takataジャパネットたかたの業績がV字回復した。2013年12月期の決算では、経常利益は150億円超で過去最高、売上も1400億円超と、20%程度成長している。

文字通りのV字回復で、経営者の面目躍如といったところだ。

 

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社長は2013年の決算がまずければ社長を退任すると述べていたが、決算は好調であり、退任する必要はなくなった。

が、とつぜん今朝、「社長交代」が報じられた。

 

ジャパネットたかた、15年1月に社長交代 後任に長男 (日本経済新聞)

通販大手のジャパネットたかた(長崎県佐世保市)は高田明社長(65)が社長を退き、長男の高田旭人副社長(35)が後任に就く人事を決めた。会社設立29周年にあたる来年1月16日付で交代する。退任後の明氏の処遇は未定だが、通販番組の出演などは続けるとみられる。

高田社長は1986年に同社の前身である「たかた」を設立。自ら通販番組に出演する手法で注目を集め、会社を急成長させた。再来年のトップ交代を表明していたが、1年前倒しし、経営体制の若返りを急ぐ。”

 

経営者は世襲的に交代するようだが、プライベートカンパニーの色が濃いジャパネットたかたであれば、当然の結果といえる。

 

 

さて、この動きの下には一体何があったのか。実は社長は1年以上前に「テレビ以外にシフトし、クリーナーなどに力を入れていく」と述べていた。

 

ジャパネット 高田明社長が語る、テレビの売上1/20に激減の中での不退転の決意(ソフトバンクビジネス+IT)

「売上の6割を占めていたテレビが売れなくなった頃、この状況をどうすれば挽回できるのかと私も思い悩んでいた。その時にふと、残り4割の商品にはほとんど注力していないことに気が付いた。すると本当に面白いぐらいに1つの商品が浮き上がってきた。」

それが「クリーナー」だ。この市場は現在、年間400~500万台の規模で、1万円前後の商品が売れ筋で10万円ぐらいの高級タイプも売れてきているという。そうした中で3万円クラスの商品を売るのは結構大変とのことだが、同社では2013年4月の1か月で10万台、30億円の売上を記録した。

「この市場規模でこの数字は、ある意味で奇跡を起こしたと思う。しかしこれは何も新しいことをやったのではない。原点に帰り、自分たちの目の前にあったものに本当に取り組んでいるかを突き詰めて考えた結果の賜物だ。こうした視点に立てば、年間300億円ぐらいの市場はすぐに作っていくことができると考えている。選択と集中によって、やらなければならないことが面白いぐらい次々に出てくる思う」 ”

 

 

そして、社長はそれを愚直にやり続けた。勝算があったのだろう。

 

全力疾走でV字回復 社長の椅子を死守/ジャパネットたかた 代表取締役(Venture Story)

2010年の売上げ最高1759億円の時は、TV関連の売上げが960億円ありました。昨年は50億円程度ですからTV関連だけで900億円減となります。従ってTVが売れていないだけなので、そこに一喜一憂するなと。家電は白物もあるし、売れるものはいろいろある。

エアコンは3万台だったのが、15万台と5倍売りました。布団の掃除機レイコップはそれだけで100億円売上げました。東芝のトルネオという掃除機は累計100万台を超えています。

このような新しい市場を創造するということが原点に返る、今までを見直すということで、番組制作も原点に返れと。お客さんに商品の良さを伝えていこうと。エアコンや調理家電のサイクルとか、冷蔵庫などに力を入れて、それがTV部門を補って増収に繋がった。つまりはビジネスモデルを変えたということです。”

 

 

実際、7月12日現在のチラシを見るとエアコン、掃除機が紙面の殆どを占めている。デジタル家電が殆どを占めていたかつてのチラシとは大きく異る。

実際、社長はインタビューに対して、売上と利益が伸びた商品を、「エアコン」「掃除機」「冷蔵庫」「洗濯機」と回答している。

 

以前私はジャパネットたかたは「脱家電」を目指しているようだ、と書いたが、そうではなかった。実際には「白物家電」と「掃除機」にシフトしていた。

たしかにこれは合理的な選択である。最近の家電は性能の向上が著しいが、ジャパネットたかたの主要な顧客層である50代以上は、そういった性能向上の具体的な内容を殆ど知らず、10年以上前に買った家電を今もずっと使い続けている人が多いと考えられるからだ。

そういった「今のすごい家電」を継続的にシニア層に紹介していけば、十分に成長の余地はある、そう社長は考えたのだろう。

 

 

かつてのジャパネットたかたは、「デジタル家電をシニアに届ける会社」だった。

事業の再定義を行った今は、「今の高性能の家電をシニアに届ける会社」となった。

 

社長交代は来年の1月だという。「事業の再定義」を行った今、早めに社長交代を行い、経営が安定しているうちに後継者を育成しよう、という腹だろう。

先手先手で、すごい社長だ。

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

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