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頑張らない人、というのが、会社の中に一定数いる。

でも、頑張らない人がいること自体は問題ではないし、人はいろいろなので、がんばろうが頑張らなかろうが、どっちだっていいのだと個人的には思う。

しかし、ある組織の中において、「頑張りたい人」と、「頑張らない人」というのが混ざってしまった時、大きな問題になる。

 

「頑張りたい人」は言う。

「なんであいつらは頑張らないんだ。そんな頑張らない奴らと給料があまり変わらないのは腹が立つ。」

 

「頑張らない人」は言う。

「なんであいつらはあんな文句をいうのだ。自分だって出来る範囲でやっているのに。」

 

 

もちろん経営者は「頑張りたい人」を応援したいし、会社を「頑張りたい人」だけにしたいので、あの手この手で「頑張る人」を優遇する。

例えば「頑張ったら、給与が上がる」、「頑張ったら、昇進する」、「頑張ったら、好きな仕事ができる」といった具合だ。

逆に「頑張らない人」に対しては、「給与を下げる、低いまま抑える」、「退職勧奨する」、「嫌な仕事をやらせる」といった手が考えられる。

 

人は得られる評価によって態度を変化させるので、これらはもちろん、一定の効果がある

だが、「頑張らない」と決めた人を完全になくすことは難しい。

「退職を強要する」ことは違法なので、一定数の「頑張らない人」がどうしても社内に一定数残るからだ。下手をすれば会社が訴えられかねないのである。

 

だから、「頑張る人」と、「頑張らない人」の軋轢は、決して無くならない。実際、この手の軋轢がない会社を、私は見たことがない。

それでも多くの経営者はその状態を何とかしようとして、「人事・給与制度」を変える試みをするが、制度を変えても効果があるのはたったの数年である。どんな制度にも抜け穴はあるし、「その人を共同体から排除」しない限り、結局不満は収まらない。

したがって、「頑張らない人を罰するための人事・給与制度」は、数年で形を変えながらコロコロ変わり続ける、ということになる。

 

 

この状況、何かに似ている。

そうだ、生活保護利用者のギャンブルや酒だ。

「自分たちの税金を、生活保護利用者の酒やギャンブルに使われたくない」は何が問題なのか

実際のところ多くの回答者は、「働きもしないで税金からもらったお金を飲酒やギャンブルに使わせるな」と思っている、ということですよね。

それに対しては「憲法ですべての人間は健康で文化的な…保障されている」という反論があるのでしょうけど、「健康で文化的な最低限度の生活(うろ覚え) VS 有限でもっとましな使い道があるかもしれない税金でギャンブルを許すべきではない」については、ちゃんと議論すべきかと思います。

国も会社も共同体。そして、その中に「頑張る人」と、「頑張らない(ように見える)人」がいる。

 

 

「俺はつらい思いをして働いているのに、頑張らないで給料をもらう奴は腹が立つ」

「俺はつらい思いをして働いているのに、働かないで酒やギャンブルをやる奴は腹が立つ」

の根っこはおそらく同じだ。

大阪市長が、「経営者的な」発想で、生活保護利用者の待遇を変えようとしていることも、状況が多いに重なる。人事制度、給与制度の変更で、生活保護利用者の態度を改めさせよう、ということだ。

 

現状の生活保護制度におけるカネの与え方が、国民の勤労に対するモチベーションを大いに損なうならば、制度に問題があるのかもしれない。

しかし、「カネの与え方」を改めたとしても、抜本的な改革にはならないのも、また事実だ。それこそ人事・給与制度を変えるだけでは、「頑張らない社員」を無くすことが出来ないのと同じく。

 

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)

 

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