最近自宅に麻雀牌が導入されまして、以前からMJで麻雀を遊んでいた中1長男と、「雀荘のサエコさん」を愛読している小3次女が、物凄い勢いで麻雀に熱中しつつあります。
ここしばらく、子どもたちからの「早く帰ってきてね!!」攻撃が収まったと思っていたんですが、まさか「麻雀やりたいから早く帰ってきてね!」などという形でリクエストが復活するとは思ってませんでしたよ、さすがに。
まだ次女はチートイツくらいしかまともに役を知らないのと、しんざき奥様も鳴いてからはリーチが出来ないことを知らない初心者なので、自宅麻雀教室でも開いて役を教えてあげようかと思っている次第です。
麻雀は頭の体操にもなるし戦略思考も身につくし、アナログゲームの中でもかなりいい感じにハマれるゲームだと思うんですよね。
家族麻雀楽しいです。
長女はあんまり自分で打つ気はなさそうなんですけど、横で見てるのは楽しそうです。
ということで、夕飯後、寝る前に自宅で麻雀卓が立つ系家庭を営んでおります、しんざきです。
皆さんお元気でしょうか。
今から歴史の話をしようと思います。
先に断っておきますが、大した話ではないです。
皆さん、「連打」ないし「連射(手動連射)」というスキルについて、何かご存じでしょうか。
この場合の連打というのはゲーム用語でして、「コントローラーのボタンを素早く連続して押すスキル」のことです。
連打が速いと、ガンガンボタンを連打してたくさん弾を出せる。
連打が遅いとそんなに弾が出せない。そういうヤツですね。
ゲームの歴史の中で、この「連打(厳密にいうと「手動連射」)」というスキルがスターダムにあがり、「連打が速い」という属性が自慢の種になった時代が、ほんの一時期だけありました。
時期的にはどれくらいでしょう、1980年代の前半から、まあ1990年代の序盤くらいまでですかね?
私が経験した中での話なのですが、明確に「連打」というスキルが「有利不利」を作るゲームというのは、1983年、コナミの「ハイパーオリンピック」が一つの草分けだったのではないかと思います。
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100メートル走とか槍投げとか、色んな陸上種目で記録を競うゲームなんですが、殆どの種目に連打が必要で、とにかくボタンをばしばし叩かないといけなかったんですよ。
当時は、連打し過ぎてゲーセンの筐体のボタンが故障したり、鉄製の定規をビーンと弾いてその反動でボタンを叩かせるテクニックが開発されたりなんてこともありました。
アレ、ゲーセンによっては禁止行為だったみたいですね。
で、その後。「連打」というスキルに明らかなスポットライトが当たったのは、「コロコロコミック」とタイアップしたハドソンの手によるものでした。言わずと知れた高橋名人の登場です。
「スターフォース」というゲームがあります。
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このゲーム、ゲーム内の各処に「連射が速ければ速い程得点が稼げる」というギミックがあったんですよ。
ジムダ・ステギとかラリオスとか、ある程度連打が速くないと撃破出来ない。
敵もガンガン出てきて、ボタンを押しまくって弾をたくさん出さないとあっという間に押し負ける。
元はテクモのゲームなんですけど、ファミコン版はハドソンでしたね。
で、当時「チャンピオンシップロードランナー」の実演攻略で人気を博し、「高橋名人」として全国を巡業することになったハドソン社員の高橋利幸さんが、「キャラバン」というイベントでその「スターフォース」を攻略する際、披露してみせたのが「16連打」というスキル。
つまり、「一秒間に16回ボタンが押せる」というスキルですね。
更にそれがコロコロコミックで漫画化されたりして、全国的な大人気となるにつれて、「手動連射」というスキルが一気に人気になっていったんです。
高橋名人物語、めちゃ面白かったですよね。
まずこの、「16連打」というスキルのキャッチーさと難易度、それに対するハドソンの売り出し方が、本当に感動するくらい巧妙だったよなーと今でも思うんですよ。
16連打って言われてピンときますか?
