が被災直後に本屋にいったら少年ジャンプと自己啓発本の棚だけがスッカラカンになっていたとつぶやいていて、ビックリした事がある。

「人は現実に”絶望”すると、少年ジャンプや自己啓発本に入っている”希望”が欲しくなるのか」

この現象は自分の経験もあって、なんだか妙に色々と納得してしまった。

 

若い頃の自分は、たぶん現実に絶望していて、その救いを自己啓発本の中に見出していた。

結局そこに救いはなく、本当の意味で救われる為には真面目に淡々と成すべき事をやるしかなかったのだけど。

 

使えなかったアンガーマネジメントの思い出

さて、これが僕の自己啓発本関連の黒歴史である。

 

話は変わるが、僕は大学生の頃、いわゆるビジネス本にハマった事がある。

「またかよオイ!懲りねぇな」と思われるだろうが、人間そんなものである。

 

当時、大学での人間関係に悩み苦しんでいた僕はビジネスの基本を先取り学習し、そこに希望を見出そうとした。

 

数百冊のビジネス本を読んで、出来るビジネスパーソンを気取ってた僕が実際に大学での人間関係が改善できたかというと、そんな事はまったく無かった。

というか本に書いてある事を実際にやってみても、現実では全然応用できなかった。

 

例えばアンガーマネジメント(怒りのコントロール法)の本に”嫌いな人を許す方法”というのが書いてあったのだが、僕はこれが全然無理だった。

当時、部活でもの凄く嫌いな人間がおり、そいつへのイライラをどうにかしようとその本を手にとった。

確かその本の中では

「嫌いな人を思い浮かべて、その人を心の中で散々な目にあわせてください」

「そしてその人があなたに泣いて許しを請うている姿を想像してください」

「すると、なんだか許せそうな気がしてきませんか?」

と書かれており「ホンマか?」と思いつつも実際にやってみた。

 

結果?

 

まったく、ぜんぜん、さっぱり、その人の事を許せなかった。

 

10数回やってみたのだが、それをやっても怒りが収まるどころかむしろ爆発する有様だ。

僕は通学路で心のなかでそいつの悪口を散々いい、大学でも散々悪口で盛り上がり、家に帰って母親にそいつのクソっぷりを散々愚痴っていた。

 

「なんや。チベットだかインドの高僧のくせに、全然役にたたないこといいやがって」

 

結局、その嫌いな人間が部活を引退するまで僕が呪詛を吐き続ける事はおさまらなかった。

 

残念ながら嫌いな人間を”許す”なんて僕には無理だった。

だから怒りに飲みこまれたくないのなら、最初から嫌いな人間を視界に入らないようにするしかないという事をこの経験を通じて学んだ。

 

ビジネス本に書かれた事は結局他人専用のスキルだから、自分用のスキルは別に育てないといけない

こんな感じでビジネス本を全然使えなかった自分だけど、今ではこの経験は物凄く貴重な体験として自分の中に残ったと思っている。

 

何が問題だったのか?

結局、ビジネス本に書かれているやり方は他人専用のスキルで、その人にしか使えないものなのである。

だから自分の現実をどうこうしたいなら、自分専用のスキルを開発しないといけない。

 

先のアンガーマネジメントなら、チベットだかインドの高僧はそれで嫌いな人間をどうにかできたのかもしれない。

けど、残念ながら僕には全く役に立たなかった。

 

物理や数学のような自然法則と違って、仕事の現場では公理とか一般法則のようなものは全く働いてくれない。

まず現場ごとに前提条件が全然違うし、何より他人は他人で自分は自分である。

 

この事で参考になる話がある。

無印良品やサイゼリヤの現場マネジメント術だ。

 

まず、これらの会社では綿密なマニュアルが作成されており、それを読めば誰でも一通り仕事ができるようにしているという。

しかもそこまで親切にした上で、それらのマニュアルは現場の人間が使いやすいよう、現場の裁量でいかようにでも改良できるようにしているのだそうだ。

<参考 なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法>

 

僕はこれを経営者として本当に誠実な対応だと思う。

昔ならともかく、今の時代では背中を見ろ!では誰も付いてきてくれない。

だからマニュアル類はわかりやすくキチンと整備する必要がある。

 

けど、マニュアルを遵守する”だけ”だと働いてても全然楽しくないし、マニュアルをそっくりそのままなぞるのは意外と骨だ。

けど、 自分用にカスタマイズさせていけるように裁量が付与されると、一気に現場が楽しくなる。

 

やっぱり他人は他人、自分は自分である。

ビジネス本から他人の成長は借りパクできないし、できてもつまらない。

その逆で、自分オリジナルな成長するのを実感するのは本当に楽しい。

 

困難が目の前にでてきて何とかしたいのならば、自分のスキルツリーを伸ばしていくしかないし、それが一番仕事で面白い部分なのである。

 

他人に学んでもいいけど、結局は自分に学ぶしかない

さて、これが僕のビジネス本関連の黒歴史である。

話が長くなってきたし、そろそろ話をまとめよう。

 

結局、僕が何をいいたかったかというと「お前ら安全地帯に立ってないで、ちゃんと黒歴史やれ!」という事である。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

これはドイツのビスマルクが語ったといわれている名言だ。至極ごもっともである。

 

しかしあえてクソリプだとは思いつつこの言葉にケチをつけるが

自分の経験から学ぼうとしない人間が、

他人や歴史から何かを学べることは、

絶対に無い。

経験から学ぶものは愚か者なのかもしれないけど、やっぱり自分の経験というのは最強の学びのタネである。

だから頭を抱えたくなるような黒歴史をやってきたという自認があるかどうかは、皆が思ってる以上に後々になって大きな差として現れる。

 

誰よりも黒歴史を積み重ねてきた奴だからこそ、後々にデカい学びを得られるのだ。

 

頭でっかちな賢者モドキより、恥をかける勇者をやっていこう

ここで例え話を一つしよう。

ここに一匹の野良猫がいたとする。

この猫はある特殊能力を持っている。

それは人をパッと見て、餌をくれる良い人間なのか、ひどいイタズラをしようとしてくる悪い人間なのかを瞬時に見抜く能力だ。

 

この猫がこの野生の勘ともいえる能力を身につけられたのは、他の猫から色々と教えてもらったり、本を読んだりしたから“ではない”。

リスクをとって、実際に身銭を切って、生き残ったからだ。

 

耳学問はそれ単体では虚無だ。

能力はリスクを負わないヤツには絶対に宿らない。

これはこの世の真理である。

 

頭でっかちな賢者モドキより、恥をかける勇者を、やっていくしかないんじゃないですかね。

それが良く生きるって事だと僕は思うけど。

 

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高須賀

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noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます

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