前にも書いたが、趣味で「フォートナイト」というゲームをやっている。
フォートナイトは世界で最もプレイヤーの多いゲームの一つで、世界大会(ワールドカップ)の賞金総額は100億円を超え、ゲーム内の仮想世界でライブイベントなども開催される、メタバースの代表格だ。しかも無料。
人気歌手のアリアナ・グランデは8月にフォートナイト上でライブイベントを開催して話題となった
最近では、ダルビッシュ氏が息子さんとプレイしているという記事を見かけたが、著名人のファンも多い。
フォトナでリフレッシュ
ダルビッシュが語る、心身の不調を『フォートナイト』に救われた話──『フォートナイト』は1日の終わりにひと息つける場所。 https://t.co/JkdotnTXn7
— 安達裕哉(Books&Apps) (@Books_Apps) March 5, 2022
このゲームの魅力は、2つある。
一つは「課金」が強さに全く関係がないという点。
課金は、キャラクターの見た目に影響があるだけで、強さは純粋な技術のみで決まる。
公平なゲームなのだ。
そしてもう一つは、単なる撃ち合いではなく、「建築」という要素がある点だ。
建築によって射線を切り、足場を作り、相手を閉じ込め、有利なポジションを作って戦闘する。
頭を使った、非常にクリエイティブなプレイが可能になる。
プロ選手のプレイは非常にスタイリッシュかつ超人的なスピードで展開されるので、興味のある人はぜひ見てみてほしい。
私が好んでよく見ているのは、ノルウェーの17歳のプレーヤー、MrSavageという選手だ。
私がこのゲームを始めたのは知人の勧めがきっかけであったが、今ではチームを作り、日々知らない人々とゲーム内で交流している。
プレイ時間の累計は、この2年で600時間近い。
このゲームはかなり親切で、公式のゲームのほかに、個人が作成した様々な「練習用のマップ」や「試合用のマップ」があり、そこで十分すぎるほどの練習ができるようになっている。
また、Youtubeにも様々な初心者用の動画があり、どうすれば上手くなれるのかについての情報は、多すぎるほどだ。
もちろんプロになりたいわけではないが、どうせやるなら、強くなりたいし、勝てるようになりたい、と思って、日々励んでいる。
ただ、残念ながら、なかなか上手くはなれない。
いろいろとその理由を考えてみたのだが、少し前までは
「40を超える年齢の私はなかなか上達しないのは仕方ない」
「社会人だし、そんなに時間をつかえない」
と半ばあきらめ気味だった。
また、ゲーム内で負けても、
「いい武器が落ちてなかった」
「弾切れになってしまった」
「資材が足りなかった」
と、環境のせいにしていた。
しかし最近、ちょっとした変化があり、新しい世界が見えたので、それについて少し書いてみる。
足りないのは「練習」でも「才能」でもない。
少し前から、チームメイトの勧めで、Youtubeに自分のプレイ動画をあげるようになった。
これは別に「実況したい」とか「チャンネル登録お願いしますー」とか「収益化」とか、そういう話ではなく、チームメイトにも自分の動画をアップしてもらい、お互いにチェックできるようにするためだ。
上は編集している動画だが、仲間内の練習などは、限定公開だが、無編集でアップしている。
これがとても良かった。
理由は2つ。
1.相手から見た自分の動きをチェックできる
2.動画編集時に、自分で自分のプレイを改めてチェックできる
これによって、「自分の動きが、意図していたことと全く違う」ことや、「なぜ負けたか」の理由を言語化し、はっきりと知ることができるようになったのだ。
その結果、自主練習のメニューをガラリと変えることになった。
足場を崩されないように、基礎的な建築の練習をやりなおしたり、上から見えないようにする建築の練習などをするようになった。
焦ってミスしがちだった終盤の練習を増やし、索敵の練習を取り入れた。
これによって、対面戦闘の勝率が上がり、現シーズンの成績も向上した。
なるほど、と思った。
私に足りなかったのは、練習や才能ではない。
「チェックと練習へのフィードバック」だったのだ。
何かを遂行する能力は「厳しくチェック」しないと向上しない
今までは「勝った」ときのことばかりを思い返していた。
気分がいいからだ。
しかし、強くなりたいなら、真に目を向けるべきは、「負けた」ときのことだった。
負けシーンには、貴重な学びがたくさんあり、練習へのフィードバックが数多く見つかる。
例えば、少し前には「狙いをつける(エイム)練習」を数多くしていたのだが、自分の動画を振り返ると、狙いが悪くて負けることはあまりないことがわかった。
殆どは建築技術が未熟なために負けているし、索敵が中途半端で死角から打たれている。
だから、建築さえきちんとできれば、落ち着いて狙う時間ができ、結果的にエイムも良くなる。
索敵していない範囲には、遮蔽物を建てる。
だから「エイムの練習」は実は、私にとっては効率が悪く、時間の無駄なのだ。
*
自分のしたことの反省に時間を使えば使うほど、練習の質が上がり、能力が向上するのは、ゲームやスポーツに限らない。
仕事でも全く同じだ。
いや、仕事こそ、しっかり「失敗」を分析し、次回にフィードバックすべきなのだ。
なぜなら、ゲームでは「失敗」は明らかにわかるが、仕事は明らかな「失敗」は少なく、意図的に振り返りをしなければ、すぐに忘れてしまうからだ。
しかも仕事で「失敗」や「及第点ではない」と認識するのは、ゲーム以上に辛い。
私はコンサルティングの現場で、「仕事の質が低い」と指摘された人が、どれほど頑固で意固地になってしまうかを見聞きしてきた。
「あなたの仕事の質は低い、何が原因なのか直視せよ」とズバリといわれて、すなおに「改善します」といえる人は、そう多くない。
そして、
「若くないから」
「能力が低いから」
「苦手だから」
「上司がクソだから」
「会社の体質が古いから」
と言い訳し、ろくに失敗を見つめない人は、何十年も仕事を遂行する能力が変わらないだろう。
安易に「うまくいった」と妥協していては、能力の向上は難しいし、失敗したときに「周りが悪い」と環境のせいにしていては、うまくならない。
シビアに自分の残した成果を吟味し、妥協しないことでのみ、能力を継続的に改善できる。
Youtubeを見ても、フォートナイトがうまいプレーヤーは、純粋に時間を大量に投入している人もいるが、全般的に「自分を客観的に見ることができる、賢い人」が多いイメージだ。
このゲームは自己批判ができないと上達できない。
仕事というゲームも同様だ。
フォートナイトをプレイし、Youtube動画を作り始めて、「わかっていたはずの」そんなことを改めて実感したのだった。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
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