実際やってみると分かるんですが、「1秒間に16回ボタンを押す」って、本当にすげーーー難しいんです。
少なくとも私は当時、最大限頑張っても11,12連打くらいが限界でしたし、今なら出来てせいぜい10連打でしょう。
「出来そうな気もするけど、絶妙に届かない壁」だったんです。
「ゲームが上手い大人」というだけでも十分子どもたちのヒーローになれる素地はあったと思うんですが、更に加えて「凄さが明確に分かり、大人でもなかなか到達出来ない「16連打」というキャッチーなスキル」。
高橋名人がヒーローになるのも当然のことだったんです。
ハドソンも「連打」というスキルが目立つゲームや周辺機器をどんどん繰り出してきまして、例えばこの後の「スターソルジャー」はスターフォース以上に連打が重要なゲームでしたし、「シュオッチ」みたいな連打速度測定装置つきの時計まで発売されました。
このシュオッチを学校に持ってきてたヤツがいまして、当時クラスで連打速度の競い合いになって、スコアがいいヤツが英雄扱いされたりしてましたよね。
まあ、迷宮組曲みたいなあんまり連打と関係ないゲームにまで、タイトル画面で連打速度が測れる仕様になってたのはちょっとやり過ぎなんじゃないかと、今では思わないでもないんですが。
けどアレ楽器箱の裏技では重要だったな。
各ゲーム会社が名人人気にあやかろうとそれぞれの「名人」を擁立する一方、高橋名人にはライバルとなる「毛利名人」が登場して、「パワーと16連打の高橋名人に対して、正確性と14連打の毛利名人」なんて対比が行われたりしましたよね。
あれ、「毛利名人は連打速度では僅かに高橋名人に劣るが、正確性が高いのでスコアはほぼ互角」みたいな理屈付けがコロコロコミックで当時行われてまして、今冷静に考えると「正確性ってなんやねん…?」みたいな疑問もわいてくるんですが、当時はとにかく物凄く説得力があって、高橋名人vs毛利名人とか超燃えたんですよ。
なんでスイカ割ってんねんとか、なんで目隠ししてゲームやってんねんとかいうのは言わないお約束なわけです。
いいか、絶対に言うなよ?
一方で、「連射装置つきのコントローラー」なんかが発売されたりもして、当時はまだ「邪道」扱いされてはおりましたが、既に後の時代を暗示する動きはあったように思います。
スターフォース自体、パーサーつければソフト連射が出来ましたしね。
この「連打」ないし「手動連射」というスキル、振り返ってみると「時代の変遷に伴って必要性が失われていくスキル」の代表格だったなー、と思うんですよ。
当初は「邪道」とされた「連射装置」ですが、時代が下るにつれて、特にゲーセンでは段々と標準装備になっていきました。
ゲーメストやベーマガでのスコアアタック、当初は「手動連射」と「連射装置つき」で分けて集計されたりしていたんですが、その内その区分けも見なくなりました。
ゲームによっては、ソフト連射で特に連打しなくても十分な連射が出来るようになっていたり(ゲーム天国とか)、あるいは逆に無暗に連射するとどんどん不利になるゲーム(バトルガレッガとか)も生まれてきました。
やがて、STG自体がゲームの主要なシーンではなくなっていき、それに伴って「連打」というスキルについて語られることもなくなっていきました。
例えば格闘ゲームの小技連打とかで、今でも手動連射の機会が訪れることはあるのですが、少なくとも「連打が速い」というスキルがもてはやされることはもうなくなったし、今後そういう時代が訪れることもないかもなー、と思ったのです。
***
ところで麻雀の話に戻るんですけど、私は(いい加減ですけど)ある程度盲牌が出来ます。
盲牌って何かというと、麻雀牌をめくらなくても、手で触っただけでその牌が何かを当てるスキルです。
まあ出来るっつってもピンズとソーズ以外は分かんないしよく間違えるんですけど、前述の自宅麻雀の流れでちょっとやって見せたら、「すごーーーい!!!」って言われて子どもたちに大評判だったんですよ。
盲牌っていうのも、手積み麻雀では(倫理的にどうかはともかく)結構重要スキルだったりしたんですが、全自動卓では殆ど意味のないスキルであって、出来る出来ないで有利不利になるようなことはほぼありません。
これもある意味連打と同様、「時代と共に不要になっていったスキル」なのかも知れません。
けどそんな「まあ、もう使わんだろうなー」と思っていたスキルに、ちょっとしたことで小さなスポットライトが当たった。
それで、今回の記事のような話を思い出しました。
これと同じような話は、多分色々とあるのだろうと思います。
空を読んで天気を予想する名人は、多分天気予報の精度が上がるにつれて重宝されなくなっていったろうし、一方コロナ禍に伴う自宅待機騒ぎで、使わないと思っていたリモート環境について知っている人がいきなり大活躍したりしているかも知れません。
あるスキルが、時代に伴って不要になっていくこともあるし、一方思いもよらないところで光り輝くこともある。
あの頃「連打が速い」というだけで英雄になっていたような友人たちは、今でも元気にやっているかなあ、なんてことも思いつつ。「連打」というスキルの来し方行く末に思いをはせてみた、と。
それだけの話でした。
今日書きたいことはそれくらいです。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
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