この記事で書きたいことは、下記のようなことです。

・部下が判断に迷いそうなことについて、数値化して判断基準を作れそうなものは可能な限りきちんと数値化するようにしています
・判断基準が明確になっていれば「決断疲れ」で消耗することが少なくなり、結果的にタスク遂行速度が上がります
・けど案外そうしない上司の人も多い
・「部下の判断力がつかない」とかいう人もいるけど多分それはちょっと違うよね

以上です。よろしくお願いします。

 

***

 

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんに行きましょう。

尚、この書き出しは前回の記事と完全一致していますが、コピペではなく一応いちいち手打ちしています。特に意味はありませんが。

 

今回の記事は、ある程度の部分まで、前回の記事の補足です。

知っている人には当たり前のことかも知れないんですが、結構前回の記事で目にとめてくださった方も多かったようなので、ちょっと書かせてください。

 

前回、「仕事の取り掛かりが遅い人」という話が出ました。

ただ、ひとつ一般的に言えることとして、「タスクを片付ける」という行動に移る前には「片付けるべきタスクをターゲッティングする」という工程が必ず必要であって、そこで精神力を使ってしまって着手が遅くなってしまう人は結構な数いる、という事実があります。

「複数タスクが見えていて、しかも着手順がもやっとしている」という状態だと、まずそれを整理する段階でハードルが高くって、到底着手までいけない、という人は全然珍しくないんですよね。

これ、何を言っているかというと、「着手順を判断する時点で既にある程度精神的に消耗してしまう」という話なんですよね。

いわゆる決断疲れの話です。

 

ご存じの方も多いと思うのですが、「判断する」ということはそれ自体MPを消費する行為でして、意思決定を何度も繰り返すと、段々と意志決定の質が落ちていくことが知られています。

「Decision Fatigue」で調べたら色々論文が出てきますが、まあサマリーだけならWikipediaで問題ないでしょう。

 

マーク・ザッカーバーグ氏やスティーブ・ジョブズ氏が常にお決まりの服を着ていることの理由として、「決断疲れ」を避けるため、という理由が挙げられたこともありますよね。

私たちは1日に “3万5,000回” も決断している。「決断疲れ」を防ぐにはどうすればいいのか?

グレーのTシャツ。黒いパーカー。この服装は、Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグ氏のトレードマークです。Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏も、製品発表のときにはいつもお決まりの服を着ていました。元アメリカ大統領のバラク・オバマ氏は、グレーか青のスーツしか着なかったそう。

まあ要は、「要らんことで決断を繰り返していると、肝心な時に決断力が鈍るよ」って話なんですけど。

 

基本的に、「決断をすること」はそれ自体疲れる行為だよ、というのは、着手順があいまいな時にタスク着手が遅れる、あるいはタスク遂行のパフォーマンスが落ちる、その一つの端的な理由でもあると思います。

人間の脳は基本的に怠け者なので、疲れることはしたくないわけです。

 

で。

これを軽減するための簡単かつ確実な方法は、「判断基準をアウトソースすること」です。

例えば「最初から着る服を決めておく」というように、特に何も考えずに従えるルールを作っておいて、決断をルール任せにしてしまえばいい、という話ですね。

 

私、「部下の判断基準をアウトソースさせてあげること」は、上司の非常に大事な仕事の一つだと思っています。

「迷ってると脳のリソースがもったいないから、自分で考えないで、無条件にこの基準で判断してね」ってことです。

 

その為の方法の代表的なものの一つが、「判断基準の数値化」です。

 

例えば進捗率。

今ではredmineで自動的にアラートが出るようにしちゃったんですが、こんな便利ツールが出来る前は、「進捗率と乖離率の数値化」ロジックを自分で組んで、「乖離率が〇%を越えたら何も考えずにそれだけ報告に来てくださいね」とか言ってました。

 

つまり、本来なら100まで進んでいないといけないスケジュールの時点で80まで進んでいなければ、進捗との乖離率は20%になります。

この時、明確な基準が決まっていないと、人間はあーだこーだ悩んでしまいます。

これ、報告した方がいいかなあ?報告するとして、なんて報告しよう?「遅れているけど取り戻せる範囲です」とか?心象悪くならないだろうか?叱られないだろうか?とか。

 

