古い話を思い出す記事を読んだ。
新卒で人事に配属されないほうがいい(なべはるの人事徒然)
概ね思い当たる内容だった。
いわゆる、「コーポレート部門」あるいは「スタッフ部門」といわれる部署、例えば総務・人事・広報・企画などに代表される部門は、常に新卒の配属希望先として上位に来る。
古くから私が訪問している会社においても、軒並み新卒の希望職種上位はコーポレート部門で占められる。最近は特に「営業」や「生産」の人気がなく、経営陣も困っているという話もちらほら聞く。
「企画を希望していたのに、営業に配属になってがっかりです」といった話を何度聞いたことだろう。
だが、コーポレート部門のキャリアは良い面も悪い面もある。
コーポレート部門は「スペシャリスト」として認識される一方で、私が一番記憶に残っているのが、ある大手企業の経営者が言った、「中途採用で、コーポレート部門のキャリアが長い人はあまり歓迎ではない」という一言だ。
理由が気になったので、それを尋ねると、
「ビジネスをやったことがないから」
という回答が返ってきた。おそらくそれを聞いて私は不思議そうな顔をしていたのだと思う。その経営者は丁寧に補足してくれた。
「簡単ですよ。そういった方々が必要なのは否定しないです。でもね。例えば人事にいると自分が偉くなったような錯覚を起こす人は多いです。広報や企画も同じです。自分の手で、直接会社の売上に貢献する経験がないと、どうしても人は予算で動くようになります。そして彼らは予算を増やすように働きかけることはあっても、予算を減らすように働きかけることはまずない。当たり前ですが。」
「はい。」
「だから、コーポレート部門はどうしても肥大しがちなのです。でもコーポレート部門は所詮コストです。小さいほうが良いに決まっています。その辺りの論理が、経営者や事業部門と異なる。そして、そのキャリアが長いとなかなかその切替ができない。」
「…。」
「肥大したコーポレート部門は、徐々に自分たちを聖域にします。それはもう、ビジネスではない。役所です。」
「そういうことですか。」
「あと、私にとってはコンサル出身の人間も一緒です。」
最後にきつい一言を頂いたが、私がコーポレート部門のキャリアについて、見方を改めるきっかけとなったのは間違いない。
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