会議に出席するとよく、「なんか言っているようで、何も言ってない発言」を耳にします。

例えばこんな感じです。

 

この手の話題では、あの有名な

「今のままではいけないと思っています。だからこそ日本は今のままではいけないと思っています」

という発言を想像する方も多いかもしれません。

(出典:ANNnewsCH)

ただ、冒頭の「何も言ってない」と、上の政治家の発言とは、若干異なります。

事実、「ユーザーのニーズを捉えて、適切に施策をうつべきですよね」という発言は「正しい主張」であり、意味不明ではない。

 

それにもかかわらず、なぜ「何も言ってない」とみなされるのか。

それは「当たり前すぎる話で、何の意見も入ってない」からです。

 

*

 

昔、上司に、仕事のトラブルを相談してたプロジェクトメンバーがいました。

その時のやり取りが、こんな感じでした。

 

「すいません、ちょっとお客さんと揉めてしまって……アドバイスもらえないでしょうか。」

「どうしました?」

 

「かなり前に検収を終えたのに、今になってここが仕様通りになってない、と言ってくるんです。」

「対応できる?」

 

「わかりません。エンジニアに聞かないと。ただ、そもそももう検収を終えてるんですよ。基本「追加料金いただきます」と返していいはずですよね?」

「お客さんファーストでね。」

 

「えー……ということは、無料で改修に応じるってことですか。」

「そうはいってない。ただお客さんにとって何が一番か、よく考えて。」

 

(???……どっちなんだ……!(困惑))

 

 

この上司の発言が、「何も言ってない」のは明らかです。

「お客さんにとって何が一番か、よく考えて。」は、会社の理念に書かれるほど、反論のしようのない、当たり前のことです。

 

でも、個別の事態に必要なのはそんな一般論ではありません。

リスクとデメリットのついて回る、「判断」です。

 

要するにこの上司は「リスクを取って主張することから逃げている」。

だから、「何も言ってない」とみなされるのです。

 

*

 

コンサルタントをやっているとき、この手の発言をする人をよく見ました。

 

「何が良いのかは目的によりますね」とだけ言う人とか。

「議論が必要ですね」とだけ言う人とか。

「検討を重ねましょう」と言って、何もしない人とか。

 

いや、コンサルタントたちの中にも、このような発言をする人がいました。

大体、お客さんから「何言ってんのかわかんない」とか「どうすればいいのか、はっきり言ってくれない?」と、怒られてましたけど。

 

もしかしたら、政治家がこんな感じだから、みんながマネするのかもしれません。

 

もちろん、私見を発するのは、リスクを伴います。

反対されたり、馬鹿にされたりするわけです。

 

でも、私はコンサルタントの上司に言われました。

「選択肢を並べるだけだったら、バカでもできる。「私はこれを推す」を言いなさい」と。

 

ピーター・ドラッカーも「事実ではなく、意見からスタートせよ」と言います。

成果をあげるエグゼクティブは、意思決定は事実を探すことからスタートしないことを知っている。誰もが意見からスタートする。このことに不都合はまったくない。

一つの分野に多くの経験をもつ者は当然自らの意見をもつべきである。一つの分野に長い間関わりながら自らの意見をもたないのでは、観察力と姿勢を疑われる。

 

人は意見からスタートせざるをえない。最初から事実を探すことは好ましいことではない。すでに決めている結論を裏づける事実を探すだけになる。

見つけたい事実を探せない者はいない。統計を知る者はこのことを知っており、したがって数字を信じない。彼は数字を見つけた者を知っているために、あるいは見つけた者を知らないために、数字に疑いをもつ。

 

したがって、現実に照らして意見を検証するための唯一の厳格な方法は、まず初めに意見があること、またそうでなければならないことを明確に認識することである。

 

リスクを取って意見を言わない人は、会議に参加する価値はない。

そのように言われるのは、必然なのです。

 

 

【お知らせ】
ご好評につき、AI検索対策ウェビナーを追加開催します。10月15日の開催回では、参加者アンケートで92%の方から「満足」「大変満足」とのご回答をいただきました(回答25名)。検索はされているのに、サイトに来ない——その原因である「AIの要約」への対策を、安達裕哉が60分で解説します。内容は10月15日開催回と同じです。

20261116ウェビナーバナー
このウェビナーでわかること
・AI検索対策とSEOは別物——AIの引用元で検索上位10位に入るのは37.9%
・AIに引用されるページの作り方(記事・身元・評判・サイト構造の4つの施策)
・「AIに推されているか」を月次で測る手順


セミナー名:【AI検索対策セミナー】AIの「まとめ」に消されるのではなく、AIの「出典」になる ── AIに推される4つの施策
開催日時:2026年11月16日(月)13:30-14:30
配信形式:オンライン(視聴のみ・カメラ/マイク不要)
参加費:無料
登壇:安達裕哉(ティネクト株式会社 代表取締役)


お申込み・詳細
こちらのウェビナー詳細ページ をご覧ください。

(2026/10/26更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

◯Twitter:安達裕哉

◯Facebook:安達裕哉

◯有料noteでメディア運営・ライティングノウハウ発信中(webライターとメディア運営者の実践的教科書)