余計なリソースを使いまくってますよね。

肝心の仕事が遅れる重大な要因の一つです。

超もったいない。

 

上司としては、部下にそんなしょうもないことを気にして欲しくないので、例えば「20%を越えたら、取り敢えず「乖離率20%です」とだけ言いに来て」という話にしちゃうわけです。

そうすれば、少なくとも「報告するかどうか」で判断に悩む必要はない。

 

同じような話で、「技術的な課題で30分悩んだら何も考えずに相談に来て」みたいな話もあります。

あーだこーだ悩んでると、肝心の技術的な課題の部分から「こんなに時間使っちゃったからには自分でなんとかしなきゃ…」とか、「これくらいのことで相談にいくなんて評価下がっちゃうんじゃ…」とか、これまた余計なことで脳のリソースを使っちゃったりするんですよね。

 

これまたもったいない話でして、「悩む時間」にちゃんと数値基準を作ってあげれば、これもいちいち「相談するかどうか」で判断タイミングを作る必要はない。

 

前回の記事で、ブラウザのスタート画面をremineのカスタムクエリにした話もそうですよね。

「何からやるか」という判断タイミングを、そもそも発生させないようにしたわけです。

 

こういう風に、「悩みそうなところで、事前に明確な判断基準を決めておける場所」というのは、探してみると案外ちょくちょく見つかります。

むしろ、そういう場所を探すことが、上司の主要な仕事の一つではないかと思っているくらいです。

 

これはもちろん、部下に対してだけではなく、自分の判断機会削減にも役立ちます。

いくら以上の案件なら事前の調整を走らせましょう、とか。

何分以上のクレームならエスカレーションしましょうとか、何か所以上のバグなら品質管理部門との相談チケット立てましょうとか。

 

AとB二つのメソッドで見込みスピードが〇%以内しか違わないなら信頼性優先でAを採用しましょうとか、部署間との調整案件が3つ越えたらPMOに投げましょうとか。

まあ仕事によって色々なんですが、とにかく「事前に数値基準を決めておく」ことで上げられるパフォーマンスって膨大だと思うんですよ。

 

別に珍しい話では全くなく、ある程度のラインまではどんな職場でもやっていると思います。

今、数値基準化の補助ツールもたくさんありますしね。

ただ、「部下の判断機会をどれだけ減らせるか」「どれだけ判断基準を数値化出来るか」というところまで突き詰めて行くと、案外そういう風に考える人が少ない。

私はこれ、上述の通り、上司のすごーく重要な仕事だと思っているんですが。

 

***

 

単に「判断機会を減らす」という言葉尻を捉えて、「けどそれでは部下の判断力がつかないのでは」みたいな話をされたりすることがあるんですよ。

 

いや、それは違いますよね、単純に数値化出来ない部分で判断力を発揮してもらいたいからこそ、数値化して機械的に決められるところは可能な限り数値化して基準を設けましょうよ、って話なんですが、今までの職場だとあんまりそういう考え方がスタンダードになったことがなく、「なんかあいつよくわからんけど面倒なことしてる…」という目で見られることの方が今のところ多いです。

結構タスク遂行のパフォーマンスに影響してると思うんですけどね。

 

「それくらい自分で考えろ」というのは、イコール「それについて考えるだけの脳内リソースを使え」と言っていることと同じなので、本当に「自分で」考えさせるべきなのか、リソースをそこに使わせるのは妥当なのか、ということはそれこそ上司の判断が問われる部分だと思います。

 

なんか、「自分で考えさせる」を大義名分に楽をしようとしている人というのも、そこそこの数いるような気がして、それはあんまりよろしくないと思うんですけどね。

 

まあ、「判断基準をアウトソースしておくとパフォーマンスが上がりやすいよ」「その為に明確な数値基準を作っておくといいこと多いよ」というだけの話でした。

 

全然関係ないですけど、私がいつも「今日書きたいことはそれくらいです」で記事を締めているのも決断機会を減らすことが目的、というのはたった今思いついたヨタ話でして、実際には考えてみても他にいい結句を思いつかないだけです。ごめんなさい。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

Photo by Kevin Ku