タイトルですべて言い切ってしまっているのですが、補足します。
少し前に、こんな記事を見ました。
東大・理科三類に現役合格。「質は圧倒的な量の上でしか担保されない」と、彼が挑んだ参考書の膨大な冊数は?
「量より質って言う人がいるけれど、質ってのは圧倒的量の上でしか担保されないから」
これを読んで、「まあそうだよね」というビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。
特に、最前線で頑張っている人ほど。
ただし、ビジネス上はもう少し異なる言い方をしたほうが、正確かもしれません。
わたしが若いときに先輩から言われたのは、以下のような言葉でした。
「「質で勝負」とか言っているうちは、二流。」
なぜこのようなことを言ったのか、私は先輩に聞きました。
「あえて言いますけど、質を高くして、効率を高めたほうが、業績あがりそうですけど。」
すると、先輩は言いました。
「それは別に間違ってないよ。」
「じゃなぜですか?」
「カンタンだよ。「時間をかけず質で勝負」、つまり効率よくやれる仕事って、自分が過去にやり方を見出したか、誰かがやり方を考えてくれた仕事でしょ?」
「まあ、そうです。」
「それって、過去を踏襲しているか、あるいは人から言われた通りやるだけだから、その人は兵隊ってことでしょ?」
「まあ、否定はしませんけど……。」
「まさか、それで一流だなんて、言うつもりないよね?」
「……。いえ。」
「新人なら、効率のいいやり方を追求させてもいい。平凡なサラリーマンなら「過去にやったこと」「人から言われたこと」をなぞるだけでもいい。」
「はい。」
「でも、一流、ってのは未知の領域で、新しいやり方、新しいビジネスを作るひとのことでしょ?30過ぎてそんなこと言ってたら、二流だといわれても仕方ない。」
*
先輩の言い方は、気持ちのいい言い方ではないと思いましたが、言っていることの中身は間違ってはいない、と思いました。
つまり質で勝負する「効率よくやれる世界」は、いうなれば「何をすればよいのかわかっている世界」です。
つまり不確実性が低く、アウトプットもはっきりしており、「効率」を計測することができる。
しかし、新しいことをすればするほど、あるいは大きく成果を出そうとすればするほど、「何をすればいいのか」は、はっきりと事前にはわかりません。
やり方は確立されておらず、あれこれ試して、徐々にうまいやり方を見つけていくしかない。
しかし、そこへいたる道は厳しいものです。
10回試して、うまいやり方が見つかるのはせいぜい1つ、2つつくらいでしょう。
そもそも、すべて徒労に終わるかもしれない。
「未知の領域」で効率は計算ができないのです。
だからそこは「効率の良いやり方」を見つけるためにも、量をこなすしかありません。
身銭を切って、実験する。
言い換えれば、量で勝負する世界は、フロンティアです。
だからそれは「一人前」だけに許された世界でもあります。
少し前にこんな記事を書きました。
「結果を追求する」なら、つべこべ言わず、「やるべきこと」は、一切の躊躇なく「やらねばならない」。
ビジネスをやる、商売をする、とは結局そういうことなのだ。
結局、ビジネスの世界は、上に行けば行くほど、結果でしかものを言うことが許されません。
だから、常に改善が求められる。
「効率よく」と言う言い方は、聞こえはいいですが、先輩からすれば、それは過去を肯定するだけの一種の「甘え」と見なされたのでしょう。
もちろん「ビジネスで成功したい」という人以外には、別にどうでもいい話なのかもしれませんが。
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武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
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(2025/3/18更新)
【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
◯Twitter:安達裕哉
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Photo:Clay Banks