居酒屋さんの倒産が増えています。

東京商工リサーチの調査によれば、2021年の居酒屋の倒産件数は、過去30年間で、2番目の多さだといいます。*1

 

こうした事態に対して、例えば東京都は「感染拡大防止協力金」を支給をしていますが、感染対策の「認証店」でも、その額は、過去の売上高の3割、もしくは過去の売上からの減少分の4割に過ぎません。*2

 

少し前は、「協力金もらいすぎ」などの意見もありましたが、少なくとも現在の東京都では、そういった状況ではないようです。

しかも、協力金の支給は「要請期間の終了後」なので、手元の資金繰りは苦しいでしょう。

 

そして、中には協力金をもらいながら、「不正に営業」をする事業者もあるといいます。*3

「正直者がバカを見るという状態だ」

という方もおり、感染拡大防止のための要請を遵守しているお店が、損をする状況は憂慮すべきことです。

 

まっとうなお店を守りたい

こうした中、「飲食店を支援しよう」という動きが、各地で見受けられますが、その一つが、「まっとうなお店を守りたい」と、東京ガスが昨年12月に立ち上げた、街の飲食店の集客支援「よりみちパスポート」です。

 

「よりみちパスポート」は、「毎日1杯ドリンク無料」のサブスクリプションサービスです。*4

毎日1杯のドリンクを楽しみながら社会貢献できる定額制サービス「よりみちパスポート」の開始について(PR TIMES)

東京ガス株式会社(社長:内田 高史、以下「東京ガス」)は、本日より、コロナ禍における飲食店支援と安心して飲食を楽しんでもらうきっかけづくりを目的に、毎日1杯のドリンクを楽しみながら社会貢献できる定額制サービス「よりみちパスポート」(以下「本サービス」)を開始します。

一日に何店舗でも利用ができるため、「飲み歩くのが好きな人」にとっては非常に好評だったといいます。

 

しかしこの「よりみちパスポート」というサービス。

現在、大変困っているというのです。


というのも、サービスが開始された当初、東京都の感染者数は1日あたり多くても20名程度。

感染拡大もいよいよ止まったか、という時でした。

「ようやくみんなで飲みに行ける」

と期待できる状況だったのですが、その後、1月から感染者数はうなぎのぼり。

 

つい先日、3月21日まで、蔓延防止等重点措置が延長され、とても「ぜひみんなで飲みに行こう」とは言えない状況になってしまっていたのです。

 

自分がいかないと、お気に入りのお店は、無くなってしまう。

だから、私は「こんな時期に、飲みに行こうとはとても言えないよな……」と、東京ガスさんから話を聞いたときに思いました。

 

ただ、この話を知人にしたところ、「それは間違ってる」というのです。

「なぜ?」と聞くと、彼は言いました。

 

「こんな状況だからこそ、自分がいかないと、お気に入りのお店は、無くなってしまうよ。」と。

 

はっきり言われて、そうだよなあ。」と、思いました。

 

コロナ前、私の好きだった店には、必ず定期的に顔を出していました。

もちろん、お酒が飲みたかったという事実はあるのですが、もう一つは「お店に繁盛してほしかった」からです。

 

もちろん、実際には私が支えているわけではありません。

でも、「推し」の店に行くのは、自分の貢献を実感できる、ささやかな楽しみだったのです。

 

でも、薄情なことに、私はコロナですっかりお店から足が遠のいてしまいました。

ダメな奴です。私。

 

でも、コロナが長引く今だからこそ、お店にいかないといけない。

そう思ったのです。

 

東京ガスの方に「推しのお店はありますか?」と聞きました。

そこで、東京ガスの、「よりみちパスポート」の担当者の方にも、きっと「推し」の店があるはずではと思い、zoomで聞いてみました。

東京ガスは、飲食店を顧客として数多く持つことから、今でも古き良き「みんなで飲みに行く」という文化が根強く残っているそうです。

皆さん、喜んで答えていただきました。

 

左上の山本さんの「推し」は、浜松町のロティサリーチキン(ローストチキン)のお店。「Hamachan55」です。

取材に行くと、浜松町で20年以上前にお店を立ち上げた、女性店長の、新野さんが出迎えてくれました。

新野さんは、20年以上前、脱サラで独立し、「女性が入りやすい店を浜松町に作りたい」と、現在の場所にお店を構えました。

試行錯誤の果てに、ロティサリーチキンというメニューが定番となったといいます。

テイクアウトや、酒類の販売免許の取得など、あらゆる経営努力で対応していますが、テレワークにともない、街から人がいなくなってしまい、本当に今は厳しい状況です。

それでも店員の雇用を守るため、何とかお店を回していきたい、と新野さんは言います。

 

 

右下の北見さんの推しは、大井町の東口を出てすぐにある、チーズとワインのビストロ「daigoya」です。

取材にお邪魔したところ、店長でソムリエの原川さんにお話を聞けました。

こちらのお店は、カジュアルにフレンチとイタリアンを楽しめる、家族連れもOKのお店です。

原川さんが、ワインに合わせた料理をお勧めすることで、コアなファンも多く、一人で食事を楽しみに来るお客さんの中には、ひと月に12回来られた方もいたそうです。

 

このお店は2020年の8月に開店しました。

ところが開店半年もたたない2021年の年明け、緊急事態宣言によって休業を余儀なくされます。

 

7月頃には感染者数も少なく、落ち着いた状態だったため、再オープンの予定だったのですが、現実的には8月には感染者数は激増し、10月までフルオープンできませんでした。

幸い、地元の方が数多く訪れてくれるため、テイクアウトやデリバリーでしのぎながら、何とかシェフと原川さんの2人でお店を回していけるといいますが、まだまだ苦しい状態だと原川さんは言います。

 

一緒に飲食店を支援しませんか

東京ガスは、上の2店をはじめとした、コロナ下でも頑張るお店に対して「よりみちパスポート」という仕組みを使って、お店の販促を支援しています。

いずれのお店も、各自治体で推奨している、感染防止対策をPRするステッカーやポスターを掲示している店舗であり、感染対策には万全の注意を払っています。

 

いずれ来る「コロナ明け」を迎えるために、感染拡大防止のための要請を遵守し、営業努力をしているお店を一緒に支援しませんか。

支援方法は簡単です。

こちらのリンクからLINEで「よりみちパスポート」のアカウントに友達登録をするだけ。(友達登録は無料です)

 

「よりみちパスポート」に有料登録かどうかは、ご自身が使えると思ったタイミングでいいと思います。

クーポンは一日に複数店舗で使えるため、多くのお店の支援もできるでしょう。

 

ただ、なにより我々がまずできることは、繰り返しになりますが「お気に入りのお店に、少しでも行くこと」です。

もちろん、感染対策は忘れずに。

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

◯Twitter:安達裕哉

◯Facebook:安達裕哉

◯有料noteでメディア運営・ライティングノウハウ発信中(webライターとメディア運営者の実践的教科書

 

 

*1(出典:居酒屋の倒産 過去2番目の多さ、業種間で明暗分ける(2021年飲食業倒産)

*2(出典:【飲食店等を対象】「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(2/14~3/21実施分)」について

*3 東京都 “時短協力金不正受給”カラオケバーを公表 返還要請へ(NHK WEB)

*4 「来店者一人当たり1,100円(税込)以上の会計」などの利用条件があります