憶えていますでしょうか。今から30年以上前、パソコンと言えば国産の時代でした。

日本の国際競争力が頂点だった時代と、懐かしむ方もいるかもしれません。ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代です。

 

そのころ、国産のパソコンと言えば、NECのPC88シリーズや富士通FMシリーズなどがありました。懐かしいですねえ。私はそういう時代にパソコンが好きになりました。

そんな「パソコン好き」の私は偶然、知人から地元の新潟にコンピューターをガリガリやれる会社があると紹介され、今の会社で働くことになりました。

申し遅れました、ソリマチ株式会社入社25年目、自他ともに認める「新技術好き」の開発責任者、五十嵐です。

%e3%82%bd%e3%83%aa%e3%83%9e%e3%83%81%e4%ba%94%e5%8d%81%e5%b5%90

入社できたときは、そりゃー嬉しかったです。これから好きなパソコンがいくらでも触れる、と思っていましたからね。当時はパソコンも高価でしたから。30年前「パソコンの時代が来る」と信じて疑いませんでした。

 

でも、入社してはじめて触れたのは汎用機(メインフレーム)でした。(笑)

メインフレーム?なんじゃそりゃ?という若い方も多いと思います。

 

技術者なら「メインフレーム」という言葉をご存知かもしれませんが、それはパソコンとは程遠い「大型計算機」でした。まあ、一台数千万、一億とか、そう言った価格のでかい箱です。

当時、メインフレームで使われていた言語は、今からするとかなりシンプルな言語ですが、COBOLというプログラミング言語です。いまはもうCOBOLを使える人も少なくなりましたが、銀行の勘定系システムなどではまだ現役ですよね。

ibm_704_mainframe

(参考写真:IBM 704  メインフレーム  出典:Wikipedia) 

で、これらが何に使われていたかと言えば、企業の会計や給与計算などに用いられ始めていました。

今は当社が提供しているようなパソコンの会計ソフトで十分ですが、当時は「計算センター」という、会社の数字計算をアウトソーシングされる事業があちこちでありました。

その会計事務所も「計算センター」を所有して、あちらこちらのお客様の請求業務を引き受けていました。

 

 

その汎用機を扱うソリマチ情報センターという部署にいる間Windows95が発売され、当社の「会計王」などパッケージソフトがどんどん出てきました。私はどうしてもその「農業簿記」というパソコンソフトの仕事がやりたくて、ずっとやりたいと言い続けていたんです。

もともとソリマチは新潟の会社、ということもあって、農業簿記の分野は非常に強かったです。そしたら、ついに作らせてもらえるチャンスがやってきたんです。うれしかったですねえ。

 

会社に入って、諦めず粘り強く思い続けると、いつかは希望が叶うことも多いものです。

 

その時には、会計王シリーズの1つ販売管理ソフトの「販売王」というソフトを作ることになりました。ソリマチとしてもこれは挑戦的なプロジェクトでした。

私は当時、それまで汎用機しか扱っていなかったため、上述の通り言語はCOBOLしか知らなくて、この時初めてコンピューター言語のメインストリームであるC言語を使うことになりました。

 

正直、はじめてということで不安もありましたが、自分から志願しているので、楽しくてしょうがなくて、それこそ寝食をわすれて仕事に打ち込むというのでしょうか、もう、仕事なのか趣味なのかわからない状態で、当時は膨大な量のプログラムを読まないといけなかったのですが、全然苦にならなかったです。

本当に1日中コードを学んでいる時もありました。周りの人は気付いてなかったと思いますが(笑)。そもそもプログラミングしてるのか、読んでるのかって、傍目から見たら絶対わからないですからね。

 

そうしてできたのが「販売王」というソフトです。今は18世代まで続いている超ロングセラーモデルです。

でも、今だから話せるのですが最初は品質が安定していなくて、当時ソフトウェアにエラーがあると、修正版(当時はCD-ROM)をお客様に送付し、対応いただければならなくて大変でした。

 

でも、だからこそ「オンラインアップデートの仕組みを作ろう」ということになったんです。

ちょうどパソコンが普及が出た頃でインターネットが話題になり始めた頃です。その取り組みは、業界的にはかなり早い方だったと思います。実は、未だに私が作ったプログラムで動いるものもあるくらいです。

 

さらに、それがきっかけと言っては何ですが、インターネットの凄さにも気づき、その次はそのまま「ソリマチ安心データバンク」という、クラウドストレージサービスまで作っちゃいました。

もちろん、世の中のニーズや会社側からの要請というのはあるのですが、正直に言うと新しいものに挑戦するのはまず自分の興味がはじまりの場合が多いですね。

日常生活の中で「これいいな」と自分が思うものが最初のきっかけであることがほとんどです。

 

ちなみに、今一番気になるのはやはりAIとか機械学習ですね。

AIで会計の仕訳ができたりすることは容易に想像できますし、さらに進化していくと資金繰りのアドバイスとかできるようなれば、面白いなって思います。

会計ソフトが進化すれば、税理士さんや経理担当の仕事がなくなるとか言われることがあるんですが、その時間でよりクリエイティブな仕事、例えば税理士さんならコンサルなどにより時間を割くことができるんじゃないかって思います。

さらに言うと、今は会計データはパーソナルなデータとして扱われていますが、徐々にデータがクラウド化されてきているので、それをビッグデータとして扱うことも可能になるでしょうね。そうなるより精度の高いフィードバックができるんじゃないかって思います。そんなこと考えるだけで、ワクワクします。

 

 

今は、マネージャーになりエンジニアを管理する立場になりましたが、プログラマーって人種は、常に知的好奇心を満たせていないと続かないんですよね。

例えば、今はタブレット向けの新しい「タブレット会計」をリリースし、機能アップしていますが、あえて最新の技術的要素を意図的に組み込んでいます。そうでもしないと、いいプログラマーって会社に残ってくれないんですよね。

これ、エンジニアの方だったら絶対にわかる感覚だと思います。

適性からして極端なことを言えば、仕事半分、趣味半分って思ってやってくれてるくらいがいいエンジニアだと思っています。

 

そのような環境を作ることがマネージャーとしての大事な仕事だと本当に思っていて、いかにエンジニアが楽しく働ける環境を作るかが、開発マネージャーの最も重要な仕事じゃないかなと思います。

 

Googleには20%ルールという、現状の仕事以外で20%は自分のやりたいプロジェクトに取り組むことを義務付けているそうですが、それがどのくらい機能してるかは別として、本当によく理解できます。

会社にとって、一番困るのは優秀なエンジニアに辞められることです。

 

ただ矛盾してるようですが、優秀なエンジニアって「ウチにずっといたいというエンジニア」ではだめで、いつ外部で仕事しても勝負できる人間くらいじゃないと優秀とは言えないですよね。

この「つかずはなれず」感が、エンジニアのキャリアでのキモじゃないかって、そう思うんですよ。

 

 

ソリマチ株式会社

完全無料の会計アプリ「タブレット会計」 


【お知らせ】Books&Appsでは、企業の広報活動を支援するサービスを行っています。ご興味のある方はこちらからご連絡ください