参考リンク:巨人57人コロナ感染で「中日との3連戦中止」に大ブーイング「巨人だけズルい」「ヤクルトは無理にやって5連敗」(Smart FLASH)
「巨人だけズルい」と、長年のカープファン(最近はなるべく試合結果を見ないようにしていますが)の僕も言いたい!
カープだって、二軍はコロナ感染者多数で活動停止中、一軍も4番を打っていたマクブルーム選手や堂林選手、ターリー選手が感染療養中なのに!
……でも、「巨人だけズルい!」って気分にもさすがになれないというか、この記事にある巨人選手の感染状況をみると、非感染者をかき集めても、まともにチームが作れるのだろうか、なんとか試合ができたとしても、それは「プロ野球の試合」として入場料を取って開催するレベルのものなのか?とりあえずお大事に……というのが率直な気持ちです。
先日はヤクルトに多数の感染者が出て試合中止になっていましたが、いくらプロ野球選手には怪我やアクシデントによる離脱はつきものとはいえ、コロナ感染で主力を大量に欠いた状態で「公式戦」を行い、どこが強いかという「ペナントレース」をやることに、意味があるのか疑問ではあります。
セリーグの場合は、ここまでヤクルトが独走しているので、「まあ、多少ヤクルトが負けても、かえって面白くなるくらいなんじゃない?」と不躾ながら僕も思っていましたし、実際にヤクルトは主力選手に監督まで欠いて連敗してしまったのです。
いま開催されているプロ野球というのは「競技」というより、「興行」ですよね。とにかく試合を中止にしないようにして、入場料や放映権料を止めないようにする。
それが果たして、正しいのかどうか、レベルの低いプレーを同じ入場料で観客に見せ続けることによって、試合の質は下がり、長い目でみれば、コンテンツとしての価値を落としてしまうのではないか。
ただでさえ、最近の僕は「プロ野球の試合は長い」と思っているのです。
3時間とか、日本シリーズとか、国際試合のトーナメント戦くらいじゃないと、リアルタイムで観るのはきつい。
倍速でやってくれないかな、という気分に加えて、プレーの質も低下していくのでは「野球離れ」も加速していくのではないかと。
みんなが「ステイホーム」の時期には、プロ野球が感染予防対策のもとで、無観客、あるいは入場制限下でも開催されている、というのは、たしかに野球ファンには癒しになっていたのですが、みんながこの感染超拡大下でもほとんど自由に行動できるなかでは、「わざわざいま野球やらなくても……」と言いたくなってしまいます。
あの広いスタジアムでそんなに密集することもなく、感染予防対策をしながらプレーしている選手たちにもこんなに感染が拡大し、7月21日には日本国内で18万6000人もの感染者が出ているのです。
選手たちの感染状況はもちろんなのですが、何万人もの観客がスタジアムに集まれば、観客間での感染拡大を懸念するべきなのに、無観客や観客数を減らす、という話はいまのところ出ていません。
政府も、これだけの感染者数が出ているのに、「行動制限は考えていない」ようです(今後方針が変わる可能性はありますが)。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という懐かしいネタを思い出します。
実際のところは、ワクチンの効果もあって罹患しても重症化率は減っているし、新型コロナウイルスそのものも現在流行している変異株は初期よりは弱毒化しているので、「もう、これ以上行動制限等で経済的な停滞を続けるよりは、感染者が増えても『平常営業』で行こう、ここまできたら、みんなが罹患して集団免疫がついたほうが、結果的に早期に収束する」という方針に政府は転換しているのだけれど、「感染者が増えてもいい」とは(批判されるのがわかりきっているので)誰も言えなくて、なし崩し的に現状を放置している(そして、多くの国民も、制限に疲れてきていて、自分が感染しても、そんなにひどい目にはあわないだろうから、このままでいいや、と思っている)というのが現状のように思われます。
それはそれでひとつの考え方ではありますし、この2年間でワクチンをほとんどの国民に打って、重症化率を下げることができた、というのは、それなりの「成功」ではあるのです。
歴史上大流行した感染症の多くも、感染者が爆発的に増えることによって、集団免疫が確立されて、数年単位で終息しています。
高齢者や基礎疾患がある人にリスクがある状態なのはもちろんなのですが、逆に言えば、「高リスクの人を除けば、新型コロナに罹患しても、そんなにひどいことにはならない状況をつくりあげてきている」のです。
医者として、基礎疾患がある人が大勢いる病院に勤めている僕の立場からすると、感染者が増えれば、当然のことながら、高リスクの人たちへの感染リスクも増えるので(現場で医療や介護にあたっているのは、病院外では普通の生活をしている若い人が多いですし)、感染者が増えてほしくはありません。
今の状況というのは、「コロナは風邪」という状態の人しか周りにいない元気な人たちと、「コロナが病棟に入ってきたら、あっという間に感染が拡大して、基礎疾患がある高齢者が大勢重症化していく」という医療関係者が、お互いに全く違う日常を見ているんですよね。
お互いに、自分が見ている世界を基準に「新型コロナウイルス対策」を語ってしまう。
僕がみている世界では「新型コロナは感染力が非常に強く、弱っている人の命を次々に奪う存在」なのですが、だからといって、すべての日本国民が、2年前のようにステイホーム、行動制限されるべき、だとも思っていません。
「コロナは風邪」の世界と「コロナは致命傷」の世界が現在は並立している、ということは知っておいてほしい。
そして、この2つの世界を完全に隔離する、というのは現代のテクノロジーをもってしても不可能であることも。
競技としての質が落ち、客を呼べる選手が不在でも、観客の感染リスクには見て見ぬふりをしても、「プロ野球という興行の灯を絶やさない」というのは、ひとつの「選択」ではあるのです。
試合がなかったり、無観客になったりすると最もダメージを受けるチームであろう広島カープファンの僕は、チームが破産するリスクも想像してしまうのです。
結局のところ、「感染者を徹底的に減らすよりも、経済活動の維持を重視する」ということなのでしょう。
それが正解なのかどうかはわからないけれど、合理的な選択肢のひとつではあります。
そのほうが、多くの「命」を救えるのかもしれません。
でも、誰が、どのようなプロセスでそういう方針を決めたのかが、伝わってこない。
それを誰が決めたのか、誰が責任者なのか、そんなことはわからないまま、そういう「流れ」になってしまっているのです。
新型コロナはいつか終息していくとしても、こういう「まともに議論をすることもなく、誰も責任を取らなくて済むシステム」って、それこそ80年前の戦争のときから変わっていません。
国民にとっても、いざというときに「政府が自分たちの意見も聞かずにやったことだから」と責任を回避できるのは確かだけれど。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
【著者プロフィール】
著者:fujipon
読書感想ブログ『琥珀色の戯言』、瞑想・迷走しつづけている雑記『いつか電池がきれるまで』を書きつづけている、「人生の折り返し点を過ぎたことにようやく気づいてしまった」ネット中毒の40代内科医です。
ブログ:琥珀色の戯言 / いつか電池がきれるまで
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