AppleとIBMが企業向けのモバイル分野での提携を発表した。
”米Appleと米IBM、企業向けモバイル分野での業務提携を発表
米Appleと米IBMは15日、企業向けのモバイル分野における業務提携を発表した。両社は共同で、IBMのビッグデータ分析技術やクラウドサービスをiPhoneやiPadで利用するためのアプリ開発に取り組み、IBMは企業顧客向けにiPhoneやiPadの販売も行う。”(Internet Watch)
Appleは企業向けには大した製品やサービスを持っていない。逆にコンシューマー向けには圧倒的な強みがある。逆にIBMはパソコン事業を捨てたことで、コンシューマー向けの事業を持っていない。逆に企業向けにはハード、ソフトともに圧倒的な強みがある。
彼らが提供を予定しているサービスは4種類。
”AppleとIBMが企業向けモバイルで大規模提携 IBMは専用アプリ搭載のiOS端末を販売へ
この提携で、以下のような4つの主要な機能を立ち上げる。
IBM MobileFirst for iOS
ネイティブアプリを含む100以上の業種別(小売り、医療、金融、旅行など)エンタープライズ向けソリューションを構築する。これらのソリューションは、iOS 8がリリースされる今秋から2015年にかけて公開していく。
IBM MobileFirst Platform for iOS
iOS向けに最適化したIBMのクラウドサービスを提供する。企業レベルのクラウドストレージ、データ分析、端末管理、アプリ管理、セキュリティなどの機能を含む。これらのサービスはIBM Cloud Marketplace上のBluemixで利用可能になる見込み。
AppleCare for Enterprise
企業向けのAppleCare。Appleによる年中無休のサポートとIBMによるオンサイトのサポートを組み合わせたものになる。
IBM MobileFirst Supply and Management
IBMがiOS端末を販売する。アクティベーションや管理サービスを含み、リースのオプションもある。”(ITmediaニュース)
ビジネスの教科書に載りそうな、行儀の良い提携だ。
しかし、本当に気になるのは、スマートフォンがコンシューマーの生活を変化させたように、企業の仕事のやり方は変わるのだろうか、ということだ。
仕事柄、数多くの会社でシステムの導入を見てきたが、30年前から言われている通り、「システムの導入により、企業の成果を上げる能力が著しく向上した」という話は殆ど聞かない。
その理由の多くは、「ザ・ゴール」の著者であるエリヤフ・ゴールドラット氏が指摘するように「企業はソフトを導入しても、仕事のルールを変えないから」である。仕事のルールが変わらない限り、仕事の成果はそれまでの延長線上にとどまる。
「帳票入力の仕事が減って、仕事が楽になりました」
「今まで1時間書けてやっていた仕事が、5分で終わるようになりました」
「営業の記録が残り、営業マンの行動の指針が出来ました」
「データ分析により、最適な在庫の水準がわかるようになりました」
これらは、ソフトウェア導入によるメリットではあるが、イノベーションではない。
その程度であれば、「Apple製品で、IBMの企業向けソフトウェアが使えるようになった。だから何?」
である。
真のイノベーションとは、スマートフォンがコンシューマーの行動を変化させ、新しいコンテンツ市場、新しいニュースの入手方法、新しいコミュニケーション手段を生み出したように、システムが「新しい満足を創りだす」ことにつながるものだからだ。
だから、個人的にはこの提携から生まれるソフトウェアにより、望むことがいくつかある。
・社員の場所、時間によらない勤務の実現。
・成果フィードバックによる、社員自身による目標設定とその管理。および最適化、柔軟な変更。
・ソフトウェアによる社員の自己管理促進。管理職の削減。人事評価制度の簡素化。
・ビジネスの機会を見つけるための情報収集力の向上。
・専門家の発見機会の向上。
・成果を定義する能力の向上。
・「強み」を発見するためのデータ提供
こういった事が実現されるような提携であれば、AppleとIBMは今後20年は安泰ではないかと思う。
(2025/7/14更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは
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自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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